『絶対に挫折しない日本史』(古市憲寿, 2020)

新年二冊目の読了となります。

昨年、「ゆる言語学ラジオ」に出会いました。
その後、パーソナリティの水野さんと堀元さんが尊敬する「コテンラジオ」にもハマり、「歴史を知った方が人生おもしろそう!」と思うようになりました。

今まで歴史に対しては全く興味がなく、むしろ歴史学習を避けてきた節があります。
それは「ただのマイナーな知識の習得に過ぎない」「数学や英語など日常生活で活用できたり応用がきいたりするものの方がコスパがいい」なんて考えてきたからです。

今ではコテンラジオで強調される「メタ認知の機会を提供する」という理念を実感を持って共感しているので、2023年は少しずつでいいので歴史への抵抗感をなくそうとしています。

ちょうどブックオフが1月4日まで年始のセールをしていたので、日本史に関する本を探していたところ出会ったのが今回の『絶対に挫折しない日本史』(古市憲寿, 2020)です。

たしかに歴史弱者の私でも挫折せずサクッと読むことができました
歴史に苦手意識を感じている人にはオススメだと思える一冊です。

歴史を簡単に概観できる

その理由は、一つには「歴史を概観してくれる」ところにあります。

歴史を楽しく学ぶ秘訣は、まずは大まかに捉えることだ。(中略)日本史はたった三つの時代に分けることができる。バラバラに生きていた人々が、一部の権力者によってまとめ上げられていく「古代」、それが崩壊していく「中世」、再び列島中が一つになった「近代」だ。(p.12-13)

自分が読んでいるのが、「古代」「中世」「近代」のどの時代なのかを見失わければ歴史はぐっと理解しやすくなる。実際には「古代」「中世」「近代」と区分できないことも多いが、「まとまる→崩壊する→再びまとまる」という流れは知っておいて損はない。(p.13)

時代の名前を暗記することが歴史学習だと考えていた私にとっては、これだけの単純化だけでも知識の再構成の役に立ちました

本書は固有名詞を極力省くという工夫を用いて日本史を概観してくれます。

おかげで
①7世紀ごろ「天皇」の誕生により国を「日本」と呼び始める。
②その後、有力者(貴族、寺社、地方豪族)が力を持ち、「天皇以外」が力を持ち始め「国」として統率できなくなり、地方自治体ごとに争い始める。
③戦国時代終盤、戦国トーナメント決勝優勝者が力をもってまとめるようになり、外国を仮想的として明治維新あたりで「国民国家」化していった。
くらいの理解はできるようになりました。

大枠が理解できていれば、「なぜ?」を原動力に事象の繋がりが感じられやすくなります
その意味で歴史弱者向きの本だと言えるでしょう。


注釈や皮肉がおもしろい

もう一つには、「注釈や皮肉がおもしろい」ところにあります。

(注釈27)「魏志倭人伝」によると、邪馬台国の人々には以下のような特徴があるという。気候は温暖で裸足、酒をよく飲む、偉い人に会うと拍手をする、身分が高い者は4、5人の妻を持つ、女性はつつましやかでやきもちを焼かない。書き手の理想が混じっている気がするのは考えすぎだろうか。(p.26)

(本文)超巨大古墳を造営できた王権は、権力を集中させる仕組みを作り上げようとした。しかしマイナンバーや地方交付金もない時代、どうやって地方を支配できたのか。
(注釈48)現代日本はマイナンバーがあっても住民を一元管理できていない。(p.37)

この本も4章まできた。出口治明あたりの日本史だと、まだ高床式倉庫や卑弥呼の話でもしているところだろうが、何ともう戦国時代である。(p.76)

このように書き手の人間性や考え方が透けて見える文章というのは(人を傷つけないならば)個人的に好きです。
人によっては毛嫌いするのもわかるが、そういった嫌悪感を抱きやすい人は、そもそも古市氏の著作を読まないはずですよね。

以上のように、「歴史を単純化して概観してくれる」「著者のいじりがおもしろい」という二点から、著者に嫌悪感を抱かない歴史弱者はぜひ読んでみてほしいです。

ただ、二点目についての気を付けたいのは、いじりは前半に集中しており、歴史を概観した後のトピックごとの歴史(第二部p.162~309)は真面目でな傾向にあるところです。
実際私も第二部は流し読みしてしまった。


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