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世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか  2013.10.14 #27 2014-03-16 21:20:21

【『日経ビジネス』の特集記事 】 #27  初出 2014-03-16 21:20:21 <バックナンバー>

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。

⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。

⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当しますには、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。

⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」「雑誌発行年月日」を表示します。


再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


2022年7月25日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の7月以降に定期購読する予定です。



日経ビジネスの特集記事 #27


世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか 2013.10.14 1/3 2014-03-16 21:20:21

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

日本が世界で一番遅れているのは、教育ではないか、と常々考えていました。

GDP(国民総生産)に対する教育費の比率が、欧米先進国と比較してきわめて小さい、と認識していたからです。

そういう意味で、今回の特集記事は大変興味深く読みました。 

座して死は待たぬ

冒頭に、東京大学の濱田純一総長へのインタビュー記事が掲載されていました。

東大の「秋入学」に関連した考えにも言及しています。

主な発言内容をご紹介しましょう。

秋入学は、グローバル化時代に日本を再生する切り札になると信じています。
まず、一言で言えば、「多様性」です。

秋入学は、この多様性を大学にもたらします。

また、秋入学になれば、春に高校を卒業してから半年間かけて、自分が何をしたいのかを見つめ直すこともできる。

欧米のやり方がすべて正しいとは思いませんが、大教室での一方的な講義は「MOOC(ムーク)=大規模公開オンライン講座」に代替され、大学の役割が変わる可能性があります。

資金面で制約がある中、我々にできることはカネには代えられない東大の魅力を高めることです。

日経ビジネス 世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか                      
pp.30-31
                    

濱田総長が触れた「MOOC(ムーク)=大規模公開オンライン講座」については、次回お伝えします。

「内憂外患」で閉塞感

世界で最も影響力のある世界大学ランキングは2つあるそうです。2つとも英国企業です。

タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)とクアクアレリ・シモンズ(QS)がそれぞれ発表しているものが世界大学ランキングです。

THEでは、東京大学が23位で、京都大学は52位です。

QSでは、東京大学が32位で、京都大学は35位です。

つまり、日本の大学は世界大学ランキングでベスト10に入っていないのです。

世界大学ランキングでベスト10入りしている大学は、すべてが米英の大学です。

THEのベスト5は
1 カリフォルニア工科大学
2 ハーバード大学
2 オックスフォード大学
4 スタンフォード大学
5 マサチューセッツ工科大学

23 東京大学
52 京都大学 

QSのベスト5は
1 マサチューセッツ工科大学
2 ハーバード大学
3 ケンブリッジ大学
4 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
5 インペリアル・カレッジ・ロンドン

32 東京大学
35 京都大学



もちろん、ランキングには批判があります。

大学は、その国の産業、そして経済の競争力を支える最も重要なインフラの1つだ。

しかし、日本の公的支出に占める高等教育の割合は1.8%で、先進国の中で最低レベル。

高等教育への進学率も、米英や韓国が6~7割に達しているのに対し、日本は5割程度で足踏みしている。

日経ビジネス 世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか                      
p.33
                             


次回に続きます。



日経ビジネスの特集記事 #27


世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか 2013.10.14 2/3 2014-03-16 21:37:02

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

前回は、世界大学ランキングをご覧いただきました。

どのように感じられたでしょうか?

今回は、前回で一部お伝えした「MOOC(ムーク)=大規模公開オンライン講座」とは、どのようなものなのかお伝えしていきます。

最高の授業が無料

東京で企業向けコンサルタントとして働く、バングラディッシュ人、ホセイン・シャハナワズさん(37歳)は、自宅で米国ジョージタウン大学とカナダのトロント大学の講義を受講しています。

ホセインさんは、インターネット上で米ハーバード大学や米マサチューセッツ工科大学などの世界の著名な大学の講義を配信している「エデックス」によって、「お茶の間留学」をしているのです。

MOOCには、「エデックス」の他に「コーセラ」や「ユダシティー」などがあります。

そのどれもが利用者数は100万人を超えているそうです。


       講義数 利用者数 提携大学数  設立者・団体 
エデックス  72    130万人   29    ハーバード大学
                      マサチューセッツ工科大学

コーセラ   448    436万人   84   ダフニー・コーラー氏

ユダシティー 28    160万人   ―   セバスチャン・スラン氏


コーセラには9月から藤本徹・東大助教授が参加しています。

ネットだからレベルが低いのでは、と思われがちですが、決してそうではないようです。

MITで物理学を教えるウォルター・ルーウィン教授は、今年2月にエデックスで講義を始め、人気講義となっているということです。

一方で、MOOCの台頭に警戒感が出ているのも事実です。

サンノゼ州立大学の哲学科は、日本でも知られる、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授に書簡を送ったそうです。

その書簡とは
「不幸なことに、MOOCの広がりは我々の大学に危機をもたらします」

マイケル・サンデル教授は、日経ビジネス取材班のインタビューに応えて、こう話しています。

高等教育は特定層に限られた特権ではありません。

「公共善」であるべきです。そのためには、講義を開放し、誰でも受けられるようにすることが重要です。

手段がどうであれ、場所がインドやアフリカの村々であれ、誰もがアクセスできる高等教育の機会を作り出すことこそが革命なのです。

教科書が授業の素材であるのと同じように、オンライン(の授業)も1つの素材になり得るのです。

私はMOOCによる授業が多くの言語に翻訳されることも非常に重要だと思います。

日経ビジネス 世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか                      
pp.38-39                    


猛追する新興勢力

マレーシアに、日本人の教授たちが多く教壇に立つ大学があるといいます。

日本の大学で定年を迎えた教員や日本の大学から出向しているのです。

マレーシア日本国際工学院(MJIIT)がそれです。

MJIITは「西洋ではなく東(日本)に学べ」を合言葉に東方政策(ルックイースト政策)を進めたマレーシアのマレーシア・ビン・モハマド首相(当時)が、その集大成として着想し、10年以上の年月を経て開校した。

日経ビジネス 世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか                   
   p.40                             


サウジアラビアには、潤沢なオイルマネーを資金にして、世界中からトップ研究者をかき集めている大学があります。キング・アブドラ科学技術大学です。

米カリフォルニア工科大学(CALTECH)のジャンルー・シャモニー学長を次期学長に引き抜いたというのです。

相当なお金が動いたことが想像できます。

次回は、「海外に出た日本人の提言」をお伝えします。




日経ビジネスの特集記事 #27


世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか 2013.10.14 3/3  2014-03-16 22:00:53

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

前回は、MOOCとアジアの新興勢力についてお伝えしました。

「トップ奪取」は可能

学生編「情熱ある教育」を受けたい

国内エリート校を蹴り、米トップ大学への進学を選んだ学生たちのナマの声です。

「英語力アップも動機の1つでしたが、それ以上に学生も教授も必死に学んでいるという環境に身を置いて勉強をしたかった」。
(男子 東京大学→米プリンストン大学)

「寮生活で受ける刺激が何より大きい。学部生は全員4年間、寮生活を送る。週7日、24時間生活を共にする意味は大きく、様々な人との出会いがあります」。
(男子 一橋大学→米ハーバード大学)

「日本の大学を知らないのですが、授業の密度が濃い。エール大は10人程度の少数授業が多く、そういう授業の人気が高い」。
(女子 中高一貫校→米エール大学)

「待っているだけでは何も変わらない。必要なら行動を起こす。ここが自分が最も成長した部分だと思います」。
(男子 東京大学→米ブラウン大学)
<pp.52-53から抜粋>


教授編 改革のカギは「旧制高校」にあり

次に、アメリカの大学で教鞭を執る2人の教授の情熱的な提言をお聞きください。

竹内 弘高・米ハーバード大学経営大学院教授

欧米の大学では原書に接して、それを批判的な目で見て議論する。『自分で考える』という教育の重要な点に関して大きな違いがある。

大学という『場』を通じてどういう人間を育てるかが見えない。

ハーバード大学ビジネススクールは、企業で活躍できる人材を輩出するための場だ。


西 義雄・米スタンフォード大学教授

私の場合、米マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校ほか英、仏の有力大学教授、十数人と比べて私の実績がどうだったかという判断が毎年下だされる。

世界に優秀な学生が集ってくることが米国の大学の強みだが、日本も海外からの学生を集めたければ、教員を世界から公募すべきだ。

大学で学んだことが世界で使えるようになるには、英語で学ぶのが早道。旧制高校では海外の原書を使って学んでいたわけだから。100年前にできたことができないはずがない。できないのではなく、やりたくないということだろう。

日経ビジネス 世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか                      
pp.54-55                    


経営者編 教授も学生も「起業家精神」持て

最後に、2人の経営者に日本と外国の大学の違いについて、語ってもらいましょう。

北城 恪太郎・日本IBM相談役

社会人の基礎力の育成に、大学があまり役に立っていない。

一番重要なのは経営意識をしっかり持つことだ。

トップ自らがビジョンを描き、改革案を持って教授会など全体を牽引する存在であるべきである。


岩瀬 大輔・ライフネット生命保険社長兼COO(最高執行責任者)

米国の大学教育では、企業や社会変革に挑戦することが素晴らしいという意識が醸成される。

また、「自分が社会でどのような役割を果たすべきか」といったキャリア論についても考えさせてくれる。

経営者として大学に求めたいのは、学生にもっときちんと勉強させると言う点だ。

人生のある時期にしっかりと「知」に向きあう経験は大事。

日経ビジネス 世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか                      
                   pp.56-57
                    


いかがでしたでしょうか?

学生や教授、経営者にも共通する点は、皆、高いモチベーションを持ち続け、向上心が旺盛だということです。

形は違っても、私も登場した人たちの考え方を手本にしたいものだ、と強く思いました。




🔷 編集後記


さて、この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことです。
私のブログは8年前のものです。

今日に至るまで大きな変遷があったことでしょう。
国民の比較で重要な点は教育がどの程度行われているかです。

日本人は識字率が高く、国内外で、国民全体のレベルが高いという評価が、長い間されてきました。

ところが、この記事(世界のトップ大学 「東大」は生き残れるか  2013.10.14)を読むと、世界の国々から大きく後退しているのではないかと危惧します。

教育だけでなく、企業や国力までも米国や中国、インドなどの後塵を拝しているところがあります。

大学教育だけでなく、社会人教育におけるリカレント教育(下記ウェブサイトをご参照下さい)の重要性が日増しに高まっていると考えています。

リカレント教育とは?注目される背景と社会人の学び直し例、支援制度




この特集記事に登場した竹内 弘高教授(当時は一橋大学商学部教授)に確か日経ビジネス主催のセミナーに参加した際に、お会いし名刺を頂いたことがあります。何年も前のことです。

日本女性で初めてハーバード大学大学院でMBA(経営学修士)ではなく、DBA(経営学博士)を取得した石倉洋子氏と竹内弘高氏の共著 『異質のマネジメント』(ダイヤモンド社)を読んでいたので、セミナー会場に持参しました。

尚、お二人はマッキンゼーとの関わりで、大前研一氏とビジネスをした経験があります。

住所・電話番号が印刷されているためトリミングしました。







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