東洋医学【精とは?】
前回は東洋医学における人体の仕組みの中でも
生理物質の特徴をまとめた。
その中でも、今回は人体の構成や生命活動を維持する最も基本的な物質である「精」について詳しくまとめてみました。
【精】
精とは
組織・器官を滋養する働きや
気・血を化生(変化・生成)し、神を維持する働き、
人体の構成や生命活動を維持する最も基本的な物質である。
精の化生
精は、父母から受け継ぐ、先天の精と
飲食物を摂取することで絶えず補充される、後天の精が合わさった生理物質である。
精の分類
■先天の精
・先天的に父母から受け継ぐ物質。
・腎に蓄えられる。
・人体の成長や発育の源となる。
■後天の精
・脾胃の働きによって飲食物(水穀)から後天的に作られるもので
「水穀の精」とも呼ばれる。
・気や血に化生される。
・腎精(腎に蓄えられた精)を補充している。
■臓腑の精
・精は各臓腑に配分され臓腑の精となる。
・各臓腑を滋養するだけでなく臓腑の気を化生し、生理機能を維持する。
■生殖の精
・生殖に関与する作用を持つ精。
・腎精に含まれている。
精の作用
■気への化生
・精は必要に応じて気に変化する。
・気は人体の新陳代謝を推動・制御し生命を維持する。
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精は生命の本源であり、人体を構成する最も基本的な物質。
■血への化生
・精は必要に応じて血に変化する。
・精が充足→→血も旺盛→→各組織・器官を滋潤(滋養・潤沢)する。
■神の維持
・神は生命活動の総称。
・精が充足→→神の機能が保たれる。
■滋養
・人体の組織・器官を滋養する。
・精が充足していれば生理機能は正常。
■生殖
・腎の整理機能が盛んになり充足すると、天癸が産生され生殖能力が備わる。
・天癸→→生殖機能の成熟を促す物質。
精の病理
精の病証の本質は精の不足(精虚)
虚証→→生理物質の不足や機能低下のこと。
精虚
精が不足した病態→精虚(虚証)
腎に貯蔵されている精→腎精
・精虚と腎精不足は同義である。
精が不足→→組織・器官を滋養できない→→成長不良、発育不良、生殖機能の減衰、髄海不足などになる。
原因
■食生活の乱れ
・飲食不節→→十分に精を産生できない→→精が不足
■過労
・長患や過労→→気が消耗
気は精を化生しているため、気の減少は精の量の減少になる。
■性生活の乱れ(房事過多)
■精の損傷
・体内で熱が発生→→陰液が損傷(精は陰液の一つ)
■先天不足
・生まれながら精の量が少ない
■出血・嘔吐・下痢・大量の発汗
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・生理物質が失われる→→精は失われた生理物質を補充→→失った生理物質の量だけ精も減少する。
症状
■成長不良・発育不良
・先天不足にみられる
■虚弱体質・易感冒(風邪を引きやすい)
・精の不足→→気血の減少→→身体の抵抗力が落ちる
■不妊症・閉経(無月経)・陽萎(勃起不全)・性欲減退
・精の不足→→生殖の失調
■耳鳴り・難聴・眩暈(めまい)・頭髪の脱毛・健忘
・精は髄海(脳)を滋養するため、精が不足→→髄海を滋養できない
■虚労(倦怠感や無力感)・脈が弱くなるなどの症状や初見が出現
・精の不足→→気血不足→→組織。器官の働きが減衰
まとめ
精の役割は様々で重要であり
しっかり食事をとり、しっかり休養をとることが大事というシンプルなことにも感じますね。
次回は、「気」について書きたいと思います!!