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体温

「世の中の体温をあげる」
これは株式会社スープストックトーキョーの企業理念である。この言葉を思い出すだけでグッと熱くなって、僕の体温は上がる。

昨年4月、スープストックは“炎上”した。理由は幼児向け離乳食を無料で提供するから、というものであった。
“着火側”の言い分を簡単にまとめると「大人が1人でゆっくり楽しむ場所なのに」ということらしい。
この件の賛否について僕からの意見はない。あーそうなんだという感じである。ただこの騒動を受け、株式会社スープストックトーキョーが公式に出した声明が素晴らしかったということは後世に伝えたい。


私たちスープストックトーキョーの企業理念は、「世の中の体温をあげる」です。
スープという料理を通じて身体の体温をあげるだけではなく、心の体温をあげたい。
そんな願いを一杯のスープに込めた事業を行っています。

その理念のもと、さまざまな理由で食べることへの制約があったり、自由な食事がままならないという方々の助けになれればと「Soup for all!」という食のバリアフリーの取り組みを推進しています。
(中略)
私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。

私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます。

世の中の環境の変化が激しい中、社会が抱える課題もさまざまです。それらを私たちがすべて解決できるとは思っていません。でも、小さくてもできることもあるとまじめに思っています。
ひとつひとつですが、これからも「Soup for all!」の取り組みを続けていきます。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

https://www.soup-stock-tokyo.com/story/sst.babyfood20230426/

名文だ。揺るがない。「世の中の体温を上げる」、この企業理念が全てを支えている。形式ばった謝罪などしない。あなたのためじゃない、みんなのためなんです。カッコ良すぎるだろ、スープストックトーキョー。
おそらく僕が社長だったら即座に「す、すいませんでした!」と謝り、「離乳食のあれ、やめた方がいいかな?」なんてことを部下に相談し、部下も部下で「社長が言うなら」ってことで全店舗に離乳食撤廃の連絡が入る。なんて熱のないスープ屋だろう。そんなスープストックタクローは春秋限定でぬるい水素水でも売るがいい。それこそXで暴走してるような一部の信者は得られるだろう。

話は続く。先週日曜日に結婚した。というか私、帰国してます。もうオーストラリア戻りません。もうマクドでハンバーガー投げられることありません。これからは日本で、妻と6月に産まれる息子と3人で生活していきます。ということはもちろんお楽しみのあれが待っている。そう、転職活動大作戦である。目下、就職活動中だ。「SPIなんか何の意味があるんだよ」とか思いながらむちゃくちゃ対策している。意味なんか考えない。世帯主になるわけだから。

僕はどうしても入りたい会社が前からあって、まずはそこを受けた。「内定率1%」という、嘘か本当か特殊な四捨五入か分からない、高いハードルを謳っている会社さんだったので特に期待していなかった。しかしあれよあれよという間に最終面接まで進ませていただいた。そこまで行くと僕もつい夢を見ちゃう。過去3回はいずれもオンライン面接だったが、最終は対面。あ、やっぱ直接の方が微妙な間とかないから話しやすー、とか思いながら我ながら手応えはあった。よしよしと思いながらビルを出た。東京の景色が、来た時と違って見えた。金曜の帰宅ラッシュの時間帯、家路を急ぐ人、飲み屋を探すサラリーマン、家族連れ。東京、よろしくな。これからは僕の主戦場にさせていただきたく思っております。

落ちた。フツーに。計4回にわたる密な面談があったにも関わらず、メールたった1通で終わった。これが就活か。適当なレジュメだけ出して「じゃあ明日からよろしこねー」なんて言ってくるオーストラリアとは訳が違う。

落ちた日は結構悔しかったが一晩寝てしまえば、求人サイトを見て「あ、この仕事おもしろそう」ってな感じである。ちなみにまだ一社しか落ちていないみたいな書き方してるが他にもドサドサに切られている。「英語の能力足りません」「笑顔不自然でキモいです」「履歴書の『ヤングシナリオ大賞』って何?」おそらく人事部で飛び交っているのはそんな言葉だ。いいのだそれで。気にしていられない。そもそも気にすることじゃない。僕がその会社さんを勝手に好きになって、好きで受けているだけなのだから。片思いはたいてい実らない。30分でハートを掴むのは並大抵のことではない。でも、「体温をあげたい」会社は、日本にまだたくさんある。熱く、眩しい、誰かの人生を少し照らすような会社さんに、どうかご縁がありますように。

帰国してからのこの1ヶ月はあまりに濃く、書きたいことがたくさんあるけれど(「義父に怒られる事件」や「オーストラリア税関からの電話事件」など)、今日はここまで。また落ち着いたら書きます。

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