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書評:どんな時も優位な状況をつくれる 負けない交渉術
本書の概要と著者について
本書の著者、大橋弘昌さんはニューヨーク州の弁護士。アメリカでビジネスをする日本企業をメインに100社以上のクライアントに法務サービスを提供する事務所を経営されている方です。M&A以外にも企業間や労使の訴訟などの交渉にも携わっている百戦錬磨のネゴシエーターです。
日本では、人言関係や会社同士の関係性を重視するため、交渉をためらう傾向にあります。しかし、アメリカでは、互いに利益を得るためにタフな交渉をするのが当たり前のようです。著者自身も日本人としてアメリカ人の交渉を見ると、同じようにやって良いのか、ためらうこともあるのだとか。
著者は、日本のビジネスパーソンに対して、和を尊ぶ精神を持ちながら、アメリカ流のしっかりと利益を得るための交渉術を身につけてほしいという思いを持っています。これまでの経験で、日本企業は良い製品・サービスを作っているのに、交渉力の弱さから、正当な利益を出せていないという現実を目の当たりにしてきたそうです。グローバルな競争時代、交渉力がない企業は没落していくだろうと、厳しい現実を語っています。
本書では、アメリカでのタフな交渉の現場で身につけた、駆け引きや譲歩の方法、ふるまい方や心理術、交渉に臨む前の準備などのネゴシエーションスキルを、解説されています。
今回は、第3章の「自分の“資源”を最大限に生かす駆け引きの理論」から、3つのポイントを紹介します。
“No”ではなく”Yes, if”
お互いが断らずに相手のオファーに条件を追加しながらやりとりを続けていると、双方が満足する着地点に到達できることがある
相手のオファーが気に入らない時でも”No”と返事をしてしまうと後に続かず、相手を拒絶にしてしまうことになります。そこで条件をつけて”Yes”と答えるのが、”Yes, if”のやり方です。
「できません。無理です。」だとここで終了・・・
「わかりました。もし、〇〇してくれたら・・・」
というイメージで交渉を進めていくことで、お互いに良い合意案を作っていくことができるということです。これが交渉の面白いところですね。
“Yes”でも、やっぱり”Yes, if”
交渉の場面では、つねに成果を最大化するように心がけます。さらに面白いことに、条件をつけて返事をしたほうが、相手も喜ぶのです。
相手の最初のオファーが受け入れられるものであっても、やはり”Yes, if”で返事をしたほうが、相手が喜ぶのだそうです。これはどういうことかというと、
Aさん「5万円でどうですか?」
Bさん「わかりました。」
というやりとりがあったとすると、Aさんには「もっと高い値付けをすればよかったかな。」という気持ちが残ってしまうかもしれません。そこで、
Bさん「わかりました。もし、〇〇してくれたら・・・」
と続けて話し、その後に譲歩してあげるほうが、Bさんにとっても得られる成果が大きくなり、Aさんも譲歩を引き出せたことによって満足度が高くなるというわけです。
ここまで考えているとは、百戦錬磨のすごさがわかりますね。
やっぱり「ウィン・ウィン交渉」が成功の必須条件
交渉では、まず自分が「勝った」気分になることが大切です。そして相手にも「勝った」気分になってもらうことも大事なのです。
興味深いのは「勝った」気分というところです。
「勝った」と感じるということは、何かの基準と比較して、それよりも得をした結果を出せたと判断し、それによって「勝った」気分になるのだろうと思います。だから、同じ結果でも交渉の場に出てきた基準や過程よっては「損をした=負けた」と感じてしまうこともあるということだと思います。
交渉の流れの中で、相手の感情の動きなどにも気をつけて進めなければなりませんね。
和を尊ぶところが日本人の良いところ。この「勝った」気分への配慮、大切にしたいです。
まとめ
ここでは交渉の場面でのテクニックを一部紹介しました。他にも小さな譲歩で大きな譲歩を引き出す方法など、さまざまなスキルを学べるとても良い一冊です。手にとってみてください。
また、相手のことも喜ばせるためにもと突き詰めて交渉する、という考え方が私にとっては一番の気づきでした。自分の交渉にも取り入れていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これからも交渉やコミュニケーションに関わる本の紹介をしてきます。
スキ・フォローなどしてもらえると嬉しいです。
ではまた。
良い1日を。
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