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夢十夜の逆襲

第一夜

虹色に輝く透明の玉がどこからか次々に湧き出ては消えて行く。見ると、金色の数字が表面をくるくる回っている。最初はマイナスが付いていたのだが、次第に0に近づき、ついにはプラスに転ずる。最初はー2016789といった桁数の大きい数だった。それが西暦を表すことに気がつく。歴史的な夢…

第二夜

とぐろを巻いた蛇に無数の目をつけた塊が頭部だった。メヒと名乗る女性が突然やってきて、呻くように言う、「ごめんなさい、あなたを苦しめ続けていました…」言うなりメヒさんの目からは紫の涙が溢れる。涙は止まらなくなり、その中に身を投げた。俄かには思い当たる節のない夢だったなあ…

第三夜

歌舞伎のワークショップみたいなものに参加している。自分の番が来た。頭が真っ白で、覚えたはずのセリフが全く出てこない。なぜかPUFFYのふたりがいて、くすくす笑っている。「もう帰るね、できないんじゃ、意味ないもん」由美ちゃんが冷たく言い放って、帰ってしまった。妙にリアルな夢だった。

第四夜

枝葉末節は、かなり込み入っているのだが、要約すると…若冲と国芳が遊びに来て、目の前で喧嘩を始め、僕に刺青をしてその出来で決着をつけようということになる…そんな怖い夢を見た。

第五夜

リーゼントを五重塔のように五段重ねた変なおっさんに、「君は昭和生まれだけど、サンクウには死ぬ運命だ」と言われた。サンクウってなんですか?と訊ねたら、平成、コウジュン、ミンセンの次の元号で、「燦空」と書くと教えてくれた。ためになる夢だった。(註:これは平成末の夢です)

第六夜

夢にモザイクがかかっていたのだが、覚めてからもモザイクのままだ…鬱陶しい…

第七夜

洞窟の出口を背に、見たことのあるアカペラグループ(多分ゴスペラーズ)の二人が、華麗にハモりながら般若心経を誦経している。唱和するように促されたので、洞窟の中の僕も加わる…そんな夢で目が覚めた。頭の中では今も、般若心経のコーラスが渦巻いている。

第八夜

歩道を歩いていたら、お巡りさんに注意された。「こらこら、専用道を歩きなさい」指差しているのは、青い自転車専用道だった。そうか、俺は自転車だったのか。素直に言うとおりにすると、また注意された。「そっちじゃなくて、あっちだよ」黄色い帯に「うんこ専用」と白く書いてある。変な夢だった。

第九夜

突然デオキシリボ・カクさんと名乗る緑色の女性が訪ねてきた。ケンブリッジ飛鳥選手の親戚だという。とりあえず上がってもらい、求めに応じてタンポポコーヒーを淹れた。それから、文学や人生について、とりとめのない話…夢食い虫が夢を食い破るまで続いた。

第十夜

アナコンダが鍵穴から入ってきて言った、「ねえねえ、遊ぼうよ」僕は応えた、「今食事中だから、あとでね」「じゃあ、勝手に遊んでやる」ちょっと怒った風に呟いて、アナコンダはいきなり僕の口に押し入ってきた…怖い夢だった。

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