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『ザ・プロフェッショナル』(24)

『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行

<目次>

はじめに 予言は自己実現する

第1章「プロフェッショナリズム」の定義

第2章 先見する力

第3章 構想する力

第4章 議論する力

第5章 矛盾に適応する力


第3章 構想する力

ライフサイクルはますます短くなっています。

長年ロングセラーで親しまれてきた製品が、
他社製品にまたたくまに淘汰される例は
多くあります。

あるいは、改良ではなく革新的な製品が出現
した場合も同様です。


かつて、フィルム業界に君臨していたコダックは
姿を消しました。デジタルカメラが出現し、
あっという間に主流となったのですが、
コダックはその流れに乗ることができなかった
のです。

経営資源を銀塩フィルムに特化していたために、
デジタル化の流れに対応できず、先行投資を
怠っていたのです。

ポラロイドも全く同じです。
「撮ったその場で写真が見られる」というメリット
があったのですが、スマホで撮影した画像が
すぐにネット上に投稿でき、共有できるという利点
に負けたのです。


富士フイルムは、超微粒子技術を活用し、
一見関係ないように見える化粧品業界へ進出し、
既存の化粧品メーカーとは異なる分野で、
確たる地位を築きました。

ポラロイドに似た、富士フイルムの『チェキ』という
インスタントカメラが、アジアで大人気になっている
そうです。

富士フィルムもポラロイドの二の舞を演じるので
しょうか? いえ、演じません。

富士フィルムは、カメラとフィルムの両方を生産して
います。フィルムに適したカメラを製造できるのは
富士フィルムしか存在しません。一人勝ちなのです。

コダックやポラロイドのような「成功の復讐」や
「茹でガエル」の例は、現状に胡座(あぐら)をかいて
きたためにしっぺ返しを喰らう、という教訓です。



先例があるから「成功するはず」という発想は厳に禁物です。特に十分条件となる代価を回収する仕組み、すなわち決済には、とりわけ周到な設計が必要です

先例があるから「成功するはず」という発想は厳に禁物です。特に十分条件となる代価を回収する仕組み、すなわち決済には、とりわけ周到な設計が必要です

ネット店舗は簡単に開設できますが、アメリカの統計によれば、最初の1ドルを徴収するのに平均84ドルかかります。

つまり、ネットは路面店よりも初期コストが高くつくのです。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 1 〈646〉            



産業発展の歴史は企業淘汰の歴史であり、ことITネットワーク革命以降、事業環境の不確実性はいっきに高まりました

技術革新は、大なり小なり淘汰を伴います。

新しい技術が既存の技術に取って代わる時、このうねりに乗り損ねた企業は姿を消していきます。

産業発展の歴史は企業淘汰の歴史であり、ことITネットワーク革命以降、事業環境の不確実性はいっきに高まりました

そのあおりを受けて、大規模な企業破綻が、時には連鎖して世界各地で起こるようになったのです。

 『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 2 〈647〉             
                        
           

  

戦略の変更や、先見を構想に変えるプロセスに時間がかかるような組織は、いかに数々の艱難辛苦を乗り越えてきた大企業といえども生き残れません

戦略の変更や、先見を構想に変えるプロセスに時間がかかるような組織は、いかに数々の艱難辛苦を乗り越えてきた大企業といえども生き残れません

伝統的なフィルムやカメラ会社では、毎年20パーセント程度のリストラを敢行したとしても復調は望むべくもありません。

かと言ってこれ以上のペースでのリストラも、それに見合うだけの新事業の速成も難しいと思われます。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 3 〈648〉            



地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録





大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18

       
以上までの記事は、2015年2月9日 に投稿した内容です。
加筆修正した個所があります。


➳ 編集後記

『ザ・プロフェッショナル』という本について

『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。

一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。

そのあたりにも着目してご覧ください。

🔴「先例があるから『成功するはず』という発想は厳に禁物です」

成功した先例があっても、成功するはずと考えるのは早計です。

同じ手法がいつでも通用すると考えること自体がすでに終わっています。
その先例を紹介した書籍を読んでその通りに実行しても、まず成功しません。

なぜでしょうか?

実は、肝心要の部分を省いていたり、たまたま運が良くて成功したということがあります。

つまり、深掘りし、本質を捉えたものではないからです。
あるいは、著者は自ら実践したもとではなく、聞いたこと(伝聞)を元に書いたかもしれません。

あるいは成功した時代と現代では社会や環境が大きく変わっているかもしれません。

一次情報ではなく、二次情報、三次情報かもしれません。二次情報や三次情報では確度は低いと言わざるを得ません。


「成功の復讐」をよく理解する必要があります。

成功の復讐とは、企業の優れた成功体験が、結果として次の成功を阻むこと。

成功の復讐とは、経営のパラドックスである。過去の否定、不連続な改革はきわめて難しい。優秀な経営者が長く経営を続け、その路線に乗った経営者しか出なくなると、過去を否定した方針転換ができなくなる。

戦略に寿命があるのと同様に、成功パターンにも寿命がある。踏襲すべきものと捨て去るものを峻別し、社内に徹底することが必要である。

       MBA用語集   グロービス経営大学院                              





大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。



✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対する警鐘を鳴らしています。

プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。

世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。

道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェッショナルです。

『ザ・プロフェッショナル』                         

大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。

次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。

下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』

本書は2005年3月に米国で出版された The Next Global Stage ----- Challenges and Opportunities in Our Borderless World (Wharton School Publishingより刊行) の日本語への翻訳である。発売以来ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、中国、韓国、トルコ、アラビア、インドネシア、オランダなど世界の主要言語に訳されており、日本語版が最後となった。

大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ  吉良直人[訳]         
日本版へのまえがき p.v    

という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。

大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。

奥付を見ますと、次のようになっています。

2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。




世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。

英国エコノミスト誌現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、 ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年のグールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。
2005年の<Thinkers50>でも、アジア人として唯一、 トップに名を連ねている。

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私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グールー(思想的指導者)と仰いでいるのです



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。




🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にFC2ブログで書きました(2015-02-09 19:07)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事に加筆修正を施し、再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。



⭐ 今までご紹介してきた書籍です。

















⭐ 私のマガジン (2022.10.27現在)























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