【解説】種苗法、種子法、タネのこと。
農業について勉強していると、たどり着くタネのこと。
かくいう僕自身もさっぱりでした。固定種・在来種を守る活動をされる野口勲さんのご講演や、大手種苗メーカーと先住民との闘争の日々を記録したドキュメンタリー"種子-みんなのもの?それとも企業の所有物?などを観ながら、ふむふむと勉強してきました。
そこで出てくる用語や法律やらが難しかったので、僕のノート代わりに優しく噛み砕いてみます。
固定種(在来種)とF1種
どの地域でも、生産者が集落や地域単位でタネ採りをしてきた歴史があります。
タネ屋が各集落からタネを買い集める⇨タネ屋が農家にタネを渡す⇨作った野菜を市場に売る⇨タネ屋にタネ代を支払うor育ててタネを返す、というサイクルで回っていたそう。
そもそも作物は、その土地の気候風土に合わせて選抜を繰り返して(されて)きました。そのなかの固定種(在来種)とは、その地域で脈々と育てられてきた土着の品種のこと。信州高菜、賀茂茄子など地名を冠するものが多く、その土地に合った適性がタネを残していく運動が各地で盛んに行われています。ラテンアメリカでは、地域に受け継がれる固定種のタネのことをクレオールといって、先述の映画の題材にもなっています。
しかし、育った作物からタネを取る(自家採種)という行為は、花が咲いてタネができるのを待たなければいけません。あまりにも効率が悪く手間もかかるために、タネ取りは次第に行われなくなっていきます。
効率を上げたい生産者さんはタネを購入し、流通される品種の主流は「F1種」がほとんどに。
これはメンデルの法則による雑種1代目のことで、「美味しいけど病気に弱い」野菜と「病気に強いけど不味い」野菜を交配させて、「美味しくて病気に強い」野菜(F1)を作るということです。
いやいやこれの何がいけないの…?ということですが、いくつかの理由が挙げられます。
1.大手種苗メーカーによる独占
これはF1種ではなく、GMO(遺伝子組換え作物)とされるものが、日本でも主要農作物種子法が廃止されてからまだ日が浅く、今後が心配されていますね。タネに関する法律というのはとりわけややこしいので、ざっくり解説します。
日本ではあまり耳にしませんが、品種の特許登録をすると「今後絶対買わないと訴えるぞ!」という形で迫られる(?)ので、インドや南米では農民による反対デモが頻発したりと、とりわけ問題になりました。特に、インドでは綿花の自家採種が禁止されたことから、80倍の値段の遺伝子組み換え綿花のタネを購入する事態となり、生活に困窮する人の多くが自殺したという歴史があるとか。ドキュメンタリーなどからの知識のため、いつか一次情報つかみたい。。。
2.雄性不稔の危険性
自然に任せていたら自家受粉されてしまい、思うような野菜が得られないので今まで品種改良をするときは人為的に雄しべを取り除いていました。
ただ、そうやって作られていく野菜は母体のコピーでしかなく、どんどん均一化されていく野菜ってなんだか不気味ではありませんか。野口さんは、F1種の種取りをしている畑には不思議なほど動物が寄ってこないことから「野生動物は自然じゃない作物を本能的に避けているのでは…」という考察を立てています。
まとめ
F1種についてはなかなか厳しい意見もありますが、実情はカタログに固定種/F1種と分かれて載っていて、生産者さんはタイミングで使い分けているだけだったりします。
なんでも頭ごなしにF1が〜〜!と批判するよりかは、もっと背景を考えられるくらいおおらかになったらいいのにな〜〜と思います。
また農業系の知識については僕も不勉強ながらわかりやすくまとめていきたいので、「こんなの知りたいんだよね」というお声かけ諸々お待ちしております
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