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少しくらい無理をさせたって大丈夫?〜親のエゴが子供を潰す

こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、現在はニュージーランド在住の受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

合格させるためなら、
数年間程度なら少しくらいは、
無理をさせても仕方ない。

ちょっと無理をさえすれば、
もう少しで合格できるのだから、
親としては背中を押したい。

そう子供に無理をさせ、
結果潰れていった生徒たちを、
これまで何人も見てきました。

そこで今日は受験のために、
「無理をさせる」と言うことについて、
経験も交えながら話してみたいと思います。


親と子で「無理」の度合いは違う

いくらやってももうちょっとだけ頑張れって、
いつもお母さんに言われてるんだ。

でも先生、もう限界だよ。

これはかつて私が教えたある生徒が、
目に涙を溜めていった一言です。

彼はとても頑張り屋で、
南観光を目指して必死に頑張る、
とても真面目な生徒でした。

でも算数がもう一押し必要で、
そのために両親は彼に、
塾以外に家庭教師もつけていました。

ほとんど休みがないまま、
毎日毎日合格だけを目指して、
ひたすら勉強を続ける日々。

その中で彼の心が疲弊して、
精神的に病んでしまうのも、
無理からのことでしょう。

この事例が示しているのは、
親が考える「無理をする」のと、
子供のそれにギャップがある
と言うことです。

親は大人ですし、
何よりも受験の当事者ではありません。

その分状況が客観的に見え、
何をどれだけやらせるべきなのかと言うことを、
判断できる利点はあります。

しかし、一方で、その親は、
自分自身が勉強に取り組んでいるわけではないので、
本人がどのぐらい苦しいかは分かりません。

そこに親が無理をさせすぎてしまう、
大きな原因があるように思います。

特に真面目な生徒になればなるほど、
辛さを表に出さない傾向にあるので、
気づいた時は取り返しがつかなくなることも。

親が思っているほど子供と言うものは、
無理が効かないものなのです。

このぐらいならもう少し無理をさせても、
そう考えたときその判断基準が、
自分のものでないかどうか確認が必要です。

もちろん受験に合格させるためには、
ある程度の無理が必要な事は、
私もこれまでの指導でよくわかっています。

しかしそれは子供にとって、
耐えることができるレベルの無理でなければ、
絶対にいけないのです。

その一線を超える無理をさせる事は、
親のエゴ以外の何物でもありません。

「あと、少しだけ」の危うさ

また、この子供が耐えられる無理にも、
2種類あることを忘れないでください。

1つは1回で耐えられる無理です。

これはとても大きなプレッシャーだったり、
短期間で大量の時間が必要となるような、
負荷の大きい無理を指しています。

例えば、大事な模試に向けて、
1週間だけ睡眠時間を大幅に削って、
朝から晩まで勉強させるようなことです。

一見すると負荷の大きいこの無理は、
子供にとっては大変なように見えますが、
期間限定だと意外と耐えられるものです。

もちろん、子供によって耐性は異なるので、
一線は越えないように注意する事は、
言うまでもありませんが。

2つ目は積み上がって耐えられる。無理です。

一方で、意外と親が見落としがちなのが、
1回1回の無理は決して大きくないものの、
それが積み上がってしまうケースです。

例えば、子供がそれまで大好きだった、
習い事や友達との時間を制限され、
我慢を強いられるケースなどがこれです。

親から見れば受験が終わってから、
十分に時間ができるのだから、その期間に、
またゆっくりやれば良いと考えがちです。

しかし子供の周りを流れる時間は、
大人の時間とは全く異なるスピードで、
流れていることを忘れてはいけません。

その時にやることが大切な場合が多く、
後からやっては意味がなくなってしまう場合も、
少なくないのです。

この過ちを犯すことによって、
子供が自分の大好きなことを見失ったり、
得意なことをやめてしまうケースも多々あります。

それは本当に子供のため?

そもそも私が見ていて疑問なのは、
多くの保護者たちが「子供のため」と言いながら、
やっている事は本当に子供のためか
と言うことです。

以前にも記事で書いたことがありますが、
合格発表の日に不合格が確定した時、
子供よりも親が泣いているケースも多いもの。

子供は案外けろっとしていて、
受かったところに行けば別に良いと言っているのに、
親が諦めずに泣いている。

こういったパターンの場合後に話を聞くと、
保護者の方がどうしても〇〇に入れたかったと、
涙ながらに語るケースが多いもの。

でもそれって子供のためじゃなく、
親のプライドや見栄のためであることも、
残念ながら少なくなかったように思います。

子供は親の持ち物ではありません。
自分の夢は親自身が叶えるべきであり、
子供に夢を託すのは筋違いです。

子供には子供の人生を歩む権利があり、
親の夢を託して、無理を課すなど、
言語道断なことだと私は思います。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

親が考えている以上に、子供は、
無理が効かないことが多いものです。

もう少しだけ。
あとちょっとだけと言う親のエゴで、
子供が潰れてしまうこともあるものです。

親として考えるべきは、
常に子の幸せであって、
決して子供の合格では無いはずです。

目的と手段を違えることなく、
しっかりと子供の幸せを見つめる親で、
あり続けたいものですね。

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