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学びが必要な時は、向こうからやってくる。

先月、緊急事態宣言の営業自粛期間中、一念発起してバーテンダースクールに通い出した。

9日間に渡り、お昼の12時〜16時まで座学や実技の講義を受ける短期集中のコースだ。

仕事をしながら神田にある学校に行き、日中の4時間を学びに割くのは簡単ではなかったが、久しぶりに「毎日学校に通い、学ぶ」体験はとても清々しく、日々自分の成長を感じられる満足度の高い時間となった。

何よりも、「学び」と「学びを始めるタイミング」について、自分なりの気づきを得る体験になったので、noteに残してみる。

自己流の学びには、原理原則が伴いづらい。

今回わざわざお金と時間を割いてスクールに通う決断をしたのは、今後の飲食事業の拡大を見据えて、体系的に理論を学びたいと思ったからだ。

約2年前から、僕はLOBBYというバーを経営し、自分でもお店に立ってサービスをしている。

デザイン会社を経営する仲間達と、バーテンダーの経験は一切無く始めたお店。

当初は全くお酒のことがわからなかったので、カクテルのメニューはバーを経営する先輩に監修してもらった。

YouTubeでツールや技法について勉強したり、カクテルブックを見ながら試作してみたり、とにかく飲みに行って美味しかったお酒をお店に入れてみたり、自己流で運営してきた。

お店は沢山の常連さんに支えられ、経営自体は軌道に乗り、新たなステップとしてこの春新店をオープンすることになった。

多店舗展開において、まず課題にあがるのはマネジメント面だ。

これまでは自分達がお店に立ち、マネジメント業務を兼任していた。
ただ、お店が増えると、物理的にそれぞれの店に立つ時間は減り、現場に目が届きづらくなる。

そうなると、誰かにマネジメントを任せる必要があり、そのために人を育てないといけない。

属人的にならないようお店のサービスレベルを一定以上に保つためには、技術だけでなく、一つ一つの行動に対し「なぜそうするのか」、理由を説明する必要がある。

ただ、その時々で必要な情報を自己流で学んできた僕達は、誰かに体系的に教えるための原理原則、理論を持ち合わせていなかった

幸い今回の新店には経験あるバーテンダーがジョインしてくれたため、オペレーション周りは彼に任せられることになった。
けれど、経営者が最低限の知識や技術を持っていないと、今後現場の話についていくことが出来ず、マネジメントが難しくなってくる。

そんな背景もあり、中長期的な飲食事業の拡大も見据えて、短期集中の学校に通うことにした。

「順序立てて体系的に学ぶ」ために、学校は効率良い選択肢

講義は、蒸留酒や醸造酒の違いといったお酒の基本的な知識から始まり、各スピリッツ、リキュールの背景等を教える座学と、カクテル作りの技術を学ぶ実技で構成されている。

まず座学。
お酒は世界中に沢山の種類があるため、その成り立ちを理解する。
お酒の誕生は各国の歴史と大きく関わっており、世界史を勉強している気分だ。カクテル作りにおいてもお酒の背景を知っていることは非常に重要で、歴史の中にレシピのヒントが隠れていることは多々ある。

お酒は奥が深い。と思ってはいたけれど、想像以上に自分が何も知らなかった事実に直面し、「こんな状態で2年近くやっていたのか」と恥ずかしくなった...。

そして技術。
こちらは各ツールの構造説明から始まり、どのシーンでどの技法を選ぶのか、どの食材には何が合いやすいのか等の理論的な説明、そしてそれを実践する技術の実技講義だ。

改めてベースとなる技術、所作などを体系的に学ぶことで、自分の技術を見直す機会になった。

また、バーテンダーが同業者として見るポイントなどを知ることができたことも大きい。
お店を始めた当初は毎日練習していたステアやシェイクも、最近は全くやっていなく、技術向上をサボっていた事実を反省。身が引き締まる時間になった。
(それから今では毎日必ずステアを練習していて、以前は全く出来なかった指ステアができるようになった!マニアックだけど、大事なんです。笑)

もちろん9日間という限られた時間なので、奥の奥まで知識を学ぶことはできないが、何よりも、「知っておくべき基本的な知識は何か」を知ることが出来てとても有意義だった。

そもそも未経験から始めているし、修行もしていないから、「何を知ってないといけないのか」がわからないのだ。プロからしたら、そんなことも知らないの?ってレベルのことを全然知らなかったりする。

オンラインでいくらでも勉強できるのではと思うところだが、YouTube等は断片的に作られた動画がメインなので、知識〜技術まで順序立ててお酒を勉強できるコンテンツにはなかなか巡り会えなかった。

その課題を、9日間連続で行われる講義が解決してくれた。

「順序立てて体系的に学ぶ」ために、学校に通うことは、やはり効率的な選択肢の一つであると思う。

必要に駆られた時に学ぶのが最も効率が良い。

2年近くお店をやっていたが、お酒の知識、バーテンダーの技術とその理論、そしてバーツールの構造や設計、グラスの仕入先等、知らないことばかりだった。

そして、元々なんとなく知っていた知識や技術は、理論を知り実践を重ねることで、今までより更に自信が持てるように。

時間もお金も投資することにはなったが、その投資対効果は十分満足行く結果になった。

ここまで良い事づくめなら早く行けばよかったかなと考えたけれど、必ずしも早い方が良いかというと、そんなことはなかった様に思う。

2年間、自己流でやっていた期間の中で疑問点を明確化することができたからこそ、それが解消された時の納得感、理解度が高かった。

2年前の自分が、お店を始める前に学校に通ったとしても、実感を伴い理解できる内容が少なく、ここまで満足の行く時間には出来なかったはずだ。
(おそらく、学んだ内容は右の耳から左の耳に抜けていってしまっただろう。)

緊急事態宣言の営業自粛のおかげで時間ができ、それがたまたま2店舗目を控え、今後のことを考えていたタイミングだったからこそ、「学校に行く」という選択肢が生まれ、学びへの投資に時間を割くことが出来た。

その意味では、学びが必要な時は、向こうからやってくると言える。
そしてその時が、学びを始めるベストタイミングなんだろうと思う。

やりたいことがあるけど、未経験だからと悩み、一歩を踏み出せないことは多い。
だけど結局、「とりあえず始めてみて、必要になったら学ぶ」というのが最も近道だと思うし、それを強く実感する経験になった。

今後も大事にしていきたい考え方だ。


▼学校について
今回僕が通った学校は、ジャパンバーテンダースクールという神田にある学校だ。

校長の坪井さんは、YouTubeで最も多くバー関連コンテンツを投稿している人なので、バー業界の人は見たことがあることが多いそう。

僕達もお店の立ち上げ期から動画を見ていて、色々なことを学ばせてもらった。

YouTube動画は、ジャパンバーテンダースクールにとっては有料講座やコンサルティングへの集客目的な側面もあるはずなので、見事その戦略にハマった形。笑 

学校の講義は非常に満足度が高いものなので、バーを始める方には是非おすすめしたい。



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