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進撃の夢十夜

第一夜

「やるときゃやるっきゃない」という長い名前のスナックの艶にして婀娜なるママから、数奇な運命を聞かされた。長い長い話で、曲折を経て、メビウスの輪のように、いつの間にか最初に戻っている。…長い長い夢だった。

第二夜

ボロブドゥールの遺跡に来ていた。自分以外は誰もいない。ボロブドゥール…でも、自分の知っているそれではない。天を刺す尖った石群に囲まれた中央に球体の巨石が一つ。小さな全裸の女たちが湧いてきて僕を捉え、粘っこい液体で巨石の上に、仰向けに貼り付けた。生贄にされるらしい…妙な夢だった。

第三夜

まるまる太った女性がころころ転がってきてぼくにぶつかった。「ごめんなさい」一応謝るが、謝った途端、ゆるキャラのねば~る君みたいに、びろ~んと伸び、身長5mくらいの大女に。大女はでっかい手で、僕をびしばしスパンキングする。世の中って不条理だなと思いながら耐える僕…という夢でした。

第四夜

禿頭の夢おじさんが出てきて、「10年前の夢が終わってなかったね、続きを見せよう」と言った。すると、いきなり僕の体がバラバラになって、変な具合につながった。

第五夜

言葉や声が全て、カラフルで動的なフキダシ…無音の花火みたいになる夢を見た。共感覚の傾向が強い自分には、日常でもしばしば、これに類することが起こる。

第六夜

チチカカチチコと名乗る自称28歳の女性が、いきなりTシャツを捲り上げてヘソを見せる。チクワほどもあるデベソだった。「グラスファイバーなの」と得意気に言うと、デベソをブラブラさせながら去っていった。ワケわからん夢だ…

第七夜

久しぶりに学校に行くとTが来ていた。彼も久々の登校らしかったが、身長が半分くらいに縮まっていた。Tは会社の上司だが、長らく入院していた。頭は相変わらず剥げていたが、背丈が半分になったことを除けば元気そうだ。一緒に帰ろうとすると、外は水とぬかるみだった…寝覚めの悪い夢だった。

第八夜

オスマントルコと名乗る女性が「例の件」でやってきた。「トルコと呼んでんでね」と爽やかな笑顔で言うなり、僕の両頬にビンタの雨を降らせる。腫れた頬から次々に、七色の花が咲く。美しい夢だったと言ってよいのか…

第九夜

ひゅーえマンションという工事中の建物に入ると、人が群がっていて裁判をやっていた。裁判といっても、法廷があるわけではない。裁判官が立ったまま、目の前の被告に判決を下す。被告には子どももいる。ただし、重大な事件の被告は、奥の別室に連れて行かれる…そんな夢の際中に目が覚めた。

第十夜

髪をドレッドにした渡辺直美さんみたいな逞しい女性に、呼び止められた。「にいさん、いい肩甲骨してるね。ペドロスごんざえもんって知ってる?」「い、いえ…」「私の名前だよ。覚えときな」そう言うと僕の肩甲骨のあたりに、いきなり蹴りを入れて、スキップで消えていった。まあ、楽しい悪夢だ…

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