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世代間ギャップ

子供の頃、母が北杜夫のどくとるマンボウ航海記を、読んでいて

「これ、めっちゃおもしろいから!」


と大絶賛していました。

それがずっと心の片隅に残っていたんですが、登録しているAudibleで見つけたので、聞いてみました。


言うほど?


文章は小気味よく大変読みやすいのですが、内容は特に心躍ることもなく。
こちらの本が発行されたのは1960年。
戦争が終わってからまだ15年しか経っていないんですね。
海外旅行なんて夢のまた夢、海の向こうの世界を知る人なんて少なかったでしょうから、この本に次々と出てくる外国の話はすごく新鮮で心躍ったんでしょうね。
かくいう私も外国はアジアしか旅行で行ったことがないので、60年前の外国と現在との違いがはっきりとわかるわけではないんですが。
それでもちょくちょく違和感を感じるところがありました。

だいたいの寄港地で、売春婦が登場してます。そこまで露骨な記載はないですが『高度経済成長期のおっさん臭』が匂いだしてうんざり。
あとベストオブ違和感が、ヨーロッパ(多分フランス?)で動物愛護の雰囲気に嫌気のさしたマンボウが公園で警察官に「ミミズをいじめているのでは」職務質問されました。

この時点で私の頭は??で、

これはフィクション?だとしても何狙い?

半ば混乱したのですが、

「ミミズさんをいじめているなんて、とんでもない。むしろ、私はこのミミズさんと結婚しようと思ってるんですから」と警察官に答えたと。

私の頭は?が踊り、そのあとわずかにこの警察官に同情心が芽生え、「あ、そうなんだあ。お幸せに」と無理矢理思考を胴体着陸させました。

母がどのあたりで絶賛したのかはわかりませんが、私はもう大人なので、なんでおもしろいと思ったのか?その根拠は?なんて聞いたりはしませんよ。


今度は父の話。
いつの時代にも不良は一定数いるものですが、父の中学では、不良は腰に鉈をさしていたみたいです。

なた?!


ちなみに、都市部の丘の上にある中学で、当時から周りに田畑はなかったので、鉈で稲を刈った後に登校していたわけではないもよう。
鬼滅の刃の悲鳴嶼行冥が鎖のついた鉈みたいなもん?を振り回してましたが、あんな感じ?

私が中学の時の不良は、髪の毛を立ち上げ、ボンタン履いていました。ご機嫌にシンナーを含ませたマスクをつけてました。鉈は振り回しておらず、窓ガラスを壊していた記憶もないので、割と自己完結してました。

さて、現代はどうなんでしょう。
上の子は小学5年生ですが、今のところ身近に不良はいないようです。今の子は大人しいと私から見ても思います。私が小学校低学年の頃、友達に馬乗りになって喧嘩していました。
上の子は男の子ですが、友達と殴る蹴るなんて、発想自体がなさそうです。外で誰かが喧嘩してるのを見ることなんてありません。

日常的な暴力から確実に離れていってるのを感じますね。時代が遡るにつれて、暴力はもっと身近にあった。

一世代違うだけで、笑いの感覚含め、価値観がだいぶ変わりますね。

よく織田信長や坂本龍馬が現代にタイムスリップしたら、という設定がありますよね。昔は空想してわくわくしてましたが、今になると、そもそも話が合わないんじゃないか。と思う今日この頃です。


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