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【物語る映画ポスター】アメリカン・ビューティー
![](https://assets.st-note.com/img/1680786107252-hpxdBXOdko.jpg)
平凡なアメリカのとある家庭が
崩壊する様を鮮やかに描いた傑作です。
「アメリカン・ビューティー」とは
バラの品種のひとつ。
本作では、この赤いバラが
とてもうまく象徴的に使われています。
![](https://assets.st-note.com/img/1680786304320-7ivno0XGyB.jpg)
ケビン・スペイシーが演じる
42歳の中年男性が高校生の
娘の友人に恋をしてしまう。
↑このポスターは、
彼の脳内映像として
作中で見事に美しく描かれるシーンの一部。
おっさんにとっての「バラ」は
官能の象徴です。
![](https://assets.st-note.com/img/1680786731363-aNWZaXS5fK.jpg)
まさにこんな具合に、
目がバラで花畑になってしまうほど。
退屈な日常の繰り返し、
家庭では嫌われ肩身がせまい、
年下の上司に嫌味を言われるお父さん。
恋のバラが咲いてから
人生が再び花ひらくのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1680786927906-GfrhT8R0Bc.jpg)
叶わない恋の理由は、
年齢の差だけでしょうか?
抜群の表情で私たちを引き込みます。
![](https://assets.st-note.com/img/1680787795454-uflecFVkxM.jpg)
いい表情だったのでもう一枚。
右下にある小さな白いものは、
![](https://assets.st-note.com/img/1680787094867-JteyiCdFfJ.jpg)
白いビニール袋。
この拙いゴミの一部が
ある人物に、ある決心を抱かせます。
![](https://assets.st-note.com/img/1680787210187-jMsNF3lrUx.jpg)
そのビニール袋すらも
彼にとってはバラになる。
背景は黒いゴミ袋で
よく見ると、さらにその後ろには
テレビ台とビデオの映る画面。
印象に残っている部屋の一部です。
事件もここで起きる。
意味がうまく集約されてる
素晴らしいデザイン。
![](https://assets.st-note.com/img/1680788775793-pFMk96hlHO.jpg)
ビニール袋と連動して
キーになるアイテムです。
こいつのせいで、
あらゆる崩壊が起こっていく。
でも、彼の夢の一部にもなる。
![](https://assets.st-note.com/img/1680787503635-Mc4dHBwEfk.jpg)
夫婦の仲を引き破って現れたのは、
目隠しした微笑の女性でした。
「アメリカン・ビューティー」というタイトルは
すごく皮肉が効いています。
というのは、美しさを確認できるのは、
ここまで示したほんの一部であって
あとは、アメリカの中流家庭が抱える
問題、闇、病、みたいなものを
痛烈に炙り出しているのです。
ビューティーとか言ってる場合じゃない。
![](https://assets.st-note.com/img/1680788210647-iQlposJ6qi.jpg)
そのあたりの皮肉を
うまく表しています。
本作では、↑のポスターの通り
赤、青、白、の色が意識的に使われてます。
「僕だってまだ”血”が通っている」というセリフ。
大事な場面で来ている青のスーツ。
卵の殻、ソファーの模様・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1680788861886-lfQrKNJX6T.jpg)
そんなメタファーを
巧みに織り交ぜながら
ユーモアも上手に挟みつつ
アメリカ社会そのものの批判にまで及ぶ。
エロあり、笑いあり、感動あり、
風刺あり、痛さあり、
カラフルで重複的な楽しみを味わえます。
まったく退屈するところがなく
個人的に大好きな映画の一つです。
ご覧頂きありがとうございました、
ここまでお読み頂きありがとうございました。 こちらで頂いたお気持ちは、もっと広く深く楽しく、モノ学びができるように、本の購入などに役立たせて頂いております。 あなたへ素敵なご縁が巡るよう願います。