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忘れる練習

たくさん、やらなければいけない事があると、
あれも、これも…と明日、明後日、未来のことまで頭に詰め込んで、忘れないようにと気が張り詰める。

脳に負担かけてでも、忘れないようにと頑張る必要があったのかな。
そこに気づかず毎日を送っていた。


高校を卒業していないわたしは、いつも勉強してない、学歴が無いという引け目を感じてた。
この歳でも、未だに感じている。

ただ、そんな学歴のわたしと、大学院まで行ってるような子が、同じ場所で働いていた時…
なんとも言えない、不思議な気持ちになった。

そんなわたしは、頑張ることで何かが報われるかもしれないと思っていた。
それは、給料というより、信頼度が欲しかったのかもしれない。


一度教えてもらったことは、何度も聞かないようにメモして、家でも復習する。
誰かが困っていたら、手伝ったりフォローしてあげる。
余計な悪口や愚痴、噂をあちこちでしない。

当たり前な事柄かもしれないけど、
これらをずーっと頑張り続けるのは、なかなか辛かった。
常に張り詰めた気持ちになってた。


いつしか、就寝中も脳が活動してるのが分かるようになった。
どっと疲れたまま朝が来る…、そんな日が何年も続いた。
休みたいのに休めない。


そしてわたしは体調を崩した…。

それから少し経った頃…。
自分が、あらゆることを頭にストックして、
常に忘れないようにとしている事が、脳の緊張と負担になっているのかもと、思い始めた。

休みたい脳を、わたしが休ませまいと働かせてしまってる。
忘れないように…、忘れちゃいけないと。


もし、忘たら大変なことになるのか…?と考えた時、実はそこまで大変なことではないかもと、思った。
メモしているし、カレンダーにも書き込んでいる。

なら…今は忘れてもいいってこと?
その時、その日に考えればいいったこと?
そう思った。


だけど、忘れるということは、覚えたことを忘れるわけで、勇気が必要だった。

覚えることは大切、良い印象。
忘れるって、どう考えても悪い印象。
だいたい忘れたいのは、"嫌な出来事"があった時くらい。

大切なことを忘れよう…なんて、誰がやるのか。
本当に全て忘れてしまったらどうする?
そんな気持ちになったけど、
ダメだったら、違う方法を考えればいいかと楽観的に考えた。


そして、わたしは
忘れる練習をした。


頭の中は、わたしが思っていたより賢くて、
忘れたからって、全てを忘れることはなく、
きちんと引き出しにしまわれていた。
ちゃんと思い出せる。

あんなに忘れないようにと一生懸命頑張っていたのに…。

もっと早く、忘れる練習すればよかったな。

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