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【具体事例】双極性障害をコントロールし無遅刻無欠勤で1年働いた方法

誰に向けた記事か

双極性障害Ⅱ型の当事者、一緒に働いている人、そんな方々への記事です。

わたしたちにとって「1年間無遅刻無欠勤」これってかなりハードル高くないですか?笑
少なくとも私にとってはハードルが高いことだったと思うのですが、なんとか実現できました。

今日はどうやって実現したのか、その具体的方法をいくつかご紹介します!

【執筆背景】
「双極性障害の方がどうやって安定就業を実現しているんだろう・・・?」
「どんな取り組みをしているんだろう・・?」
そんな具体的な情報がどうも少ないように感じています。
そこで情報共有の意図で自分の働き方実例をいくつか記載してみました。

そんな記事です。

私の病気経過の詳細はこちらから。


私の病気の簡単な説明

私は双極性障害Ⅱ型という病気を持っています。気分が高まる躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す病気です。
社会人1年目に診断がつき、かれこれ6年以上の付き合いになります。
私の場合、およそ1年サイクルで体調が悪化する傾向があり、ほぼ毎年休職を経験してきました。

社会人5年目のときに約1年半の休職をし、リワークという専門機関で病識を深めるリハビリ/トレーニングに7か月取り組みました。
そして現在の会社へ転職し、社会復帰しました。

現在の会社での状況

1年間無遅刻無欠勤(コロナ罹患を除く)。
パフォーマンスも認めていただくことができ、社長賞を受賞。

※時期によっては軽いうつ症状も出ていましたが、欠勤に至ることはありませんでした。

私の人生においては、病気を発症して最もうまく体調コントロールができた1年でした。

何をしたのか

結論から言うと下記を実施してきました。

①自分の双極性障害の取扱説明書を作った
②障害を職場にオープンにして就労した
③所属部署で障害の説明会を開催してみた
④体調管理シートを作成し、週1回上司とMTGを繰り返した
⑤体調悪化時の連絡先・連絡内容を明確にした

①自分の双極性障害の取扱説明書を作った

1年半リワークに通う中で、自分の病識を深めてきました。

病識
「精神障害によってもたらされる何らかの変化の気づき」つまり主観的な変化の体験の自覚のうち、医学的に妥当であるかどうかを客観的評価したもの

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%97%85%E8%AD%98

臨床心理士や担当医、友人などの意見をまとめ上げ、自分の症状パターンを整理しました。
コントロールするための方法も現在分かる範囲の傾向を整理しました。

具体的にはこんな表に最終的にまとめています。

軽躁症状まとめ(あくまで私のパターン)
うつ症状まとめ(あくまで私のパターン)

この過程は自分の病気を理解する上で非常に有益な時間でした。
が、それだけでなく「今後この病気をコントロールして生きていくんだ」という覚悟が醸成され、副次的ですが非常に重要なマインド変化だったと思います。

②障害をオープンにして就労をした(障害者雇用枠での就職)

双極性障害Ⅱ型の勉強をする中で「自分一人ではコントロールできない」ことを悟りました。
そこで会社に「合理的配慮」を求める事が必要だと考え、障害者雇用枠で転職することを決意、障害者手帳を取得しました。

【合理的配慮とは】
障害者差別解消法で定義されている言葉。障害者が社会生活をする上で直面する事物、制度、慣行、観念などの障壁(バリア)を取り除く、つまり障害者が障害を持たない人と同じことができるように、障害者が対応を求めた場合、「負担が重すぎない範囲」で対応しなければならない、ということを指す。

https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c1661/

転職活動で企業に対し求めていた合理的配慮は以下のとおりです。

▢ 上司との定期的な体調1on1を実施したい(月1回以上)
▢ 20時以降の残業が発生しないよう配慮いただきたい(自己努力は前提)
▢ 時短就業(週30時間)から就業スタートしたい

職務経歴書に「必要な合理的配慮」として記載していました

上記配慮をいただける企業様でいくつか選考が進み、結果今の会社に入社することを決意しました。

入社後も実際にこの合理的配慮を頂くことが出来、安定して就業を継続することが出来ました。
これがクローズだったらと思うと恐ろしい・・・

実はこの間、一般雇用枠での転職活動も並行しており内定も頂けました。
一般雇用枠のほうがオファー金額は高かったのですが、最終的には障害者雇用枠での転職を選択しました。

当時はかなり悩みましたが、私はこの選択を後悔していません。
目先の年収に流されず、長期的に活躍できる会社を選ぶことができたと思っています。

③所属部署で病気説明会を開催してみた

入社後、わたしは所属部署向け(7名程度)に30分の「病気説明会」を開催しました。
先述の通り、自分一人ではこの病気のコントロールは難しいと考えていたためですが、最大の目的は【部署の方と心理的安全性の高い関係を築き、”助けて”を言いやすくすること】です。

自分はどんな障害をもっていて、職場ではどんな協力をしてもらいたいのか、この2点を伝えました。

【実際に使用した説明資料はこちら】
双極性障害Ⅱ型について:病識レポート

部署メンバーは真剣に話を聞いてくださり、私も部署に対して安心感を持つことができました。「この人たちには何か合った時にいつでも”助けて”を言える」そんな心理的安全性を感じられるようになりました。

偏見を持たれるかな・・・
面倒なやつだと思われるかな・・・

発表前はそんな不安がありましたが、あたたかく受け入れてくださった部署の皆さんには本当に感謝しかありません。


障害をオープンにするかどうかの意思決定は障害特性や自分の性格にもよると思いますが、「助けてをいえるかどうか」にどの程度影響するかが重要だと個人的には思います。


④体調管理シートを作成し1on1を週1で実施した

これが最も効果があったと思っています。

体調のことを報告・相談する「体調1on1(上司×私)」を週1で実施していたのですが、そこで使用する「体調管理シート(グーグルスプレッドシート)」を作成しました。

中身はこんな感じ。

「睡眠時間」「ストレス度合」はスマートウォッチで計測した数値

ただなんとなく「今週どうだった?」と会話するのではなく、
私の病気をコントロールする上で重要な項目を整理し、その事実を一緒に振り返っていく(PDCAを回す)場にしていました。

このおかげで30分という短い時間の中でも濃い振り返りを行うことができ、
僅かな体調変化にも一緒に気づくことができました。

言葉だけでの振り返りはどうしても感覚や主観によってしまいますし、
私は性格的に「大丈夫です!」と言ってしまいがちです。

このシートがあると「大丈夫です!」と言っていても、「でも睡眠時間減ってるけど・・?」と事実を元に確かな振り返りができるので非常に有用です。

毎週記入するのは根気がいりますが、習慣になってしまえばなんともありません。

これはガチでオススメです。

⑤体調悪化時の連絡先・連絡内容を明確にした

ここまでのお話は「予防法」に関することですが、双極性障害の症状再発率は80%と言われており、私も完璧に再発を抑えることは難しいと考えています。

つまり「対処法」も用意をしておくことが重要です。
対処のPOINTは【初動スピード:いかに早期に対処できるか】だと思っています。

しかし、うつ症状が出はじめたときは「報告事項を整理する」ような思考力もない・・・」そんな状況です。ココがハードルになります。

そこで報告スピードをとにかく高めるために【体調悪化報告の専用チャンネルの作成(Slack)】【体調悪化時の報告フォーマット】を作成しました。

実際に使っているもの。「トピック」を部分をコピペして報告する。
書ける範囲だけ書く。全部書けなくて全然OK。


1年の中で3回ほど実際にこのフォーマットを使ってアラートを発信しました。
このフォーマットが合ったおかげで私もとにかく素早く動くことが出来たと思っています。

最後に

私が職場で実践している仕組みは以上です!

色々な仕組みを実践していますが、大前提として【会社/メンバーが障害を理解し受け入れ協力してくれている】という圧倒的に重要で、私が感謝すべき事実があります。

私はとにかくこの会社、このメンバーに出会えた時点で本当に恵まれていて、本当に感謝しています。

世の中のすべての会社がこんな理想的な環境ではないことは理解しているつもりなので、
この記事から「あなたもこうしたほうがいい!」なんてメッセージは口が裂けても言えません。

ただひとつ言えると思っていることは【働きやすい環境つくりをこちらから提案していく知恵と勇気】は大事だと思っています。


長い記事を読んでいただきありがとうございました。
この記事での情報が誰かに少しでも役立ちますように。

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