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Photo story No.017 何を想う

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4月といってもまだまだ寒い北海道の中でもとりわけ北部の猿払。北に位置する自治体としては稚内市があるのみ。そんな猿払の春は遠い。春といえば桜が代名詞となる存在で、多くは3月から4月に見頃を迎えるのが全国的には標準だろう。先ほど桜前線の状況を確認すると残るのは青森以北のようだ。猿払はというと例年ゴールでウィーク明けに見頃を迎える。まだ、1ヶ月以上先なのだ。楽しみはあとにとっておくタイプの方にはおすすめかもしれない。

さて、そんな寒い4月のある日、某所で写真を撮影し車に戻ろうとした私の目の遠く向こうに一匹のキタキツネの姿。とりわけ大きいでもなく、小さいでもなく一般的な大きさでしたしキタキツネの姿は珍しいことではないので、さほど気にすることもなく車へ戻る足を止めることはなかった。車に乗りこみ、カメラを所定の位置に収め、シートベルトを装着。安全に出発するため、後方の状況を確認したら先ほどのキタキツネが接近してきている。決して足早ということではなく、ゆっくりゆっくりとした足取りだ。慌てている様子はない。ただ、意識し過ぎかもしれないが私の方向に向かっているような気がした。50mくらいの距離まで近づいたときには、明らかに私の愛車に向かってきていることを確信。目を離さず、見続けていてもその距離は縮まるばかり。とうとう2mくらいの位置に座りこんでしまった。そして、視線の先はどうやら私のようだ。体格を見ると、遠くに見た時の印象通り痩せても、太ってもおらずご飯にありつけていないという状態でもない気がした。これは、あくまでも私の見立てなのであてにはならないが。ここで思ったのは、なぜ人間に近づいてきたのかということ。まず思いついたのがお腹が空いていて、「何かくれると思ったから」ということ。この仮説が正解であるならば過去に成功体験をしているということになるだろう。可哀想と想う人だったり、興味本位で餌付けをするということも考えられないわけではない。次に、「自分とは違う生き物に興味があって」ということ。子ギツネだとこれも考えられると想うが、ある程度の大きさかなと思うので、この可能性がどれくらいあるものか私にはわからない。そんなことが一気に頭の中を駆け巡ったが、私には餌をあげるという選択肢持ち得ておらず、あり得なかった。あまりにも近かったので写真を数枚撮影させていただき、後にすることに。最後まで、どういう気持ちで私を見続けているのか推し量ることはできなかった。そうしていよいよ、再度安全確認をして出発。車を走らせてから、後方を3回バックミラーで確認したが、その視線は変わらず私の車に注がれていた。

さて、彼は何を想っていたのだろうか。

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