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ツールドフランス2024 第3ステージ (Piacenza - Torino) 考察

ツール・ド・フランス第3ステージは今大会最長の230km。

激しい展開が行われた2ステージの後の長距離ステージということで、プロトンは若干のリラックスムード。

ファーストアタックはUNO-Xのアブラハムセン選手とチームメイトのクルセット選手。アブラハムセン選手はポイント賞ジャージ、クルセット選手は最年少。クルセット選手の提案でTVにアピールするために二人でアタックしたそうです。その後二人はプロトンに戻るつもりでゆっくり走っていましたが、それでもプロトンが全然追いついてこないので道端に止まってプロトンを待っていたのが、かなりスロースタートなステージなんだと印象的でした。

スプリンターチームも逃げができてもできれば少人数の逃げを作りたいが、逃げの選手も少人数で230km逃げるのはキツいし、各チームも少人数の逃げを決めるまでのアタック合戦を避けたような感じです。「今日はどうせスプリントなんだし、スプリンターチームさんお願いします!」といったところでしょうか。そんな雰囲気もあり、その後はスプリントを狙っているLidl-TrekとAlpecinといったスプリンターチームがメインになってプロトンを牽引します。

束の間でしたが、Alpecinのヴァンデルプール選手とIneosのクヴィアトコフスキー選手の世界チャンピオン二人が牽引に加わっているのを見て、ツールドフランスの層の厚さを感じました。

そこからKOMとスプリントポイント以外は特に大きな動きはなく、残り66kmになってTOTAL Energieのグレイエ選手が単独でアタックしました。プロトンを活性化しようとしたのか、TV映りと敢闘賞狙いのアタックだったのかはわかりませんが、サガンが離れてからちょっと元気のないTOTALとしては少しでも見せ場を作れたのかなと思います。グレイエ選手はそのまま残り28kmまで逃げて敢闘賞を獲得しました。

グレイエ選手が捕まってからはスプリントに向けて各チームが位置取りを開始。各チームのトレインがプロトンの先頭を固めます。最近ヨーロッパのレースシーンで話題になっている街中にロータリーがたくさんある問題は、トリノの街の周辺でもそうで、フィニッシュまでたくさんのロータリーを通っていました。映像的にはキレイですが場所によっては片側は遠回りになってしまうところがあり、遠い方に行ってしまった選手たちは合流するのに苦労してました。

逆に普通には前に上がれないのでギャンブルで反対側から前に上がる使い方もありますが、スピードが上っているので結構大変そうでした。そんな中、UAEやVismaはずっと距離が短い方を通っていたので、チームカーから指示が飛んでいたのではと思います。(これこそコントロールセンターのおかげ!?)

このステージは、今まではトラブルは3km以内でプロトンと同タイムだったのが、新レギュレーションで5km以内になるお試し回でした。落車があったのが残り2.3kmで前レギュレーションでも有効な範囲でしたが、それまでもロータリーでギリギリを走ったり、パンクや単独落車もあり、レイアウトも
昔より危険になっているので余裕はあって欲しいです。

最後のスプリントは流石に230km走ってからなので全体的にちょっとズブズブしていましたが、Intermarcheのギルマイ選手が鋭い加速でアフリカ選手初、Intermarche初のツールドフランスでのステージ優勝を達成。またマイヨジョーヌ争いでもEFのカラパス選手がエクアドル選手初、EF初のマイヨジョーヌ獲得で、第2ステージに続き初めて尽くしになっています。この結果カラパス選手はグランツール全てでリーダージャージに袖を通した初めてのラテンアメリカ選手になりました。

たくさんの歴史が更新されたので、7月1日はサイクルロードレースがよりワールドワイドになった記念日にしてもいいじゃないでしょうか。ラテンアメリカの選手もアフリカの選手もずっとヨーロッパのプロトンにいましたが、
結果が出るまでには時間がかかりました。これからアジアも彼らのようにどんどんヨーロッパに挑戦して、歴史に名を刻む選手の登場に期待したいです。

また今年のツール・ド・フランスのコース設定した人たちは、ここまででもすでに大成功ではないでしょうか。近年山岳ステージが多く、選手数の9人から8人になったことでスプリンターが削られている感じでしたが、今年はスプリントステージも8ステージと多く、各チームもスプリンターを連れてきて、90年代くらいのツールに戻った印象です。第3ステージは上位10位までほぼスプリンターで埋まっています。3週間で色々なレース展開、いろいろなドラマがあるのがツール・ド・フランスだと思います。

各国で街中でサイクリングレースをするのが難しくなっているという話を聞きますが、ツール・ド・フランスで魅力を知ってもらって、サイクリングレースがより認知されることを願っています。そのためにもみんなで応援・マナーアップしましょう!

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