朝を思えば。
僕は本日で無職歴6日目の成人男性である。
僕のしていた仕事は、一般的な仕事よりもはるかに危険が付き纏っている仕事で、辞める直前までは「少しゆっくりしてから仕事を見つけよう。」と思っていた。
だけれど不思議なもので、仕事をしていないで家にいることがこんなに精神の安定を奪い、何者なのかわからない不安感が常に僕の隣を駆け抜けていく。無職の期間というのは、四季でいう秋なのだろう。夏は涼しい秋が待ち遠しいけれど、いざなって見たものの朝夕と寒くて仕方がない。
「ああ、こんなことなら春がよかった。」と、ないものねだりを繰り返し、僕は冬になってしまう前に仕事を必死で探しているのだ。
ある朝僕は朝目が覚めた時、強く空虚に襲われて居た堪れず寝巻きのまま家を飛び出したことがある。僕の住んでいる部屋は日当たりが悪く、1日家にいると日中の数時間だけしか明るくいられないのだが、そうなると当然朝も夕方もわからないほど暗く鬱蒼としているのだ。
自分が今、朝に起きてこれから行動を起こし始める時間なのか、それとも知らぬ間に昼寝をしていて夕方に目が覚めたのか。それがわからないくらいには、仕事をしていないと時間の感覚がおかしくなってしまう。
「ニートは楽でいい。」などと安直に口にしているのだが、実際「ニートをする」ということは、選ばれし心の強い人が継続して行えることなのだろう。
僕には、向いていない。仕事をしていない後ろめたさや、気持ちを切り替えるタイミングがなく、大好きな筋トレや読書、ゲーム何をしていても集中力を継続していられないのだ。
正直、僕は精神的にとても脆く、自分の強い部分だけを世の中に見せて虚勢を張っている。というより、僕は心が強い方だと思っていた。
最近仲の良かった人と縁を切り、今までその人との交流に充てていた時間がすっぽりとなくなり、その上無職になって時間が有り余っている。こんな状況になったことなどなかったが、いざなってみたら毎日スピーカーの黒い丸の部分を1時間以上眺めている時間があるくらいには参っている。
世の中を生きる上で計画を立てることがどれだけ重要なのか、社会人11年目にしてようやく気が付いた。仕事を辞める前に、その空いた空白の時間を埋める方法の計画を立てるなり、あらかじめ恋人や友人と過ごす時間を減らしておくなり、対策をとった上でニートにならなくてはならないのだ。
ニートになるということがこんなに大変なことだと、今一つこれを読んだ方には理解してほしい。
毎日仕事を辞めたいと思いながら生きている方が多いと思うが、実際辞めたところで何もないのだ。
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