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【日記エッセイ】「大学の清掃員と三条」

周りのほとんどが惑星間ワープで地球と惑星を行き来しているってのに、今日もオレは地球原産ではない輸入青で塗装した、異臭のする旧サイトに乗っていた。オレと歳の近い連中は何も考えずにワープを使っている。若い連中のワープは残る残滓が多いらしく、飛び散った残滓をこそぎ取ってるダムが、若い奴らは節操がないとボヤいていたのを思い出す。ダムたちの仕事はワープホールの清掃ではあるが、残滓をこそぎ取るのは少しまた別の問題なんだろう。オレはワープホールの清掃員みんなが、プロフェッサーの悪口を言いながら仕事をしているのを知っている。だから、あのホールがどれだけ綺麗になろうがどうだっていい。オレはダムの言う若い連中の部類に入るのだろうか。

そう言えばこの前、惑星の名前は忘れたが、差別圏にあたるパースの夏祭で、オレは畜軍との戦いに全てを費やした「古き戦士」に若い衆と呼ばれた。若い衆という言葉に違和感を感じたのを憶えている。彼は、オレとは全く別の顔をしていた。皺の深さ、その目の奥底に詰まった敵対心と悲しみ。言葉数は少なかった。あまり上手に夏祭りを楽しめていなかったと思う。彼は攻撃的な口調で周りに命令していた。オレはここで何があったかをあまり知らない。

知っていることは、どこかの惑星のたくさんの者達が、彼らを同じ箇所に住まわせて迫害したことと、食えないとされるトールたちの汚物を洗わせていたことだけだ。これが事実なのかも正直わからない。なぜそうなったかを考え始めるとキリがないように思えた。オレはあまり知らないことで、たまにパースに来れるのかも知れない。

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