自故日記(37) 戻すのではなく
9/11に再手術を受けて、骨の髄の中にあった金属を取り除いた。
なぜ除去したかというと、感染の疑いが消えきれなかったこと。
だから、一度開けてみて、しっかりとクリーニング(洗浄)をして、清潔な状態を築くことが必要だった。
もしかしたら感染はないかもしれないし、
もしかしたらいつか感染が起こるかもしれなかったし、
そもそも感染していたかもしれなかった。
……………。
その結果としては感染は一切なかった。
しかし、これは結果論でしかないから手術する必要なかったのかと言われるとそうではない。
もう一つの理由があった。
「固定の緩さ。」
これが骨の癒合を妨げている要因であるという結論に至った。つまり、そのまま待っていても骨は元通りくっついていかない可能性がある。
だから、骨をしっかりとつけてサッカーに復帰するというゴールから逆算すると、再手術を受けて内部から感染の可能性を消し去り、新たな固定具を挿入することによってあらゆるリスクを消し去るべきだということだった。
手術は一度で終えることはできないため、2回受けることになった。2度目は今月27日に受ける。
新たな固定具は一生涯抜かなくても良い前提に計算して、考えられた最新の機材を用いてくれることになった。
骨の下の方を支える(固定する)ネジは骨に埋め込むことができるもので、外に違和感が出ない新たなものを用いてくれるらしい。
今回は縁あって日本の素晴らしい環境で手術を受けさせてもらうことになったのだけれど、
PCの画面上に映るカルテを見てハッとしたことがあった。
それは、
こう書かれていた。
まさに、自分が海外で積み重ねていた活動というのを僕はこう表現していた。
与えているようで与えられている活動。
今回、そんな恩恵を受けたと思った。
ただサッカーをしているだけならばここまでいろんな人を繋いで助けてもらえなかったかもしれない。
ありがとう。
僕はラオスでベッドに横になっている時に自分の価値に関して考えた。
今横になっている自分に価値を感じなくて怖かった。だから、僕はその間にシューズの寄贈活動を動かしてみた。
ベッドの上からカンボジア、モンゴルの2カ国にシューズを送ることができた。モンゴルに関してはいままだ輸送中なので、来月あたりにシューズが届く予定となっている。
いま、ぼくは1度目の手術を終えて、トレーニングはして良いのだけれど汗をかいてはいけないという難しい制限がかけられている。
それによって傷口に菌が入る可能性があるため。
だからトレーニングもちょっとずつを繰り返す。
汗かきそうになったら休んで、またやっての繰り返し。
時間すごくかかる。
汗をかけないから、体調面や体の違和感も出る。
ある一定以上の運動ができないことで、血行が良くないので体は冷え性のような症状に悩まされている。
これも割り切るしかない。いまは血行が悪いから全力での運動が解禁されるまでは理解するしかない。
運動が制限されると水分摂取量も極めて少なくなる。それによって乾燥気味な身体にもなる。
だけど、それがいまの自分の体であり、ここからまた鍛えていってあげるんだ。
簡単なことではない。
けれど、やりたいのは自分だし、その先に見せたい姿があるのだって自分のエゴかもしれない。
やればやるだけ自分に返ってくる。
いまは傷口を治すことが最優先。非常に難しいバランスの中にいる。
骨に関しては、27日に最後の手術をして術後2週間で全力でサッカーすることの許可は執刀医からは説明された。これは骨の状態からして問題がないという判断だから、筋力や体力はまた別である。
怪我してからの間、全力で走るなんてことも、持続的に走るということもしていないのでどんな感覚なのかというのはやってみないとわからないのがしょうじきやところ。
筋力、体力共に落ちているからそれをどう戻していくのか。それはなかなかに難しいことだ。
しかし、ただ戻すだけで良いのだろうか。
どれくらい戻すべきなのか?も考えるべきだと思った。
元の自分に戻るのではなくて、もとの自分ができなかったことをできる姿ようにするのが正解だと僕は思うようになった。
同じように戻すのではなくて、いまの体で何を目指すべきかから考えて、その必要性のもとに体を作っていく。
筋力が落ちているというけれど、そもそもなんのためにその筋力が必要なのか。体力に関しても同じことが言える。
自分をどうデザインするのか。
そうした考えなしにただ以前と比較しても、以前の自分を目指すことはできるかもしれないけれど、現在のベストを目指すこととはまた違うかもしれない。
もしかしたら、新たな自分を目指すことで過去の自分よりもさらに良いパフォーマンスを発揮することだって可能だと思う。
今あるものを最大限に、今できることを最大限に。
簡単ではない。
だからこそ、僕は挑戦する価値があるんだと思う。
毎日が昨日の俺との戦いだ。
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