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谷保ZiNEという本を作った (前編)
東京都国立市の谷保というエリアが好きな人が集まって「谷保ZiNE」という本を作りました。
この本は6名の著者が「どうして谷保にいるのか」をテーマに自由に書いた文章を集めて掲載しています。本の後半では著者が集まって、それぞれの文章について感想を話し合った座談会の記録も掲載しています。
2023年の春から構想を初めて、無事11月に完成させることができました。忘れないうちに制作の記録を残しておきたいと思います。
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春
2023年春の金曜、仕事が終わって帰ろうとしていた22時頃、顔馴染みの知人Tさんから「これから飲みませんか。」とメッセージがきていた。この頃仕事がバタついていたので、気分転換に飲める機会がとてもありがたかった。
「23時前には行けると思います!」と返事をして合流。どこも店が空いていなかったのでTさん宅で飲むことになった。
初めは音楽やガジェットの話をしていた気がするけど、次第に話題はまちづくりへと移っていく。
というのもTさんと私は以前、市役所が主催したまちづくりのワークショップに参加しており、まちづくりとかコミュニティ的なものにふんわりと関心を持っていた。
「谷保ってなんかおもしろい人集まってますよね。」
「谷保にいる人の話聞いてみたいですね。そこから何か見えてこないですかね。」
「なんか文章とか書いてもらって1冊作ったらそこからなんか見えてくるかも。」
酔いが心地よく回ってきた深夜2時頃、谷保というエリアで本を作ろうとノリで決まった。
まちづくりの話題で盛り上がる飲みは経験がなかったけど、なんかおもしろい時間だった。
翌日もTさんとメッセージをやり取りして、こういう本が良いのではないかと会話を続けた。
また後日、Tさんから参加者を募るための文章が送られてきた。私はなんか楽しくなってきて、その文章をA4サイズの募集要項にまとめた。
この頃私は、本を完成させたいという気持ちよりは、こういう話題で楽しく飲める機会がこの先もあればいいなという気持ちの方が大きかった。
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それから1ヶ月後、追加メンバーを募るためにSさんとDさん2名に声をかけ、ふたたびTさん宅で打ち合わせを行った。
募集案内を見てもらい乗り気になってもらえた。ただいざ執筆していただくとなると、サンプルページを作ったり、スケジュール感を決めたりと細かいところを詰めていかないといけないねという話になった。
それから私はひとまずサンプルページを作ることにした。
デザインのイメージとしては「かっちり」と「あそび」の間を目指そうと思った。ある程度しっかりとした文章を書いていただくので、それに見合った箱を用意したかった。とはいうものの、20代、30代の若めのメンバーが中心となるので渋くなったり堅くなりすぎるのは避けたい。
あと本をがっつり読まない層にも手にとってもらいたいので、写真も掲載したグラフィカルな紙面を目指した。
何日かかけて試作をいくつか作って検証し、直線的な中にも丸みを用いた紙面に決まった。
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ノリで始めた本作りだったけど、メンバーも増えてきて現実味が増してきた。この頃には、人を巻き込む以上はきちんと構想を考えて、しっかりとものづくりをしなくてはと思うようになっていた。
夏
執筆依頼の時に見てもらうサンプルページはできた。あとはサンプルページに文章を入れれば依頼をする準備が整う。
この文章はひとまず私とSさんが書いて、2案の紙面イメージを示すことになった。
この夏、私はタイのチェンマイにいた。
1週間ほど休みがとれたのと、コロナが落ち着きだしたこともあって、ずっと行ってみたかったタイ北部で過ごしてみることにした。特に観光などせず、ゆったり滞在するタイプの旅が好きなので、今回もそのスタイルをとった。
チェンマイはノマドワーカーの聖地と言われていて、wi-fiが使えるカフェや、コワーキングスペースが大量にある。
休みとはいえ、メールチェックくらいはしておこうと思い、「MAYA」という大型ショピングセンター内にある「CAMP」というコワーキングスペースに行ってみた。有名な場所なので、一度どんな雰囲気なのか見てみたかった。
入ってみると空間がとてもオシャレで、割と若い層がもくもくと仕事をしたり勉強をしたりしていた。世界中の人が集まる仕事場ってこんな雰囲気なんだな。
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私もそこでPCを開いた。が、少し面倒な仕事のメールが来ていてゲンナリした。一旦そちらは見なかったことにして、谷保ZiNEの原稿を書くことにした。
谷保に想いを馳せながら文章を書いた。谷保の良さはコミュニティだ。人から人へ、芋づる式に交友関係が広がっていく。ふと気がつくと遊び仲間、飲み仲間が増えていく。
他のまちでも同じようなことは起きると思うし、タイミングもあるかもしれない。ただ私がこのような経験ができているのは谷保だ。私にとっては特別な場所なんだと思う。
文章を書き終えた。PCを閉じると、目の前の景色はチェンマイだった。そういえば私はチェンマイにいた。脳みそが心地よい混乱を起こしていた。
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後日、Sさんの文章も完成し、執筆依頼をする準備が整った。
何人かに声をかけさせていただき、結果、追加で2名の方が執筆して下さることになった。合計6名の文章を掲載できることになり、谷保について考えるのに十分な分量になりそうだ。
この頃からはだいたい月1回くらいはメンバーで打ち合わせを重ね、リズミカルに事が進むようになっていた。
順番にコロナにかかって打ち合わせが延期になったりもしたけど、時に対面で、時にリモートで顔を合わせていた。仕事っぽい進め方だけど、ワクワク感があった。
※長くなったので今回はここまで。後編に続きます。
谷保ZiNEは現在、国立市谷保の「小鳥書房」の店頭、オンラインショップでお取り扱いいただいています。
小鳥書房HP
小鳥書房オンラインショップ
※営業日、営業時間などはX, instagramなどでご確認下さい。
小鳥書房 X
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後編はこちら↓
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