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ショートショートの神様

 記念すべき1冊目は、星新一『きまぐれロボット』。ショートショートの神様と名高い彼の作品を実はこれまでに読んだことがなかった。というのも、元々短編集というものをあまり読まず、好んで読むのはファンタジー小説が多かった。読書を習慣化するにあたって、手持ちのなかから読みやすいショートショートにしようとこの作品を手に取った。

 いくつかの短編のなかで、私が特に印象に残ったのが以下の4篇だ。


新発明のマクラ

 寝ながら学習! なんて夢のようなことが謳われている商品を見たことがある人は多いと思う。そんな楽をできたらどんなにいいかと思ったこともあるだろう。しかし、やっぱりといえばやっぱり、いつまでも効果は表れない。

 効果がなかったのか? というと、最後にどうやらそうではなかったことがわかる。このオチの部分が、何故だか妙に腑に落ちてしまった。このちょっと納得してしまう感じが星新一のショートショートの魅力なのかもしれない。


博士とロボット

 ある星に博士とロボットが赴き、文明化の手助けをする。現地の人が尊敬するのは、実際に教えてくれるロボットか、ロボットに命を下したり、整備をする博士か。ポイントは、「その土地の人々は何も知らない」ということ。


地球のみなさん

 オオカミ少年だと思われていた人が、本当のことをもし言っていたら?

 それと気づかずに、周囲が嘘だと決めつけ、「矯正」してしまったら?

 そんなもしものことが、現実で見かける様相と重なってしまう。何が是で悪なのか、文化相対主義が良いとは思わないけれど、決めつけで物事を見るというのはやはり怖いことだと思う。


あーん。あーん

 赤ちゃんが泣いている。多くの人が、どうにかして泣き止んでもらおうと試行錯誤するだろう。泣き止むと、正解が見つかったように思える。

 しかし、赤ちゃんはまた泣き始める。しかも、以前より大きな声で。

 終盤、解決したかのように思えたところに、再び赤ちゃんが泣き始める。どうしてこんな描写になったのか、気になって仕方がない。


 久しぶりの読書は、思ったよりも早く読み終えられて、何故こんなに積読してしまっているのか不思議に思えるほどだ。明日は何を読もうか。今から楽しみだ。



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