テ・アラロアのリスクと対策
2023/24シーズンにニュージーランドのロングトレイル(テ・アラロア)を歩いたたくとまきのまきです!
ニュージーランドのテ・アラロアと言えば、ありのままの自然を楽しめる、でも大変。というのが歩いているハイカーが口をそろえて言う感想です。
この記事ではテ・アラロアを歩く際のリスクとその対策を紹介しておこうと思います。
乾かない靴、靴下、そして足
テ・アラロアのトレイルは、ありのままの自然を楽しめると言われていますが、それは日本の登山道と比較した時にタフなコンディションであるということでもあります。
潮の満ち引きに追われるビーチ歩き、膝上まで浸かる泥沼の森、雨で家畜の糞尿が混ざり合ったどろどろの農場歩き、ひたすらに続く渡渉や湿原など。
日本の登山道と比較し、足が濡れる機会がとても多いです。
足が濡れているとロクなことはありません。
マメが出来、潰れて皮がめくれ、その足をまた泥沼や海水に入れるわけですから感染のリスクも爆増。
なにより痛くて楽しくないです。
朝起きて一日の初めに濡れた靴下(しかも臭い)を履くのは嫌なものです。
対策
・ローカット非防水の靴
多くのハイカーはローカットで非防水の靴を履いています。
濡れるのは仕方ないとして、早く乾いてほしいから必然的に乾きやすい靴になります。
トレイルサンダルと併用して歩いているハイカーもいました。
・メリノ靴下
メリノが50%程度織り込まれている靴下を使用すると臭いが抑えられます。(臭くないことは決してない)
また濡れても多少温かい気がします。
着替えを持っていないハイカーはいましたが、靴下の替えを持っていないハイカーは1人もいませんでした。
最低2足、人によっては3足持っていました。
ヨーロッパ勢はインジンジ、アメリカ勢はダーンタフ、現地ではマックパックが人気。
・マメの対策
靴の中で擦れて熱くなっている、という段階で面倒くさがらず擦れている場所にテーピングを施すとマメにならずに済みます。
こまめに足を乾燥させるとマメが出来にくくなるので、休憩中は靴と靴下を脱いでおくといいと思います。
出来てしまったマメの対策は様々言われていますが、個人的には大きくなる前にさっさと潰した方がいいと考えています。
テーピングには、海外ハイカーから教えてもらった「ロイコテープ」を使用していました。接着力が強く、濡れてもはがれにくくてよかったです。
1日の寒暖差と変わり続ける天気
ニュージーランドは1日のうちに四季があると言われているほど1日の中に大きな寒暖差があります。
朝は防寒着が必要なほど寒くても、日中はうだるように暑く、そして夜はまた寒い。
南島ではその性質が北島以上にあり、真夏でも山岳地帯は雪が降ることも。
また、細い島国であるため、天気が変わりやすいのも特徴。
ニュージーランドの天気予報ほどあてにならないものはないとハイカー同士で常々言いあってました。
晴れ、雨、風、雪とハイカーを飽きさせません。
ポジティブに言えば1日中雨が降り続けるということはあまりなく、晴れてさえしまえば湿度が低いため乾くのも早いです。
対策
・幅広い温度帯に対応できる装備の携行
テ・アラロアの推奨されている期間は10月から3月までの6ヶ月です。
10月中旬スタートでSOBOの自分たちの場合、0度を下回った日はほぼなく、上は30度を超える日が何日かあったかなというくらい。
大変なのは1日の中で10~20度ほどの気温差があるということ。
ウェア類の選択は個々の暑さ寒さの感じ方やハイキングのスタイルにも左右されると思いますが、細かく調整できるウェアが推奨されます。
・雨対策
濡らしてはいけない寝袋や防寒着は防水バッグやパックライナーを使用して濡れないように対策。
自分たちはゴミ袋を使用していました。
雨の日にはカッパを使用しますがどんな素晴らしいメーカーを使用しても顔が丸出しである以上顔を伝って首元とかは濡れるし、蒸れによる濡れがゼロということはないと思います。
メリノのシャツや化繊ダウンなど少しくらいなら濡れても問題ない装備を選ぶのもありだと思います。
雨の中のテント設営や撤収、テント内での生活は慣れだと思っています。
さっさと張ってさっさと入る、濡れたものをゴミ袋に突っ込み、フロアを拭いて寝袋が濡れないようにする等々
YouTubeでたくさんの人がHow To動画を出しているのでそれを見てイメージしておき、あとは実践あるのみ。
道路(ロード)歩き
テ・アラロアのコースには道路歩きや住宅街を歩くセクションも含まれています。
「人々の生活圏や都市部を見るのも楽しいよ!」
ということなのですが
この道路歩きが結構大変。
アスファルトは足への負担が大きく、膝や腰を痛めたり、靴擦れなどが発生します。
また、長い道路歩きは精神面でも堪えます。
オークランドのセクションでは、オークランド空港の前の道路が公式ルートになっています。
この道は交通量が多く、一部歩道もありません。
「運転手からしたら迷惑だろうなー」
「排気ガスめっちゃ吸うやん」
「(車の音)うるさいなー」
「道路を歩くために、時間も食料も減らすくらいなら、バスでワープして次のトレイルを歩いた方が楽しいんじゃない?」
思わず愚痴がこぼれ続けます笑
対策
・歩いている時にできる気分転換の方法を見つける
音楽やラジオで気分転換すれば、モチベーションを保つことができます。結構、気分転換大切です。
Wi-Fiのある宿に泊まったらラジオを大量にDLしておきます。
オーディブル(本を音読してくれるサービス)が好きなハイカーも。
・歩く目的や自分ルールを事前に決める
多くのハイカーが、
「行くからには3000㎞全部歩くでしょ!」っという意気込みで行く場合が多いと思います。
が、
すべてのセクションを歩くのはなかなか難しいものがあります。
海の満ち引きや川の増水、メンテナンスのためトレイルが閉鎖している、
農場の所有者が今年は解放しなかった等によって迂回せざるを得ない場合が出てくるためです。
すべて歩くハイカー(NZではエフィと呼ばれ、Every Fuckin Inchの頭文字)
トレイルを歩けなかった分車道を歩いて繋げるハイカー
スキップした分別のトレイルを歩いて距離を3000㎞にするハイカー
アスファルトや住宅街はスキップするハイカー
観光しながらとにかく楽しそうなとこだけ歩くハイカー
紙の地図だけで歩いたり、裸足で歩き続けるハイカーもいました。
ハイカーの数だけ歩き方があります。
本当に面白い部分です。
重要なのは自分たちが楽しむこと。
Find your own TA (あなたのTAを見つけよう)
マオリの女神が生んだサンドフライ
ニュージーランドのトレイルについて調べている方ならご存じかと思いますが、サンドフライというブヨはこの世で一番の害虫だと思います。笑
2㎜程度の小さな虫ですが刺されたら最後、めちゃくちゃ痒いです。
2~3日は特に痒いです。
動き自体は速くないので歩いている間は刺されませんが、休憩等で止まると群がってきます。
テントを張る場所によってはテントから一歩出ればサンドフライの群衆に囲まれ、ファスナーを開けた瞬間に一気にテントに入ってきます。
特に水場近くは多かった気がします。
カヌーセクションのテント場は最悪でした。笑
対策
・肌を出さない
肌が出ていなければ刺せないので一番の対策はこれかなと思います。
ただし、メッシュ素材で皮膚が素材にくっついている状態だと刺されます。
私たちは、インナーテントがメッシュだったのですが、メッシュに肌が当たっていると普通に刺されました。
・(噛まれたら)ムヒアルファEX
現地のかゆみ止めもいくつか試しましたが、日本から持っていったムヒアルファEXがダントツで痒みが治まりました。
ない人は掻く前に冷やすといいそうです。
水が近くにあれば冷やすのも応急処置として有効です。
まとめ
テ・アラロアは、ありのままの自然を楽しめる、でも大変。の、大変な部分を紹介しました。
対策を最後に箇条書きにしておきます。
・靴は非防水ローカット
・靴下はメリノで最低2足
・靴の中で擦れを感じた時点でテーピング、マメが出来る前に手を打つ
・細かな温度調整ができるウェアを準備
・濡らしたくないものはしっかり防水、濡れても多少平気な装備も便利
・ロードセクションのお供に音楽やラジオ
・どうテアラロアを歩くか事前にルールを決める
・サンドフライ対策は肌を隠す、刺されたらムヒEX
~ハイキング中に使用した用語~
TA(ティーエー)=Te Araroa(テ・アラロア)
EFI(エフィー)=Every Fuckin Inch(すべて自分の足で歩く人)
SOBO(ソボ)=South Bound(南向き)
NOBO(ノボ)=North Bound(北向き)
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