見出し画像

マルチ商法 基礎論

はじめに

 はじめまして。本記事の筆者である蛸龍(ショウリュウ)と申します。
 本記事を手に読んでてくださり、誠にありがとうございます。

 本記事はいわゆる「マルチ商法」について、実際に組織に加入して活動していた著者が、会員時代の経験を基にマルチ商法の一般的な知識やマルチ会員の特徴、勧誘技術、あるいは、マルチ商法のみならず営業や恋愛などの様々な場面でも用いられている心理効果などについて解説していきます。

 マルチ商法と一口に言っても、商品や組織、手口、特徴などは様々だと思いますが、実際に活動経験があるからこそ「あ、この人はマルチ商法に勧誘してきそうだな」という感性が磨かれました。また、マルチ商法に限らず、詐欺まがいのビジネスや悪徳商品の勧誘にもいち早く気付けるようになりました。本書ではこの「見抜く感性」を多くの人に伝えることを一番の目標に解説しております。極力噛み砕いて説明することを意識して書いたつもりですが、分かりづらい所がありましたら本記事のコメント等にてご指摘頂けますと幸いです。

 多くの方にとって、自己防衛のため身につけておくべき知識をふんだんに盛り込んだつもりですので、「マルチ商法」に関する知識を学びたい方はもちろんのこと、怪しい勧誘や詐欺に騙されたくないという方にとっても役に立つ知識を豊富に記載しておりますので、是非お暇なときに読んでみてください。

マルチ商法とは

 まずはじめに「マルチ商法」とは一体何なのか、という点について紹介していきます。

 名前は聞いたことがある方は多いと思いますが、具体的な内容や似たような名前のビジネスとの違いまで詳しくご存知の方は少ないと思いますので、一般的な知識としてご説明致します。

定義

 よく聞く「マルチ商法」とは正確には「MLM(マルチレベリングマーケット)」を日本語チックに言い換えたもののことです。ではMLMとは何でしょうか。

 MLMとは、「製品を売る販売員に対して製品販売の見返りを約束し、流通網を拡充しながら販売していく商法」のことです。


 当たり前ですが、商売はただ製品を作っただけでは成り立ちません。作った製品をコンビニやスーパーなど、マーケット(市場)に並べて顧客の目に触れさせることで、ようやく製品として販売されることとなります。

 そして、製作者と市場を結ぶためには、「流通網」すなわち「製品が製作者から顧客に届くまでのルート」が必要になります。


 例えば、北海道にいる製作者が東京や大阪で製品を売ろうとする場合、現地まで運ぶ必要があります。しかし、制作者がいちいち届けようとすると、届けている間は制作者の仕事が止まってしまいます。また、製品を顧客に届けるための設備や人員(大型者や専属の運転手)を持とうにも、これらには維持費がかかりますので、そもそもこういった設備や人員まで所有していない製作者がほとんどです。

 そこで必要となるのが「流通網」です。北海道と東京や大阪を繋いでくれる専門の輸送業者がいれば、北海道にいる製作者は製品生産に集中していても、製品は市場まで安全かつ迅速に届くこととなります。これらの輸送業者の方は個人ではなく法人(会社)として仕事を請け負っており、大量の荷物を安価で安全に輸送してくれ、その製品の売れ行きに関係なく一定のお給料を頂く、というのが一般的です。


 これに対しマルチ商法では、この流通網を専用の業者ではなく、個人の販売員が担います。製品はマルチ商法の会社が製作し、販売は販売員に行わせて、製品が売れたら見返りとしてお金をいくらか支払う、という契約を交わして販売しているのが、「マルチ商法」という商法なのです。

 また、当然のことながら販売員は多ければ多いほど流通網が大きく、製品の売れ行きも向上しますので、その販売の見返り(お金)をエサにして販売員を増やし、流通網を拡充していくのも「マルチ商法」の大きな特徴となります。


違法性

 マルチ商法、と聞くとよく言われる質問が「それって違法じゃないの?」です。

 結論から言うと、マルチ商法は違法ではありません。が、違法か否かの線引は素人目には難しく、マルチ商法をしている組織すべてが健全である、とは言い切れないのが正直な所です。また、よくマルチ商法と似ている「ネズミ講」は違法です。これらの違いをざっくり言うと、「何らかの製品やサービスの提供があるか否か」という点です。


 マルチ商法では、顧客が支払った金品の対価として、同等の価値を持った商品が顧客の手に渡ることとなります。あくまでも製品やサービスの販売・提供を目的に、自身が流通網となって販売していますので、マルチ商法は違法ではないのです(支払っただけの価値があると感じるかはその人次第ですが・・・)。

 一方のネズミ講は組織入会時に入会費などの名目で金品を徴収し、勧誘者に一部還元する、という仕組みですので、加入者からすれば金品の対価として得るものがありません(強いて言うなら組織への加入権ですが、第三者からみて、加入して得られるメリットがなければネズミ講です)。


 個人的に述べておきたいこととしては、法律上問題ないからといって健全で良い事、とは限りませんので、自身にとって支払う価値のある製品やサービスが提供されるか否か、という視点を大事にしておくべきだと思います。また、これらの商法に対する解釈は様々な法律や価値観が絡んできますので、素人目で合法か違法か安易に判断できるものではありませんので、不安要素があるなら避けておくことをお勧めします。

会員の特徴と勧誘手口

 つづいて、マルチ会員の特徴とその具体的な勧誘手口に関する紹介に入っていきます。ここでは私が勧誘のマニュアルとして教わった内容や、実際に勧誘する上で意識してきた点などの具体的な内容を紹介していきます。組織により細かな差はあると思いますが、大まかな特徴や勧誘手口には共通するものが多く、知識として知っておけば未然に勧誘から身を守れることでしょう。

 また、マルチ商法の勧誘と一口に言っても、その手口は一般的な営業のテクニックや心理学や恋愛工学など様々な知識を応用したものですので、幅広い分野のテクニックが使われています。悪用は厳禁ですが、健全な目的のための知識として十分に使える知識ばかりですので、ただの自衛策以外の目線でも勉強になることと思います。


会員の特徴

 まずはじめに、マルチ会員に共通する特徴を紹介していきます。前提の話として、マルチ会員は出会いから勧誘するまで、一貫して心理学的に信頼されやすい服装や話し方を心掛けています。具体的な心理効果については、各項目および別章:「専門用語・概念・勧誘技術」で解説していますが、いずれも意図を持って特徴的な見た目、行動をしていますので、よく理解した上で観察してみると、何となくマルチ会員であることを見抜けるようになってくることでしょう。


①服装の特徴

 まずはマルチ商法会員に多い服装について解説していきます。といっても特殊な格好をしているわけではなく、普通の格好をしている方が多いですが、勧誘の成功率を上げるために、会員限定のセミナー等でこれから説明するような服装をお勧めしていることが多いです。

 マルチ商法や怪しいビジネスの勧誘してくる人に多いのは「ビジネスカジュアル」、「目に余るほどのブランドファッション」、そして「一周回ってラフなファッション」です。繰り返しになりますが、マルチ商法の会員だからといって特殊な格好をしているわけではなく、至って普通の服装をしています。ただ、これらの服装には何らかの意図がありますので、後述する特徴や好む会話とセットで覚えておけば「あー多分この人マルチの勧誘してくるなー・・・」という感性が磨かれますので、ぜひ参考にしてみてください。

 なお、ここでの紹介はあくまでもマルチ商法の会員に対しての目線で評価していますが、人それぞれ好みの服装はありますし、それらを否定するわけではないことをご承知おきください。


○安価・手軽・無難の三拍子「ビジネスカジュアル」

 「マルチ商法を片手間の副業ではなく、真剣なビジネスとして取り組んでるんだ!」、「スキマ時間にちょっと将来のために活動してるんだよ!」という主張をしたいマルチ会員に多いのがこのスタイルです。

ここから先は

30,297字

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?