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110円。手紙を送っては返事を心待ちにしていた自分を思い出した話。

62円の値打ちしかないの?
僕のラブレター
読んだのなら 返事くらいくれてもいいのに

Mr. Children "my life"(1993)

郵便料金値上げの話題が出るたびに、ミスチルの桜井さんの歌声が頭によみがえる。
ついこの前封書が84円になっ(てこの歌がよみがえっ)たと思ったのに、一気に110円とは!


中学生時代、山口県の一つ年上の女の子と文通をしていた。海を渡って、茶髪でちょっとやんちゃな彼女から、5枚以上にもわたる手紙やプリクラが届くのがとっても楽しみだった。「ちょ→」「いぢわる」とかの女子学生特有の表記を学んでドキドキした。私もかわいい色のペンを使ってたくさんの手紙を書いた。分厚い手紙を投かんした後は、「もう届いたかな?」「あの話、どう思ったかなぁ」「レターセット選んでいるころかな?」とワクワクして待っていた。

今でもすてきなレターセットやはがきはたくさん持っているのに、年に数回も使っていない。この歌がリリースされた1993年から30年が経ち、思春期だった私はアラフォー中年になった。今はもうラブレターなんてわざわざ書いて送る人は少ないだろう。相手の親が出たらどうしようなんてドキドキしながら自宅に電話をかけることもなくなっただろう。通信手段はLINEやZOOMに変わり、便利だけど「やりとりにかける時間や手間、待つ時間を味わう」頻度が大幅に減って、タイパ至上主義みたいな世の中になってしまったことは残念。
あの頃に理想を描いていたような人生ではないと思ってしまうけれど、自分も時代もこんなに変わるということに驚くばかりだ。

中学生当時に大ファンで、しばらく集めていたミスチルのアルバム達。音楽の趣味が変わり、実家に置いてあるのかすぐ見つからなかったので、youtubeで動画を探してみてみたら。
「いいことばっかあるわけないよ それでこそ my life」
笑顔でほがらかに歌う桜井さんがいた。


ああ。なんだか、温泉に肩までつかって「はぁ~」ってため息もれる時みたい。さっきまで眉根にしわがよっていたのに、すっかり等身大の自分に戻してくれた(桜井さんの、『逆を言えば、悪いことばっかりも続かない』って励ましてくれるMCも泣ける)。
逆を言えば、このシンプルな曲がいまこれほど心にしみるのも、あの頃よりも人生経験を約30年分重ねた私だからなのかもしれないな。

またミスチルを聴きたくなって、思わず昔のベストアルバムをポチっちゃいました。


郵政サービスの行く末を憂えつつ、好きだった音楽そして文通を楽しんでいた中学生のかわいかった自分と、長い年月を経ての邂逅となった話でした。


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