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Peak Designの『黒い』アンカー

こんにちは。Takuma です。

今回もニッチな DIY のご紹介です。

<<- (2021/3/22追記)5ヶ月後の経過報告や手順改善について、以下にまとめましたので、あわせてお読みいただければ幸いです ->>


はじめに

カメラ好きならご存じであろうアクセサリメーカ Peak Design

ピークデザインの Anchor link connection system は素晴らしい製品群で、カメラストラップやハンドグリップなどを簡単に着脱できます。コネクタである、赤く丸い「アンカー」が特徴的です。

このアンカーが黒一色だったら、さらにシンプルな佇まいで、より良かったでしょう。銀一とコラボした青色 や Nikon とコラボした黄色 のアンカーもあるようですが、どうやら黒色は無いようです。

「染めQ」で黒色に塗装されている先人 (@goando 氏) もいらっしゃいます。

染めQ はかなり性能のよい塗料ではありますが、原理的に塗料は表面に塗膜を張るものですから、コネクタと擦れて、徐々にハゲる恐れが気になります。クリアを吹いて塗膜を強固にしても良いのですが、厚みの変化や滑り具合の変化も気になります。

強固で剥げない黒いアンカーが欲しいのです。でも、黒いコラボ製品も無い。

では、いつもの通り、「無いのなら作ってしまおう」 の精神で臨みましょう。Peak Design の Black Anchor の工作になります。

! メーカ保証外の製品、改造を紹介する記事です。本改造に伴う一切の故障、不利益について、当方はいかなる責任を負いません。ご自身の責任のもと、実施してください。

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アプローチ

塗装しないで、強固な黒いアンカーを手に入れるためには、2通りの方法が考えられます。

1. 3Dプリンタで自作成型する
2. プラスチックを染色する

3Dプリンタでの自作は、望みの色で作成できるものの、費用と時間のコストが高めですし、耐荷重の設計も難しいでしょう。他方、プラスチックの染色は案外簡単で、素材の内側にまで染料が染み込んでくれれば、多少の摩擦でも剥げないことが期待できます。

このため、今回はプラスチックを染色する手段を採りました。

プラスチックを染色するならコレが便利。大阪化成品社の、樹脂用染料「SDN」です。

! 強い染料ですので、取り扱いは要注意です。 染色中は必ず換気してください。触れたり飲んだりも厳禁です

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作業手順

! Takuma3_はキッチンで作業していますが、飲食物を作るのと同じスペースでの作業はリスキーです。可能であれば別のスペース、屋外などでの作業をオススメします

道具は以下のとおりです。

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* Peak Design - Anchor
* SDN
* ビーカー
* 水温計
* 鍋
* 防護用品 (マスク、ゴーグルなど)
* 撹拌&すくうための使い捨ての棒 (割り箸)

理科実験でおなじみの懐かしきビーカーですが、DIYでも重宝しますので、オススメです。

以下の水温計が、なべに引っかけられるし安いのでオススメです。100均でも有りますが、複数回使う可能性があるのでしたら、そこそこの製品をオススメします。

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では、作業に参りましょう。

『1. Anchor を石けんで洗って、一日水の中に漬けておきます』
脱脂の有無は仕上がりのムラに直結しますので、念入りに洗っておきましょう。SDNのマニュアルに書いてあるので漬けることをオススメしますが、省略したアンカーと結果を比べてみても差は見当たりませんでした。写真ではジップロックの中に漬けてありますが、ビーカーの中で漬けた方がベターでした。

『2. ビーカーの中で、SDNの原液 10 ml と水 200ml (1:20) の割合で混交します』
キャップを開ける際や注ぐ際は、原液が飛び散らないように細心の注意を払いましょう。

『3. Anchor をビーカー内のSDN液に漬けます』

『4. 鍋の中央にビーカーを入れ、SDN液の水位を少し超えるように鍋に水を入れ、水温計を鍋に挿します』

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『5. 加熱を開始し、適正温度で水温を維持します。割り箸で適宜混ぜます』
Anchor が具体的にどのプラスチック材なのか判断がつかなかったので、適正温度がどの程度かは、状況を確認しながらの手探りとなりました。なお、写真ではラップがかけてありますが、これは煮詰めた後の冷ますタイミングだったので無視してください。

結局、80度前後で煮詰めました。沸騰させてしまうと、染色液の飛沫が飛ぶので危険です。気をつけて良い感じの水温をキープしてください。また、どれくらいの時間煮詰めたら良いのかは、素材や形状、環境もろもろに依ります。

5〜20分では赤みが残っています。

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結局、40分間煮詰めました。良い感じです。真っ黒に見えます。

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『6. (省略しても良い) 長時間漬け込みます』
しっかり染色されることを期待して、一晩常温で漬けておきました。結果的には、漬けなかったモノと比較したところ、あまり効果がなく、こちらもおまじない程度です。

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『7. (完成) 中性洗剤で洗い流したあと、風通しの良いところで乾燥させます』
なんだか、不思議な光景です。

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完成

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出来映えはこの通りです。写真では、ふちなどに赤みがかったムラが有るように見えますが、肉眼で見ると赤ではありません。むしろ、油性ボールペンのインクの光沢や、水たまりの油の干渉に近い、黒い光沢色です。

とりあえず、コネクタとの抜き差しを手荒く50回繰り返してみましたが、色の変化は見られません。どうやら成功のようです。

長期的な耐久性は今後使っていく中で確認していきたいと思います。

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ストラップを付けてみましょう。黒色になってグッとシンプルになったように感じます。

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終わりに

いかがでしたでしょうか。
Peak Design の 黒い Anchor の DIY は以上となります。

最後に、愛機 SIGMA fp に取り付けてみた写真をどうぞ。

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シンプルになって、良い感じです!

それでは、みなさんの写真ライフに幸あれ!

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ちなみに、SIGMA Art ラインの大きなレンズを付けるなら太いストラップが良いのですが、SIGMA fp についている 45mm のキットレンズや Leica レンズのようにコンパクトなレンズでしたら、Peak Design のストラップの中で最も細いリーシュがオススメです。


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