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日本人の若者が自己肯定感が低いワケについて〜受験教育が与えている影響を考える

こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、現在はニュージーランド在住の受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

日本の若者は他国の若者と比較して、
自己肯定感が低いというデータが、
日本財団の調査で明らかになったようです。

これは私もずっと体感してきたことでしたが、
データで裏付けられてショックでした。

そこで今日はどうして日本の若者の、
自己肯定感が低いのかを考えながら、
どうやって対策すべきかをみていきましょう。


全ての学びが受験のため?

日本で暮らしている子どもにとって、
一番の心配事はきっと受験です。

今のシステムでは最低でも、
中学3年生になればほぼ全ての生徒が、
受験と向き合う必要があります。

子供にとってこれは避けようのない事態で、
誰もが強制的に通らされる道。

そしてその受験の結果次第で、
人生そのものが決定づけられるほど、
強力な影響力を持っています。

子どももそれはすぐ自覚するようなりますし、
周囲の大人もそれを促すので、
受験はすぐに彼らの最重要事になります。

それがどうした!と言われそうですが、
受験が最も重要なことになると、
彼らの生活が受験中心に回り始めるのです。

その意味をいったいどれだけの大人が、
自覚しているでしょうか。

受験次第で自分の人生が左右される。

その意識が刻み込まれた子どもたちは、
あらゆる選択をする際に常に、
受験を考えて決定を下すようになります。

それは意識的な時もあれば、
無意識で行う場合もあるでしょう。

でもいずれにしても受験が彼らを縛り、
彼らを方向付けていく。

そんなオーバーなと思うかもしれませんが、
受験のない国で暮らす子どもたちと比較すれば、
その差ははっきり見て取れます。

受験がなければ思う存分、
学生時代に好きなことに打ち込めても、
受験があればそうはいかない。

結局受験のために好きなことを諦め、
好きでもないのに「ただ試験に合格する」ための、
勉強をせざるを得なくなる。

そんなことを繰り返しながら成長した、
子どもたちの自己肯定感が上がらないのは、
当たり前ではないでしょうか。

与えられたことしかこなせない

またこの受験中心の生活で、
もう一つの大きなネガティブな影響があります。

それは受験に合格するために、
彼らが少しでも楽な方法を、
必死に考えるということです。

いやいや、それは普通のことだし、
何も悪くないでしょう。

そう言う方もいるかもしれません。

でも受験に合格するために一番楽な方法って、
いったい何だと思いますか?

それは一番合理的だと思われる、
誰から見つけた方法を真似ることです。

平たく言えば受験に合格させてくれる、
先生のやり方を徹底的に学んで、
コピーすることなのです。

私も塾講師を長くしてきた端くれとして、
一つだけ誇れるものがあるとしたら、
それはいかに無駄なく教えるスキルです。

つまり一番ミスなく正確に早く解ける、
その方法論を徹底して研究し、
それを生徒に教えるスキルこそ塾講師の武器。

そしてそのスキルは、
少しでも受験を楽にやり過ごしたい、
子どもたちにとっては渡りに船です。

ほとんどの生徒にとって、
長年研究を重ねた塾講師の方法よりも、
合理的な解法を見出すのは困難です。

そもそもそんなことを考えなくても、
塾講師のやり方をそのまま覚えた方が、
圧倒的に楽で結果も出ます。

となればいったいどこの誰が好き好んで、
自分なりの方法を考えようとするでしょう。
(中にはそれが好きな子もまれにいますが…)

これは勉強だけに限りません。

習い事を選ぶ際にも、
ボランティアなどの課外活動を選択するにも、
受験の影が常に頭をよぎります。

私が指導してきた生徒の中にも、
この傾向が高い生徒はたくさんいました。

「先生、何をすると受験に有利ですか?」

星の数ほど聞かされたこの質問を受ける度、
受験がどれほど子どもたちの中に、
大きな影響を及ぼしているかを実感します。

徹底した成果主義の罠

さらに問題なのが、
日本の学校はそのすべてが徹底した、
成果主義になっていると言うことです。

小学生の頃から沢山のテストを受け、
小さなミスもなくすように指導される。

計算ミスをしないように気をつけなさい。
漢字は書き順や、とめ・はらいに気をつけて。

中学になれば中間・期末・実力テスト。
部活も勝利至上主義なことが少なくない。

いい点数を取ること。
試合では勝利すること。
全ては結果を出すことにフォーカス。

こんな環境で暮らしていれば、
子どもたちの生活の中からゆとりが失われ、
ギスギスした日々になってもおかしくないでしょう。

その上彼らの生活はあまりにも忙しく、
自分を見つめたり好きなことをする暇さえ、
十分にない有様です。

これが本当に若者に与えられるべき、
理想の環境なのでしょうか。

少しでも多くの知識とスキルを、
可能な限り効果的にインストールさせること。
それが今の受験教育の本質のように思えます。

そこでは「合理性」が重視されるので、
子どもたちのオリジナリティの育成よりも、
社会ニーズとの合致が重視されがちです。

結果子どもたちは大人の望むものを、
言われるがままに受け入れることを、
余儀なくされている気さえしてなりません。

こんな生活を送っていれば自主性は失われ、
そもそも自分はなんのために学んでいるのかさえ、
分からなくなっても不思議ではありません。

これでは自己肯定感が上がるどころか、
自己肯定感を持つことすら難しいのではないでしょうか。

親が気をつけるべきこと

ではこうした受験教育が避けられない中で、
親はどうやって子どもに自己肯定感を、
与える努力をすればいいのでしょうか。

私は2つの方法を提案したいと思います。

一つ目は受験というものを目的にせず、
手段に過ぎないと親子でしっかり自覚するということです。

受験に成功しなければいけない。
いい大学に合格しなければ人生は暗い。

そんな誤った発想から親子で脱出して、
受験を一つのチョイスと捉え直してみるのです。

いい大学を卒業しても人生に失敗している人は、
実際には大勢存在しています。

逆に受験をほとんど経験していなくても、
いい人生を送っている人も沢山います。

大卒と高卒の賃金格差とか、
大企業と中小企業の賃金格差といった報道に、
振り回されるのもやめましょう。

それはあくまで一般論であって、
あなたのお子さんも同じになるという保証は、
残念ながらどこにもないのですから。

また二つ目はいつも話していますが、
徹底してお子さんに好きなことをさせる時間を、
生活の中に取り込んでいくことです。

これからは高偏差値で平均的に何でもできる人より、
一つのことが突き抜けてできる人材の方が、
世界では圧倒的に需要があります。

そして一つのことに突き抜けられるためには、
自分の好きをとことん極めることが、
何よりも大切なのです。

受験が終わったら全て忘れて、
実生活の中では雑学くらいにしか役立たない、
そんな知識ばかり増やしても何の意味もありません。

役に立つとしたらそれは、
好きでもない勉強をしたことによって、
自己肯定感を下げることくらいでしょう。

そんな無駄でしかないことに時間を割くくらいなら、
目をキラキラさせながら打ち込めることに、
子どもをフォーカスさせてあげましょう。

好きなことを存分にやりこめて、
そこから見出していく自分だけの道なら、
成功する可能性もグッと上がると思いませんか?

もしまだ好きなことが見つかっていないなら、
見つかるまで探し続けるのを、
手伝ってあげてください。

スティーブ・ジョブスも言っています。

心の底から満足する唯一の方法は、素晴らしいと信じる仕事をすること。
"The only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work."

だから、見つかるまで探すことをやめてはいけない。
"So keep looking until you find it. Don't settle."

受験で勝ち抜くのは短期的に見て成功でも、
長期的に見ると自己肯定感が上がらないので、
成功から遠ざかるように私は思います。

だからこそジョブスが言うように、
自分の好きをとことん子どもたちには、
探して欲しいと思います。

まとめ

さていかがだったでしょうか。

日本の子供たちの自己肯定感が低いのは、
受験教育が大きな影響を与えていると、
私は個人的に考えています。

それは自分自身が受験教育に長年関わってきて、
その裏も表も見てきたからこそ余計、
痛感することでもあるのです。

だからこそ親はもっと近視眼的な視点でなく、
もっと俯瞰した視点から教育を考え、
子どもにあった道を与えて欲しいと願います。

子どもたちこそまさしく日本の未来を作る、
光であり、宝であるのですから。

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