#創作大賞2023 「AIの瞳に恋してる」第1話
あらすじ
「計算をしつくしたということは、自然とひとつになることなんだ。」
今になってみれば、彼の言葉が正しかったのだと思う。
「書くということは、主張するということだよ。」
「君もいつか、何か書いてみると良い。そうすれば、私の言っていることが分かると思う。」
そう言い終えると彼は、お気に入りのブレンド(それは、焙煎の工程で通常の1回ではなく、2回焙煎を行うことで、香り高く優しい風味を持つように工夫されたものだ)のコーヒー豆を曳く。
土曜日の晴れた朝の凛とした空気がキッチン脇の窓の隙間から入ってくる。ペーパーフィルタをきっちりと折り、そこに曳いた豆を入れ、予め沸かしておいた琺瑯のスリムポットを右手で持ち、丁寧にお湯を注ぐ。
私は、何かの儀式のようにも見える、その美しい一連の所作をただ眺めていた。
「私にも、いつかその入れ方を教えて。」というと、彼はきまって
「大したことをしている訳ではないさ。じきにできるようになる。」と応える。
今ではもう、私は彼のコーヒーの淹れ方を完全に再現できるようになった。
でも、彼はもうここにはいない。
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【第二話】
【第三話】(鋭意制作中です。スキで応援していただけたら執筆の励みになりますのでよろしくお願いします!)
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