定年退職後の私の日々(経済編7:持ち家について3)
この一週間は体調が激悪だったのでほとんど外出していない。やることがないのでネット関連の興味ある情報をボーッと閲覧しているのだが、最近妙に”持ち家vs賃貸"に関する情報が多い。
興味があるのでついつい閲覧してしまうので、ますますリコメンドされてしまう・・・という循環が機能しているのだと思うが、相変わらず偏った意見やら「なるほどねー」と思える意見やら色々賑やかだ。
以前の記事でも言及したように、私は生活者個々で人生観や経済状況等は大きく異なるので、どちらが良いか悪いかを結論づけるのは無意味。自分にとってベストと思える方法を好きに選択すれば良い・・・・が正しい答えと考えているが、やはり世の中は何事にも白黒付けたい人が多いようだ。
これは少々偏見かも知れないが、白黒付けたい派=持ち家派のような気がする。現時点では世の中の持ち家率の方がかなり高いのだから、当然こうなるだろう。ただ、「絶対持ち家!」を標榜している人が実際は賃貸を選択している・・・ようなケースも結構多いのではないだろうか?マンションデベの社員はできるだけ賃貸を選ぶ・・・みたいな笑えない話も良く聞く。
持ち家率が高い日本のメディアにおいて「持ち家が有利」と言っておけば、ひとまずメシは食えるし平和である・・・ということなのかも知れない。
1.持ち家の方が賃貸よりも良い・・・という点はある
賃貸よりも持ち家の方が絶対良いだろうなあ・・と私が思うのは下記の点だ。
(1)家を持てば、「いい年して賃貸?」と周りに言われないので気分が良い。嫁さんや子供に肩身の狭い思いをさせなくて済む。一人前の人物になった充実感を味わえる。
(2)ペットを飼いやすい。
(3)自分の好みの住設備を選べる。
(4)老後に住む家で悩むことが基本的には無くなる。
たぶん(1)を重く見て持ち家を取得する人が多数だろう。でも私のように(1)を得るために莫大なローンを背負うのが嫌だ・・と考える人もそれなりに存在するのは事実だ。
(2)は圧倒的に持ち家有利だと思う。私も正直羨ましくてならない。ペット可物件を賃貸するのは何だか相手の軍門に下る・・みたいで実に居心地が悪い。
(3)は賃貸でも金で解決できる部分も多いが、やりやすさを考慮するとやはりこれも持ち家が圧倒的に有利だろう。
(4)は持ち家の最も重要で有利な点だと思う。高齢者になると間違い無く賃貸は厳しくなる。
2.経済的な側面から持ち家有利と判断するのはいかがなものか?
前述1.で述べた4項目においては、世の中のかなり多くの人が「なるほどねー」と思う持ち家の有利な点だと思うのだが、メディアにとってはどうもネタとしては迫力に欠けるらしい。(1)~(3)における価値の見出し方が、生活者個々によってかなり異なるからだろう。
メディアにとっては、全ての人にとって普遍的で迫力のある判断基準が必要らしいのだ。
だったら持ち家の普遍的かつ圧倒的な優位点である(4)を積極的にアピールすれば良いと思うのだが、不思議な事に「持ち家有利」の論調では余り声高にアピールされることがない。
メディアでしたり顔で「持ち家が圧倒的に有利!!」を標榜する連中は「金銭的にどっちが得か?」という身も蓋もないような俗っぽい判断を大上段に構えた論調で攻めてくることが多い。
しかし、私はこの数十年の間に「金銭的に持ち家が得」という論調で納得がゆくものを見た例がない。それどころか、「それは明らかにおかしいんじゃないの?」という論調ばかりである。
最近少々びっくりしたのは、「日本で持ち家比率が高いのは、持ち家が有利だからの証左に他ならない」という論調だ。この論者は脳味噌があるのだろうか?
こんなのもあった。「賃貸は大家に賃料を払っている。持ち家にはそれはない。従って、大家の利益分だけ賃貸は余計なコストを払っている。だから持ち家にすべきだ」というのだ。中学生の夏休みの宿題の回答か?と思ったりする。
結局、現状では下記と考えておくのが無難なのではないだろうか?
(1)生活者個々の価値観、経済事情等はそれぞれ異なるので、持ち家、賃貸のどちらが有利か?を普遍的に判断することはできない。
(2)金銭的な損得だけを考えた場合にも、長期的にどちらが得かを普遍的に判断することも不可能である。
(3)平成不況から現在に至る日本の経済環境、雇用環境は非常に不安定で先行きも見通しにくい。不動産資産価値そのものの位置づけもバブル以前とは大きく変化している。その意味では住宅ローンという大きな負債を抱えることは現状ではひとまず避けた方が良いのではないか?