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青春の光景を黒く覆っていた塩素が流れた ー塩素臭い汗が洗い流した青春コンプレックスー 5

身体に蓄積された化学物質、薬物、放射能を取り除くピュアリフィケーションランダウンをはじめて数日の間に、肌が赤くなったり、チクチク感じたり、風邪をひいたような状態になったりした。日焼けの紫外線の影響が身体から出てきては消えていったことを実感した。

そんなことを繰り返しつつ何日もたったある日、サウナでべとべとしたねばりけのある汗が流れてはじめた。ツンと刺激のある匂い、塩素の匂いがした。

同時に、昔のある出来事がよみがえってきた。

高校時代、僕は水泳部に所属していた。初夏のある日の放課後、学校のプールで泳いでいた。いつもの練習だったはずだが、プールの水が妙に白っぽかった。泳いでいる最中は特に気にしなかったが、プールから上がってから気持ちが悪くなった。猛烈にのどが乾いたような不快な痛みと腹痛がうちに帰ってから寝る前まで続いた。

前の晩に、いたずらされて消毒用の塩素剤を大量にプールの中に投げ込まれていたという話を後になって聞いた。規定を大幅に超える塩素濃度だったのだろう。

その翌朝は特に体調に問題はなかったのでいつも通り学校に行った。それ以降、身体の大きな不調は特になかった。だからこの出来事を思い出すこともなかった。

しかし、その二十数年後になって、サウナの中でその時と同じ感覚が蘇ってきた。
しばらくのどのひどい不快な痛みと腹痛が続いて、徐々に消えていった。

痛みが消えた後、消毒用の塩素からくる不快な刺激がなくなった感覚があった。

高校のプールで泳いでいた当時のことを思い返してみる。夏の日差しの下、水面下ぎりぎりの腕と足で一定のリズムを刻み続ける。水底には私の影。息継ぎの瞬間に目に入ってくる水面上のしぶき。太陽の光に照らされてキラキラしている。

若かった頃について、それほど悪くなかったんじゃないかと思えてきた。自分がかつてやらかしていたあれこれ、恥ずかしいことには変わりはないが、だからといってその恥ずかしさに直面できず落ち込んだり、頭を抱えてうずくまったりすることはない。それはそれ。もう済んだこと。大事なのはこれから何をするかだ。と理性的に考えられる。

息子が休み中に女の子二人とプールに行ってきたという。

は?なんだと?プールに女子と?

今からそんなことをしていたら、教育上大問題だ。それはダメだと叱ったりはしなかった。ピュアリフ終わってなかったら僕の黒く覆われていた青春が刺激されて、てめーふざけんな、そんな年頃にそんなことしていいと思ってんのかとよく分からない怒り方をついしてしまっていたかもしれない。

実際にはそれを聞いて普通に会話した。

そりゃよかったな。楽しかったか?

うん、楽しかった。

もちろん、親として見ておかなくてはいけない部分はあるだろう。
でも彼の青春を僕が若かったときのようにややこしいものにしないですんでよかった。

参照文献:

ピュアリフィケーションランダウンについての詳細は
書籍「クリアーな身体、クリアーな心」

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