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Web3の正体 始まった「デジタル独立運動」 2022.11.28 3/3


【『日経ビジネス』の特集記事 】 36

✅はじめに

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。
Ameba(アメブロ)に投稿していた記事は再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、再投稿した記事は他の「バックナンバー」というマガジンにまとめています。

⭐原則として特集記事を3回に分けて投稿します。
「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」です。
プロフィールから)


日経ビジネス電子版セット(雑誌+電子版)「らくらく購読コース」で、2022年9月12日号から定期購読を開始しました。


日経ビジネスの特集記事 36

Web3の正体 始まった「デジタル独立運動」 2022.11.28 3/3

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

前回同様、日経テレ東大学の動画を観ていたら、仮想通貨の管理に関して極めて重要な「パスワード」の管理と「資産管理」に有効なシステムを開発した方が出演していました。

この女性です。

日経テレ東大学 超ファンタスティック未来 

26歳だそうです。理系の頭脳と優れた身体能力を兼ね備えています。
日本人の父親と米国人の母親を両親に持つハーフで、スタンフォード大学を2年間休学し、シルク・ドゥ・ソレイユでパーフォーマーをしていたそうです。大学卒業後、マイクロソフトでサイバーセキュリティのエンジニアとして勤務し、その期間にWebacyというアイデアが浮かび起業したそうです。

2022年だけで20億ドル(約3000億円)のデジタル資産がハッキングや詐欺で盗まれたそうです。

次の動画をご覧ください(45分4秒)。とても面白い内容の動画です。
観ていると話に引き込まれます。


彼女の企業はどのような事業をしているのかを簡単に説明しますと下記のとおりです。

✅Webacy というシステムを使用することでできること

・仮想通貨というデジタル資産管理を厳重に行なう
スマートコントラクト、ブロックチェーンを活用

・パスワード管理が重要で、セキュリティの高いサービスを提供 
仮想通貨用のパスワードは複雑で個人で管理することは困難

・ヒューマンエラーの解決をしている

・ブロックチェーンに「ある条件で他人に資産を継承する」というルールをコードに書き込む

デジタル資産を保有している人が亡くなったり、自分の意思でデジタル資産を管理できなくなった場合(意識不明や身体に重篤な障害を受ける)、前もって決定しておいた人に資産の継承をしやすくする。

例えば、Webacyに3カ月アクセスしなかった(あるいはできなかった)場合、デジタル資産を自動的に資金移動させる ⇒ クリプトウィル(仮想遺言)


私の説明では理解し難いかもしれません。
ぜひこの動画を一度ご覧ください。「なるほど」と合点がいくことでしょう。


では、日経ビジネスの特集記事の続きを読んでみましょう。

PART 3 ユートピアの別断面、身構える番人たち 後追いの制度整備 成長産業を育めるか

現状ではWeb3ビジネスはどうなっているのでしょうか?
この点からスタートしましょう。

「本来の意味でのWeb3ビジネスへの投資は、現状ではできていない」──。ベンチャーキャピタル(VC)、ANRI(東京・渋谷)の中路隼輔プリンシパルはもどかしさを感じている

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DAOという新たな組織形態への挑戦は始まっている。

PART1で見たように、DAOという新たな組織形態への挑戦は国内でも始まっている。10月3日の岸田文雄首相の所信表明演説でも「Web3サービスの利用拡大に向けた取り組みを進める」と言及され、国家戦略に位置づけられた。

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ただし、DAODecentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)は緒についたばかりなので、いくつもの問題点や不明な点があります。

✅法人格の問題

DAOを巡っては法人格、税制、会計の扱いにも不明確な点もある。
まず法人格。国内で立ち上げが相次ぐ現状のDAOは、人々が集まる単なるコミュニティー、サークルにすぎない。プロジェクトの主体としての法人格がない。

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そこで、次のような考え方が出てきます。

責任の主体としては合同会社(LLC)の亜種として位置づけることで、無限責任ではなく有限責任にとどめる考え方が可能だ。

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✅税制面での問題

深刻なのが税制だ。Web3企業は事業のためにトークンを発行してパートナーや投資家からお金を集めるが、一部は自ら保有する。このトークンについて、日本では期末に時価評価され課税されてしまう。立ち上げ期はゼロの状態から発行するため、評価額がそのまま含み益と見なされる。ビジネスやサービスの収益化がまだ見込めない段階で多額の税負担が生じてしまうのだ。

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✅会計面での課題

会計面でも課題は残る。例えばNFTは、日本の会計上の扱いが不明確なままだ。いずれ販売するコンテンツとして「棚卸し資産」になることもあれば、いずれ転売する可能性があるとして「その他投資目的資産」になることもある。もっと一般的に「無形固定資産」と位置づけるケースもある。

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✅暗号資産やトークンの評価の問題

暗号資産やトークンは評価自体が難しいケースもある。「暗号資産を発行・保有する企業が、会計監査を受けられない事例」(自民党のホワイトペーパー)すら存在する。

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上記の内容を整理するとこのようになります。

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こうした問題や課題は残っているにせよ、はっきりしていることがあります。

唯一、確実なのは「Web3がない世界に戻ることはない」ということだ。

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PART 4 自由を求める人々 国家とIT大手に挑戦状 解放者か新支配者か


✅Web3の概念

Web3の概念を一言で言えば、「個人情報を管理する国家やIT大手から、人々を解放する運動の旗印」(Web3の正体 始まった「デジタル独立運動」 2022.11.28 p.032)ということになるかもしれません。

ブロックチェーンという用語が度々出てきましたが、この用語を簡潔に表現すれば、「ネットワークに参加する全員のコンピューターでデータを管理する、全く新しい発想のデータベース技術」(Web3の正体 始まった「デジタル独立運動」 2022.11.28 p.033)ということになるのでしょう。


✅Web3の概念が出現した経緯

Web3の概念を最初に提唱したのは英国のIT技術者で、仮想通貨「イーサリアム」の共同創設者であるギャビン・ウッド氏だ。ウッド氏は、初めてWeb3(当時は「Web3.0」)という言葉を紹介した14年のブログで、「どの政府も組織も信頼できない」などと、国家や大手IT企業への不信感をあらわにした。

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✅Web3の新たな支配者の出現

Web3は個人情報を個人が管理するということが主要概念ですが、新たな問題が発生することが危惧されています。

Web3の信奉者たちは、今後ファンクションランドのようなスタートアップが勢力を伸ばし、最終的にグーグルやメタなど巨大IT企業による支配体制を打ち破ることを夢見ている。
だがその先にあるのは、理想郷とは限らない。Web3関連の有力企業が新たな支配者となり、優越的地位を乱用し始めるなどということも十分に考えられる。インターネットの歴史では、挑戦者だった企業が新たな支配者となって君臨するということが繰り返されてきた。

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もしこれが事実だとすれば、支配者の交代が起こるだけではないかということになります。

現実問題として、その萌芽が現れているということです。

NFT(非代替性トークン)取引市場では米オープンシーなど一部の企業に取引が集中し出しており、イーサリアムを取り扱う電子財布(ウォレット)では米メタマスクが台頭している。Web3業界のあちらこちらで新たな支配構造の萌芽(ほうが)が現れている。

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解放者か、それとも新たな支配者か
●Web3関連市場と台頭する企業
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振り子のように歴史は繰り返す
●インターネットの発展史
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🔷 編集後記

Web3の概念については全く疎かった私ですが、今号の日経ビジネスの特集記事を読んで、おぼろげながら理解が進みました。

Web3の提唱者は「仮想通貨『イーサリアム』の共同創設者であるギャビン・ウッド氏」であることを知りました。

現状では、GAFAMなどに個人情報を管理され、支配されているという構図が出来上がっています。この構図を変えるためにWeb3という概念が提唱されたのですが、決してバラ色ではないことも知りました。

支配者が変わるだけではないかということです。
事実、次の支配者と目される企業が出現しています。

DAO(Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)という用語も概念も初めて知りました。


日経ビジネスはビジネス週刊誌です。日経ビジネスを発行しているのは日経BP社です。日本経済新聞社の子会社です。

日経ビジネスは、日経BP社の記者が独自の取材を敢行し、記事にしています。親会社の日本経済新聞ではしがらみがあり、そこまで書けない事実でも取り上げることがしばしばいあります。

私論ですが、日経ビジネスは日本経済新聞をライバル視しているのではないかとさえ思っています。

もちろん、雑誌と新聞とでは、同一のテーマでも取り扱い方が異なるという点はあるかもしれません。

新聞と比べ、雑誌では一つのテーマを深掘りし、ページを割くことが出来るという点で優位性があると考えています。


⭐ 回想録


⭐ マガジン (2023.01.28現在)




























    

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