マクドをクビになった人間の考える「仕事ができる」
「仕事ができる」とは何なのだろうか。
僕個人は正社員になった経験も無いし、マクドやローソンのバイトですらも、クビになった男だ。
家庭教師をやったこともあるが、三人受け持って、三人不合格だった。結婚式場のビール注ぎは二時間でクビになった。というより嫌になって帰ってしまった。次の日、労働分の時給は貰いに来た。
「お前、仕事ができるやつか?」と聞かれたらだいぶ自信が無い。しかもたぶんまたクビになると思う。むしろもっと早くクビになると思う。
しかし、そもそも「仕事ができる」とは何なのだろうか。
現在、僕は六十名以上の従業員を抱えながら、中小の経営をしている。資本提携も含めると、数社になる。
juJoeも独特の営業を仕掛けながら、力を溜めている。MVからのパワープッシュやタワレコの展開もボーッとして、舞い込んだ仕事ではない。スタートアップは、すべて僕から仕掛けてはいる。
思うのは、「仕事ができる」=「能力の高さ」ではないということだ。
その証拠に良い大学を出ても使い物にならない人間もいるし、大企業にいるけれど、何の役にも立っていない人間もいる。
では「仕事ができるやつ」とはどんな男を指すのだろう。
それは「やりたいことが明確で、それについて四六時中考えていて、情熱を注ぎ込んでいる状態の人間」だ。
ネットで情報は手に入るし、根本的に見直したいなら専門書を読んでもいいし、自分よりキャリアのある人間に聞きに行くのもいい。何より頭の中で幾度もシミュレートするのだ。
好奇心。と言ってもいい。
日々やりたいことを明確にして、まつわることを吸収し、自分の仕事の改善や創造に活かすことに集中しているひとが、他者を引き離して成果を出す。
逆に言えば、「能力」というのは仕事において誤差の範囲内なのかもしれない。能力よりも、成果に直結するのは空いた時間の頭の使い方だ。
ぼんやりしたり、スマホゲームで時間を潰しているあいだも、頭のどこかは打ち込んでいることにあるようになるといい。
街を歩いていても、車を運転していても、アイデアのかけらは転がっている。別の仕事や遊びをしていても、共通項は見つかる。
いつも仕事のことを考えているひとが伸びていく。
しかも大きく高速に伸びていく。これが「仕事ができる」ではないだろうか。
そうなるには自分が注ぎ込める「情熱」が必要になる。これには好奇心が不可欠だ。好奇心や情熱が無いと、すぐに僕にとってのマクドやローソンになる。
マクドやローソンが好きならいいだろう。ただ、僕にとっては時間の無駄でしかなかった。あの仕事に対して、好奇心ゼロだからだ。
あなたも近い環境にいるならば、あしたにでも辞めた方がいい。
「好きなことだけで生きていく」という広告があったが、アレは「ラクして生きろ」という話では無い。
「四六時中そのことを考えられるようなプラットフォームを用意したぜ」ということに過ぎない。「好奇心が走りだしちまってるやつ、かかってこい」という広告だ。
僕のnoteは性質上、バンドマンがよく読んでいるらしい。
バンドを「自分のやりたいこと」と表現するひとが多いが、正直疑わしいケースが多い。大半が口だけの雑魚でウンザリする。
音楽屋としての自分に、全然好奇心が無いバンドマンがやたらいるのだ。マクドやローソンのようなつもりで、やっているのだろうか。
「好奇心」を注ぐのも甘くない。
それ相応のものを捨てないと、爪痕すら残らない。四六時中考えていたら、バンドに必要なものは見えてくる。
強い身体も行動力も知恵も資本も必須だ。
それと共に絶対的なライブ力、支配力のある楽曲、それを広げる広告力。同時にメンバーのモチベート。
とてつもなくキツイ現実が見えてくる。
「音楽が好き」なんて動機では脆いのだ。否定はしないが、脆い。
二十三歳、二十五歳、二十七歳、二十九歳と二年ごとに「音楽イヤイヤ期」はやってくる。
ベースやドラマーが彼女に結婚&就職をせがまれ、「引退しろ!」とそそのかされるのだ。
そのプレイヤーは折衷案で「土日だけやろ。趣味程度にして、活動ペース落とさない?」などと言い出す始末だ。
こうなると、もう辞めた方がいい。
女の脅迫が天秤にかかって、負けるぐらいの好奇心ならば、うまくいかない。
「音楽が好き」に偽りは無いのかもしれない。でもそれは「ハンバーガーが好き」でマクドで働き始めた僕ぐらいには脆い。
ある程度、千切れたことをやっていかないと歌う場所すら失くなるのだ。千切れたことをやっていけば勝手に進む。楽観的に進めばいいのだ。
難しいことでもない。
足りないものを一つずつ足していくだけだ。「足していこう」と思えた時点で、もう六割以上は満ちたようなものなのだから。
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