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推論発問であり評価発問でもある

大学1年生のReadingの授業。

普段は「英語科教育法」以外の授業の振り返りはFacebookに書いたり書かなかったりしているのだが、今日の授業については自分にとっても大きな気づきのあるものだったので、noteの方にも残しておこうと思った次第。

今日のトピックはGW前から引き続き「ファッション・トレンド」。GW前のListeningの授業ではSNSなどの隆盛に伴って盛んになってきたボトムアップでのトレンドセッティングを扱ったが、今回はトップブランド等が意図的に流行を生み出すトップダウンでのトレンドセッティングに焦点を当てる。ここぞとばかりに大好きな『プラダを着た悪魔』を使う。

アンディがミランダの秘書になって間も無く、ファッションアイテムのことを"stuff"と言ったアンディに対してミランダがブチギレたシーン。

"You go to your closet and you select, I don’t know, that lumpy blue sweater, for instance because you’re trying to tell the world that you take yourself too serious to care about what you put on your back.
(中略)
And it’s sort of comical how you think that you’ve made a choice that exerts you from the fashion industry, when, in fact you’re wearing a sweater that was selected for you by the people in this room from a pile of “stuff.”

"The Devil Wears Prada" - Miranda Priestly

私がこの映画の中で一、二を争うほど大好きなこのシーン。トレンドというものがどのように作られるかということへの導入として動画を視聴してもらい、実際にミランダの一連の台詞の書き起こしを読んで内容を解釈する。

それに続いて、今日のメインのリーディング活動として用意したのは「日本流行色協会」が発表した「2022年の色」についての説明の英語版。英語版と言っても日本語で書かれたホームページの文章を私が勝手に英訳したものだが。

その中から色の名前を消して、周りの文章からどんな色が選ばれたかをグループで話し合って決めるタスク。色はこちらのサイトから選ぶ。

(実際には蛍光色が選ばれているので、正確にカラーコードで表せるものではないが、最も近いものを選んでもらう)

例えば、

The light and bright 【        】 with fluorescent tones seems to guide us through the long and dark tunnel we have walked through in 2020 and 2021, and to heal our bodies and minds.

といったやや抽象的な色の説明を読みながら推理してグループで一色に絞ってもらう。(後半に出てくるSlightly reddishという大きなヒントもあり)ほとんどのグループがオレンジ系統の色に辿り着くのだが、どこもニアピンで惜しくも正解の"Coral"は出なかった。

ただこの活動は正解が出ても出なくても何も問題ない。
発問自体が推論発問でもあり評価発問でもあったからだ。

つまり、英文を渡して「これはつまりどんな色の特徴を言ってる?」と問うていることから基本的には推論発問のつもりなのだが、一方で、この本文で書かれている特徴から自分ならどんな色を思い浮かべるかという評価発問としての機能も持ち合わせている。
むしろ、最終的に似た色の候補から一つに絞り込む段階ではそれぞれの学生がslightly reddish, light and bright, joyful, inspiring colors of hopeという表現をどういうものとして受け取るかという部分が決断の根拠になるのだから、本質的に評価発問だと言ってもいいかもしれない。

こう振り返ってみて気づいたが、今日の授業は活動に対する学生の反応だけでなく、随所に散りばめた語彙・文法・発音などの指導のバランスとそれに対する学生の姿勢もとても良かった。おそらく「Twice」(毎授業の冒頭に行なっている洋楽リスニングでTwiceの"The Feels"を使った)も『プラダを着た悪魔』も「流行色」も全て内容面で多くの学生の興味をそそるのに十分なポテンシャルがあって、それを土台に語学的な側面の指導を乗せることができたのが大きかったのだろうと思う。

タスク・エンゲージメントの喚起と維持のいくつかの原則を(授業準備の段階で意識したわけではないが)しっかり守れていたのだと思う。(まだちゃんと読んでない)


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