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「インタビュー」の仕事から学んだこと

今回は、自分のライフワークにしたいと前回書いた「インタビュー」について掘り下げてみようと思う。ライターとして今までの体験や思うことも含めて自分がわかる範囲で書くので、「へぇ」と思ってもらったり、少しでも誰かの参考になったりすると嬉しい。

対象となる人物

私が今までインタビューしてきたのは、俳優、映画監督(アニメーション含む)、モデル、アスリート、企業のトップ、メーカーの開発者などジャンルはさまざま。

旅もののメディアも書いていたので、お店や施設の担当の方も含めると、自分のキャリアでお話を伺った方は優に1000人を超えているだろう。

特にここ数年で多いのがアスリートだ。

野球、サッカー、ゴルフ、バスケットボール、フィギュアスケート、スキーと競技も多種多様なうえ、選手だけでなく監督やコーチ、栄養士など選手を支えるスタッフの方にお話を伺うこともあるので非常に興味深い。

俳優や監督、企業のトップの方々はインタビューに慣れているのでお話も流暢な方が多いが、アスリートの中にはインタビューが苦手な方もいる。でもだからこそ、その選手の魅力やその方らしい言葉を引き出すのがインタビュアーの腕の見せどころ。

驚異的な身体能力と体格、一般人にはない才能を持っている超人というイメージだったが、インタビューすればするほど繊細な方が多いという印象。むしろそれが一つの道を極めるのに必要な素質なのかもしれない。

インタビューのしかた

担当するメディアや形態、ライターによってもやり方は異なるが、私の場合はクライアントから依頼を受け、インタビューしたい人物が所属する会社や事務所に直接アポ取りをするケースもあれば、セッティングされたところに伺うケースもある。

基本は単独インタビューだが、公開する映画の宣伝などをする方の場合は一日メディアデーという日が設けられ、何十社もの媒体社がこぞって取材するケースも。そんな時は合同取材といって、一気に5~6社が対象となる方を取り囲んで順番に質問していくのである。

最初は少し抵抗があったのだが、他のインタビュアーがどんなアプローチでどんな質問をするのかが見られる恰好のチャンス!実際にインタビュアーによって、答える側の回答や話し方、テンションも変わるので、とてもいい勉強になる。

インタビュー時間は、映画宣伝もので合同+個別で約40~50分。ライターのワークショップでお話を伺った際、対象人物や掲出するメディアによってはインタビューにじっくり2~3時間かけるという方もいたのだが、アスリートなどは基本的に短く、数ページにわたるロングインタビューでもない限りは10~15分ということもある。この時間内でいかに聞きたいことを聞くかが重要だ。

インタビューで意識すること

私がいつも大切だと思っていることは次の3つ。

①事前リサーチを怠らない。

当たり前と言えば当たり前なのだが、対象人物の経歴やその方が出している書籍、発信しているSNS、ブログなど、わかる範囲の情報はすべて目を通すようにしている。

キャリアが長かったり、発信しているものの量が多かったりすると準備が大変!でも、どのくらい相手が自分のことを知っているかはインタビューされる側もわかるはずで、付け焼刃で得た情報は少し話せばすぐにボロが出てしまう。

私が個人的にインタビュー記事を読んで残念だなと思うのは、ありきたりな質問ばかりの記事。答えが予測できてしまい、読者の想像を超えるワクワク感が感じられない。インタビューされる側も同じような質問では気の毒だ。せっかちで無駄が嫌いな私なら、そんなメディアには「よくある質問FAQ」シートを渡したくなるだろう。

そもそも「相手に興味を持つ」ことがとても大切で、純粋にこの人が知りたい!という意識でいると、自然と相手もそれに応えてくれようとするものだ。

②相手とテンションを合わせる。

これは人により異なるが、私はなるべく相手のノリに合わせて話しやすい雰囲気を作るようにしている。だいたいの方が初対面なので、どんな性格なのかは話してみないとわからないが、限られた時間でできる限りそれを早く見極めて、相手がノってくる瞬間を見逃さないようにしている。

③本音で向き合う。

インタビュー中は対象人物の良さを引き出さなければならないので、自分が語る場ではないのだが、その方の言動に対して「私はこう思う」と必ず自分の意見を言うようにしている。それが正解でも不正解でも、相手の本音を引き出すきっかけになるからだ。

以前受けたワークショップで、あるライターの方が言っていた。インタビューを受けた本人も知らない自分の本質が引き出される「その人にとってのお土産になるような」インタビューを目指していると。その表現があまりにも素敵だったので感銘を受けた。

インタビューする相手にも貴重な時間を楽しんでほしいので、かしこまった雰囲気で仕事として話してもらうのではなく、世間話をしていたらいつの間にか話し込んじゃった、くらいの自然なノリを目指している。

記事を書く時に気を付けること

インタビューが終わったら、録音したボイスレコーダーを再生して文字起こしを行う。これが結構骨の折れる作業なので、別の人に頼んだり、便利なアプリに頼ったりしているが、いまだ精度の高いアプリには出会えていない。

文字を起こした原稿から、インタビュー記事にしていく時に大切なのは、読者が読みたくなる構成と見出しだ。場合によってはインタビュー通りではなく、順序を変えてしまうこともある。

また、その場にいたからこそわかるニュアンスも、文字にしてしまうとよくわからない、伝わりづらいといった場合には、言葉を追加したり言い回しを変えて読みやすくしている。そこは意味が変わらないように慎重に手を加える必要がある。

相手が著名人であればあるほど、本人が原稿をチェックしないことが多いため、ちょっとしたニュアンスの違いが命取りになってしまうからだ。本人が意図しない形で、さも本人の言葉として読者に伝わってしまったら…そう考えると、編集作業はインタビュー相手のイメージを左右するとても責任重大な仕事なのだと自覚しながら臨んでいる。

まとめ

ざっくりと思うことを書き連ねてみたが、所詮自分もまだまだ勉強中の身。あくまでも自分のやり方なので、他のライターの方のインタビューには今でも立ち会ってみたいと思うことがある。同業の方のお話も、機会があればぜひ聞いてみたい。

もし好きな相手にインタビューできるなら、ミュージシャンや作家の方にいつかぜひインタビューしてみたい。クリエイティブな脳内がどんな思考になっているのか、詳しく聞いてみたいからだ。

出会いの数だけドラマがある。インタビューの楽しさは尽きない。






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