はぐはぐパクパク

知り合いの絵描きさんの絵本作品を紹介させていただきます。草稿段階の未発表作品とのことです。

るんちゃんは　こうえんで　くろい　こネコを　ひろいました。
ちいさな　ちいさな　ねずみの　ような　ネコです。
チビと　なまえを　つけました。

ところが　チビは　とても　くいしんぼう　だったのです。
おわん　いっぱいの　ネコごはん　だけでなく
ふうとうの　くちを　とめてあった　セロテープを　はがすと　それを　パクパク…。
いたずらして　わった　かびんの　かけらを　パクパク…。

セーターの　もこもこも　はぐはぐ　パクパク…。

ひゅる　ひゅる　ひゅると　にもつを　ほどいた　ときの　ひもを　パクパク…。
そうして　チビは　どんどん　おおきく　なりました。
もう　ちびではなく　おおねこです。

「おなか　こわさないかなあ」
るんちゃんは　しんぱいに　なりました。
ところが　チビは　まんぞく　まんぞくと　へいき　みたいです。

あるひの　よる　るんちゃんが　ねていると
ガシャ　ガシガシ　となりの　おとうさんと　おかあさんの　へやから
おおきな　おとが　したので　めを　さましました。
「なんだろう？」
そっと　ドアを　あけると…

なんて　ことでしょう　おおねこの　チビが
おとうさんを　パクパク　たべているでは　ありませんか！

あっと　いうまに　おとうさんを　のみこんで　しまった　おおねこの　チビは
ペロリと　したなめずりを　しました。
よーく　みると　へやの　すみには　おかあさんの　パジャマが　おちていました。

るんちゃんは　まくらを　かぶって　がたがた　ふるえる　ばかりです。
「どうしよう　え～ん　え～ん　どうしよう…チビの　ばか！」
けれど　どうすることも　できません。

チュン　チュン　チュン…
ないている　うちに　いつのまにか　あさに　なっていました。
「どうしよう　どうしよう…おとうさんと　おかあさんが　たべられたよ～
どうしたら　いいの…」
ところが…

「くん　くん　くん　あれっ？　いい　におい…オムレツの　においだ！
な～んだ　きのうの　よるの　ことは　ゆめ　だったのね…よかった！！
いつもの　ように　おかあさんが　あさごはんの　よういを　しているんだわ」
そう　おもった　るんちゃんは…

へやを　とびだし
「おかあさ～ん　おはよう！」
そう　いって　キッチンに　とびこみました。
ところが…

「るんちゃん　おはよう　あさごはんは　だいすきな　オムレツよ」
と　ふりむいた　かおには　ながい　ヒゲが　はえていたのです。

そして　この　ひから
おおねこ　チビが　ママになった　せいかつが　はじまったのです。
どうしよう…