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あの夏のセブシティ

初海外はフィリピンだった。
2018年の7月、僕はセブの英語学校に短期留学するため初めて海を渡った。セブと聞くと華やかなリゾート地を思い浮かべるかもしれないが、とんでもない。そこら中に物乞いをしている家族がいるし、ネズミは死んでいるし、野良犬がウロウロしている。学校が休みの日に行った海も汚かった。

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それでもセブで過ごしたあの1ヶ月はとんでもなく楽しかった。遊べど遊べどお金が減らない。学校の先生たちもみんないい人で、授業終わりは毎日のようにみんなでご飯に行ったりしたものだ。ぼったくってくるタクシーがいたりと、確かに治安は悪いかもしれないがそれもまたエキサイティングで良い。東南アジアの熱気を感じたいなら迷わずフィリピン一人旅をおすすめする。

そのセブがいま大変なことになっているのをご存知だろうか。12月に起きた台風の影響で、建物の多くは壊され、僕が留学当時行っていたバーやショッピングセンターも壊滅状態なのだという。はっきり言って、以前から脆さの際立つ国であった。通っていた学校でも病気によって若くして亡くなっている先生がちらほらいたという話は聞いていた。まだまだ発展途上国で、さあこれからというときにパンデミックがやってきた。ワクチンができて、そろそろ留学生を迎えてもう一度立て直しだという時に今回の台風である。明るく陽気なフィリピン人たちもさすがにガックリきているのではないか。

僕は1年ほど前からオンライン英会話をやっており、やはり国境封鎖によって英語教師の職を失ったヴァンという女性に専属でコーチングしてもらっている。12月の台風以降、ヴァンとは連絡が取れなくなり、彼女の安否をずっと心配していた。

そしてついに今日、向こうからメッセージが来て、オンラインレッスンも再開した。結局彼女はセブから首都マニラに引っ越したらしい。セブの家は壊滅状態で家族もセブに残してきたが、自分は働かないといけないという使命を背負い、ネット環境を求めてマニラに移動したそうだ。

暗い話になってしまわないように、彼女は努めて明るく振る舞っていたが内心は寂しさでやるせないに違いない。大事な家族と離れて過ごすこともそうだし(フィリピン人は相対的に日本人よりも家族の結びつきが濃い)、いつ復旧するか分からない故郷のライフラインだって不安で仕方ないだろう。

結局は募金をしたり、彼女の授業を受けることでしかサポートはできないのだけれど、早く前の生活に戻るといいなと友達として思う。そしてまたセブの英語学校にでも通いながらゆっくり過ごしたいな。

こちらのホームページから募金できるみたいなのでお金に余裕のある方はやってみてはどうだろう。僕はこういった募金団体にお金を払うのはなんとなく嫌なのでヴァンちゃんに直接、ほんの気持ちだけ渡した。
月収が3万円もあれば高給取りに分類されるフィリピンだ。たとえ1,000円や5,000円でも十分なサポートになるはず。

【1月7日の日記】

I've finished reading a book that is Kotaro Iska's latest book "Pepper’s ghost". His books have shaped who I'm today. I'll keep following his works until one of us is dead.

伊坂幸太郎最新作「ペッパーズゴースト」を読み終えた。彼の作品は今日の僕を形作っている。どちらかが死ぬまで僕は伊坂さんの本を追い続けるだろう。

サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。