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【1-4】戦国武将の”イケてるハンコ”と江戸時代での”ハンコ大爆発”!

過去の投稿でも戦国武将が印判状を用いる事でハンコが再度、使われ出したということでした。
実際の武将達のハンコを見てみましょう。
それぞれの印はそれぞれの武将の個性がその言葉や形状に出ているように思いませんか?

戦が活況だった①~④の時代では、龍や寅といった「強さ」を象徴するような印を作られています。その後、天下が統べられた⑤⑥では、実用的で比較的地味な印になっています。

このようにハンコというのは、その「時代」や「人の個性」を色濃く表した道具だと私は思います。

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また、戦国武将のハンコの特徴としては、姓名の他に、「吉語」「成語」「呪文」などが使われるという点もあります。

例えば、上図にもある
【禄寿応穏】
「領民の禄(財産)と寿(生命)は応(まさ)に穏やかなるべし」

などは、北条氏の善政に相応しい言葉といえます。

上杉謙信の
【地帝妙】
「地蔵尊(勝軍地蔵)、帝釈天、妙見菩薩のそれぞれの頭文字」

などは、深く仏教に帰依し信仰心の厚い軍神、上杉謙信に相応しい言葉です。

やはり、殺るか殺られるかの厳しい時代です。命の儚さと尊さを知っているからこそ、武将達は「自分の生きる道」や「思い」をハンコに込めていたのかもしれませんね。

信長のハンコ愛

その中でも最も有名なのは織田信長の「天下布武」ですよね。
信長は生涯で十数種類の「花押」を用いたと言われていますが、印判状に使用したハンコはこの「天下布武」だけだったそうです。移り気の信長ですので、よっぽどお気に入りだったんでしょうね。

また、この「天下布武」最初は純金製だったそうなんです。ですが、信長は作られた印影が気に入らなったそうで、再度、金と銅の合金で彫らせているんです。幸い、そちらは上手くいったので、大変信長は喜んだという話が残っています。

この話を聞いて私が最初に頭に浮かんだのは、「自分がもし純金に彫れと命じられた職人だったら、、、」ということでした。
純金使って、上手く彫れなくて、時間切れで見せにいったら、
案の定、印影がお気に召さない、、、
いや~、もう冷や汗が止まりません。。。
というか、絶対ヤバい事になってますよね、これ!!

ちなみに、この「天下布武」いくつかのパターンを見られたことがあるのではないでしょうか?そうなんです。実は3パターンの「天下布武」が作られています。どれもカッコイイですよね。

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ハンコを民が使うようになっていった背景

江戸時代以前は「貴族」や「武将」といった、いわゆる一部の「為政者」に使われてきたハンコですが、江戸時代からさらなる発展を遂げることになります。
なぜなら、民の間でもハンコが使われるようになったからなんです。

この背景には、戦国の世が終わり、長く太平の世を長く続けるためにとられた政策が影響しているんです。

そうです。「文治政治(4代将軍徳川家綱~)」への政策転換です。
この政策がはじまってからは、産業発展、民生の安定という点に力点が置かれ、力ずくで言うことを聞かせるのではなく、理でさとす政治をめざしました。この考えに基づいて、法律や制度の整備をはかっていく事になります。

その結果、商いを行う「商人」や「町人」の階級が相対的に上がり、民間同士の間でも商契約が結ばれるようになり、ここにハンコが使われていったという流れになります。

ちなみに、江戸時代でも、前回お伝えしたハンコの役割と同様に「1.本人認証」と「2.意識の確認」の使われ方をしていました。
1.で使う印を「表印」2.として使う印を「裏印」と呼んでいたそうです。ハンコの使われ方は江戸時代から400年も変わらないんですね。

さらにこの「表印」「裏印」は1本の柘の底面と上面に刻されているものもあったそうです。秘匿性を置いとくなら、とてもオシャレで機能的だと思いませんか?

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このように昔のモノの方が今よりも優れているものって、探すとたくさんありますよね。これはモノづくりのベースが「手作業」で作られていたことに起因するケースが多くあるように思います。

もちろん安くて良いものが世の中に広まる事はとってもいい事です。
他方、商品がコモディディ化すればするほどに、その対極で失われていくものも存在するように感じます。こうした側面にも目を向けて、変えていくものと残していくものを正しく判別していく事が、江戸のモノづくりを通して、今この時代に求められているのではないかと私は思います。


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では最後に問題です。

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答え:
1.の「市中引き回しの上獄門さらし首」
この時代の中でも、最も重い罪が課せられたのです。

それほど人を欺く行為には厳しい時代だったと言えます。
逆に考えると印章偽造の罪とは、儒教に基づく「徳」を大事にする江戸という時代の世相を象徴する出来事なのかもしれません。

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【古い文化を今に伝え、新たな文化を刻みだす】 ハンコ文化のコアな部分は残しつつも、既存概念を取っ払い、時代合わせて変化する! 僕はそんな挑戦をしていこうと考えています。 同じような挑戦をしている方!! 一緒に楽しく頑張っていきましょう!!