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 何百枚とある卒業証書のハンコの部分を、印刷で終わらせてしまう学校と、一つ一つ大切に押されている学校があることを知り、どちらがいいかわからないけれど今度からハンコに意識を向けようと思った、コミュニケーションが苦手なカウンセラーのタカタです。

 今回は、アメリカの心理学者のバンデューラが唱えた”モデリング(観察学習)”について考えていこうと思います。

1.真似は必ず起こるの?

 最近、血が出る映像や暴力的な表現、けんかなど、インターネットの普及に伴い、手軽に過激な表現を見ることが出来るようになりました。ここで心配になることとしては、子どもが攻撃的な表現を目にしていると、性格や行動も攻撃的になるのではないか、ではないでしょうか。

 バンデューラの実験の中で有名なものがあります。ある大人が人形に暴力をふるっている動画を子どもに見せて、その後、同じ人形のある部屋に移動した際、同様に暴力をふるうかどうかの実験でした。
 暴力をふるった大人が褒められていることを見た子どもは、人形に暴力をふるう行動は増加しました。一方で、暴力をふるった大人が叱られていることを見た子どもは、人形に暴力をふるう行動は減少しました。

 大人の行動を見た後に真似をすることはあるかもしれません。しかし、大人と同じ行動(暴力をふるう)を行った後に、どのような結果が得られるか、つまりどのような得か損があるのかを考えてから真似をすると考えられます。

 重要なことは、他者の行動を観察したあと、必ず真似をしてしまうのかというとそうではなく、観察した行動の、その後の結果(暴力をふるった後に叱られるか、褒められるか)で、真似するか真似しないかが決まる、ということです。

 真似は必ず起きるとは限りません。つまり、攻撃的な表現を見せただけでは、真似をしないということです。

2.楽しそうにみせる

 1で書いたように、見せるだけでは真似をしません。真似をさせたい人に対して、真似をしたら上手になる、楽しくなる、自分にとって悪いことがおきるなどの結果を見せる必要があります。

 たとえば、子どもに帰宅後、靴下などの洗濯物をかごに入れさせたいと思っていたとします。大人が、靴下を脱ぎっぱなしにして、楽しそうに生活していたとしたら、子どもも靴下を脱ぎっぱなしにしてしまうかもしれません。
 反対に、脱ぎっぱなしにした後に、大人が、誰かから怒られているところを子どもに見せたらどうでしょうか?靴下を脱ぎっぱなしにしたら怒られると思うでしょう。そうしたら、靴下を脱ぎっぱなしにしないかもしれません。

 また、大人が楽しそうに読書したり、勉強していたら、子どもも楽しそうに真似をしてくれるかもしれません。

続けてほしいことは、大人が率先して楽しそうに行う。
やめてほしいことは、大人でもそのことをやってしまったら怒られる。
これを見せることで、子どもは大人の姿を見て、真似をしてくれます。

 モデリングは良い意味でも、悪い意味でも使われるのですね。行動には気を付けて生活していきましょう!!

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