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盛田昭夫 『21世紀へ』(009)

盛田昭夫 『21世紀へ』(009)

盛田さんは、企業経営においても、人事においても基本原則に則り、実行してきた人であることが分かります。

時代が変わっても、基本原則は変えてはならないということです。

ところが、人も企業も数十年たち「慣れ」が常態化してくると、活力を失い、いつしか「生活習慣病」に冒されてしまいます。

大企業病です。

一度、大企業病に冒されると、経営トップは不退転の決意で、改革を断行しない限り、業績不振に陥り、最悪の場合、経営破綻に至ることになります。

経営者には、そうした責任があるのです。
「覚悟」を持っているか否かが、企業の運命を決するのです。


『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック

目次
はじめに
第1章 経営の原則
第2章 人材の条件
第3章 マーケットの創造
第4章 国際化への試練
第5章 経済活性化の原理
第6章 日米関係への提言
第7章 変革への勇気
第8章 日本国家への期待
第9章 新世界経済秩序の構築
あとがき


第1章 経営の原則

「繁栄のための経営理念」(1982年)から


「ビジネスは賭けではない。突飛なことはやるな」というのが、ソニーにおける基本原則の一つ

「ビジネスは賭けではない。突飛なことはやるな」というのが、ソニーにおける基本原則の一つになっている。

21世紀へ 盛田昭夫 025  p.46         


まず販売力をつけてから、現地生産に踏み切るというのが、ソニーの海外戦略における基本原則

 私は「売る力がないのに工場をつくったら必ず失敗する。まず売る力をつけるべきだ」と強く主張して、その意見を通した。

 それ以来、まず販売力をつけてから、現地生産に踏み切るというのが、ソニーの海外戦略における基本原則になっている。

21世紀へ 盛田昭夫 026  p.48         



第2章 人材の条件

「学歴無用、実力勝負」(1966年)から


適材適所といっても、日本の場合は一方的で、他人がお前はここが適所だといっても、自分はそうでないと思っていることが多い

 適材適所といっても、日本の場合は一方的で、他人がお前はここが適所だといっても、自分はそうでないと思っていることが多い。

 そして、そうした場合、上司に訴えたり他の企業に再就職しようとしても、そういう道が閉ざされているから、人材を埋もれたままにしてしまっている。

21世紀へ 盛田昭夫 027  p.56         




盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられるでしょう。


🔴「基本原則」

企業においても個人においても、その内容は異なっても、基本原則から逸脱したことをしていては、物事はうまく回転せず、致命的な結果に至ることさえあります。

このことは、私のサラリーマン時代を振り返ってみても当てはまります。

基本原則から逸脱した経営を行なったために、企業業績が急激に悪化して破綻したり、リーマンショックなどの外部からの激烈な圧力に耐えきれず倒産に至ったこともあります。

マンネリ化した企業経営を継続し、企業内部の統制に緩みが生じたことによって取り返しのつかないことに至ったこともあります。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。
さらに、ここ数十年で業態を変えてきましたね。

ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。

ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。

スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。


⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-02 21:37:07)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  
     



ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。


⭐出典元




⭐回想録


⭐プロフィール


⭐マガジン (2023.04.30現在)


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