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滞独日記「ブルーノタウト建築に学んだ、これからの住環境に求めるもの」

コロナをきっかけに都会から異なる環境に引っ越すような話題をちらほらと聞くようになった。ニュースでも僕の周りでも若い世代が住環境を再考する理由は、今の住まい型に満足していないことの表れではないだろうか。

では、僕らの暮らしに本当に必要なものはなんだろう。引っ越し先の住環境に何を求めると満たされるだろうか?

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この問いに関して、自然とつながり人とつながれる環境だと僕は考える。

より具体的に言うと、次の引っ越し先の住環境に求めるべきものは庭だ。

ベルリン暮らしサービスセンターのオカッパさんとおヒゲさんに勧めて頂いたブルーノタウト(1880年~1938年)の建築を巡ってきた。

彼は日本にゆかりのある人物で、世界に初めて桂離宮を紹介した建築家でもある。

彼の設計した家の特徴は、自然と住まいとの間に釣り合いが取れていることだ。

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ブリッツにある馬蹄型の集合住宅は、どの角度から眺めても庭→木壁→歩道→緑→木々と池→住宅→青空が広がっている。

この広大な風景が、鳥肌が立つくらい美しかった。

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ブルーノタウトは都市で働く人たちの心身の健康のために、田園都市を構想し、田園生活を楽しみ、お互いに助け合って生活する住まい方を提案した人物だ。

ずっと家の中にいたらそれはモヤモヤするはずだが、目の前に広大な庭があれば、コロナ渦中でも落ち着いて過ごせるだろう。

現在も数十年前に入居したであろうご高齢の方々が暮らしており、それだけ住む人の満足度が高いことが伺えた。

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(ブルーノ・タウト設計のファルケンベルグの住宅)

住宅の中にある庭であり公園は外に開かれている。

住民や近隣の住民が子どもや犬を連れてきており、大人たちは立ち話やランニング。公園で過ごす時間を楽しんでいるように見えた。

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ブルーノタウト建築で注目すべき点は、家の周囲までデザインしていることだろう。

プライベートな住空間から、サブのプライベートスペースであり、サブのパブリックスペースでもある庭を住空間以上に広く設計し、その先に住民たちが共有できるパブリックスペースとしての庭園がある。

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タウトがわざわざ広大な庭(公園)をデザインした理由は、自然とつながり、人とつながることが、心身の健康と暮らしに必要だと考えたからだろう。

今回尋ねたブルーノタウトの家々は現在も住民に愛され、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。

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