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「どんなライターと仕事したい?」と聞かれたとき、編集者の僕が答えていること。/書かないよりは、まし。16

1月もすでに半分ほど過ぎてしまいましたが、本年初のnoteの投稿になります。今年もよろしくお願いいたします。
早速ですが、最近、ライター志望の方の前でセミナーをしたり、あるいはライターの卵みたいな方と飲む機会がちょくちょくあって、そのつど「どんなライターと仕事がしたいですか?」「良いライターとはどんな人ですか?」という質問をされるんです。

正直、普段はそんなことをあまり意識していません。
僕がライターの方と仕事をするケースはそれほど多くありませんが、それでも過去の経験を踏まえ、頭の中に、「こんな仕事だったら、この方」というリストができています。
ですから、そういう仕事が発生したら、脳内リストにあたって連絡を取るのみ。それでも、ぼんやりとした条件のようなものはある。
そこで、いったんnoteに書きとめてみようかなと思いました。

ただし、あくまで個人的な意見です。他の編集者の方にはまた違った基準があるでしょうし、「ま、こんなふうに考える人もいるんだな」程度に読んでください。
参考までに、いちおう自分の経歴を書くと、新卒で編集プロダクション→出版社→(半年ほど非出版系のベンチャー)→出版社で、ビジネス書・実用書と呼ばれるジャンルの書籍の編集者を15年以上続けています。

そんな僕が仕事をしたいライターの方は、一言で言えば、「自分の<弱点>を補ってくれる方」です。
ん? 筆力とか取材力とか構成力とかスピードとかを求めているんじゃないの?
と思う方もいるかもしれません。もちろん、それら個々のスキルが優れているなら本当に助かりますが、いちばん大事なのは、先ほど太字にしたことかと思っています。
以降、架空の例を挙げて、説明します。

たとえば、僕が「飲食店経営」について、取材形式で、できるだけわかりやすい本を作りたかったとする。
このとき、僕の<弱点>は「飲食店経営について、多少は知っている」ということです。
と言うのも、以前勤めていた出版社で、そのジャンルの本をよく担当していたため、素人なりに、多少その業界の専門用語を知っていたり、経営者の悩みを理解していたりするんです。
この「飲食店経営に詳しい著者+飲食店経営に多少詳しい編集者」という座組みで本を作ると、想定読者である初心者の疑問をスルーする危険があります。
ですから、ここにライターの方を入れるなら、僕はできるだけ「飲食業界に詳しくない。なんならビジネスものの記事も普段あまり書かない方」を求めます。

他にも例を挙げるなら、「ナンパがテーマの本を作りたいけど、著者も自分も男性なので、あえて女性のライターの方を入れる」「医療問題の本を編集するにあたって、自分はその知識や問題意識が弱いので、その分野に強い方を探す」とか(くどいですが、あくまで架空の例です)。
そうやって、自分の弱いところをカバーしてもらえたら、あとは仮にその方の筆力や構成力が弱かったとしても、僕のほうでサポートできるだろうという目論見です。
ただし、これは僕が編集プロダクション時代に、原稿のリライトや(再)構成を飽きるほどやって、「ま、なんとかなるだろ力(りょく)」みたいなものがついたと思っているからのこと。
駆け出しの編集者だったら、個々のスキルもある、ベテランの方と組むにこしたことはない、かもしれません。

じゃあ、どうやったら、その<弱点>を補えるとアピールできるのか?
と思うライターの方もいるかもしれませんが、その対策の一つは「自分にタグをつける」ことではないでしょうか。
名刺でも、SNSのプロフィールでも、署名記事の経歴でも、飲み会での自己紹介でも、自分が何に強くて、逆に何に弱いかをタグづけするように説明する。
先ほどの例のように「詳しくないことが強み」である場合もあるので、そういうことも言ってもいいのでは、と個人的には思います。
その積み重ねがあると、こちらが「◯◯という<弱点>を補っていただきたい」と考えたとき、その方を思い浮かべる確率がぐんと上がると思うので。

と、一言で言えることを、よく言えば丁寧に、悪く言えばダラダラと書き連ねてきました。
こうしている間に、待っているイラストのラフが来ればと思ったのですが、僕のGmailに届くのは、グーグルアラートばかり……。今年も、仕事はいろいろ大変そうです。
ともあれ、<弱点>だらけの僕を補ってくれるような方がいれば、どこかで仕事できたらいいですねと。

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