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【49】ムズングの故郷

今日ようやっと、寝床に着いた。ケニアからドーハについて、ドーハから香港、その後は中部国際空港の予定だったけど、コロナの影響で欠航になって、羽田についた。

海外に長期滞在して帰ってくると、日本どう?とよく聞かれる。答えに窮するけど、僕はあまりそんな大きな違いをいつも感じない。でも今回はなにか違った。言葉にできない何かがずっと、渦巻いているような感じ。

世界中同じ空の下なんてよく言うけど、本当にそうなのだろうか。東京のビルに遮られた空と、あの島の澄み渡った空は本当に同じものなのだろうか。

僕が日本からケニアに行ってカルチャーショックを感じたように、日本からケニアに来てカルチャーショックを感じたような、と言ったらいいのだろうか。他に言葉が見当たらないけど、何か自分だけ一人浮いているような感覚で電車に乗り込んだ。

それでも、心は落ち着く。好奇の目で見られることも、いわれのない言葉をかけられることもない。僕にとってここは、居心地がいいところなのだと思う。悔しいほどに。

ムズング、ムズング。そう言って声をかけてきた子ども達を思い出す。やっぱりあの子達は正しかった。苛立ちを覚えるほどに。

それでも、きっとどれだけ遠くても同じ世界だということは、まだ引きずったままの食中毒のお腹の痛みが教えてくれている。

久しぶりにゆっくり寝れるかもしれない。ほんとうに心の落ち着く場所で。ムズングの故郷で。

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