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『「リーダーの条件」が変わった』(5)

『「リーダーの条件」が変わった』(5)

「危機の時代」を乗り越える新しい統率力
小学館101新書 2011年9月25日 初版第1刷発行

<目次>
はじめに 能力なきリーダーしかいない日本の不幸

第1章(現状認識)
 東日本大震災でわかった「危機に克つリーダー」の条件
  [スピード]
  1週間でできない「緊急対策」は、1年かけてもできない
  [危機管理力]
  組織のイメージを最小限にする工夫と判断が必要だ
  [行動力と交渉力]
  次世代の国家リーダーに求められる「3つの条件」

第2章(対策)
 組織を元気にするリーダーシップの育て方
  [ビジョナリー・リーダー]
  世界で勝つ企業は人材育成に毎年1000億円かけている

  [中間管理職“再生術”]
  組織を動かすには「“揺らぎ”のシステム」を使いこなせ
  [新・人材教育カリキュラム]
  リーダーシップは“天与”のものではない

第3章(比較研究)
 日本が学ぶべき世界のリーダーシップ
  [イギリス・キャメロン首相①]
  弱冠43歳にしてトップに立ったリーダーはどこが凄いのか?
  [イギリス・キャメロン首相②]
  「グレート・ソサエティ」構想で活かすべき「民の力」
  [ロシア・メドベージェフ大統領]
  「結果を出す指導者」の驚くべき決断力と行動力
  [日本vs中国リーダー比較]
  国民の差ではなくリーダーの差が国家の関係を規定する

第4章(提言)
 私が「リーダー」だったら日本の諸課題をこう乗り越える
  【震災復興】
  「緊急度の掌握」ができなければ非常時のリーダー失格だ
  【電力インフラの再構築】
  原発と送電網は国有化、電力会社は分割して市場開放せよ
  【食料価格の高騰】
  世界の農地に日本の農業技術・ノウハウを売り込め
  【水資源争奪戦】
  水道事業を民営化して「水メジャー」並の競争力をつけよ
  【エコカー開発競争】
  劇的な低価格を実現し、世界市場で優位に立つ「新EV革命」
  【財政危機】
  所得税・法人税ゼロの「日本タックスヘイブン化」で経済は蘇る

おわりに 「強いリーダー」は強い反対意見の中から生まれる


[ビジョナリー・リーダー]
世界で勝つ企業は人材育成に毎年1000億円かけている


リーダー不在の背景には、議員連盟という弊害もある
私はこれまで何度も議員連盟が主催する「勉強会」なるものに講師として呼ばれているが、勉強すべき議員のセンセイたちはいつも“受け身”だ

リーダー不在の背景には、議員連盟という弊害もある。私はこれまで何度も議員連盟が主催する「勉強会」なるものに講師として呼ばれているが、勉強すべき議員のセンセイたちはいつも“受け身”だ

遅刻してきて、メモも取らず適当に話を聞き、終了間際に席をたって、次の勉強会に行くのである。

こういうことを一日中繰り返す国会議員の勉強会は、カフェテリアでつまみ食いをしているようなものだ。  

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一の名言 1 〈528〉            


今の日本企業の中に「リーダーシップ教育」はない
あるのは「職能教育」だけだ

将来のトップを育てるというコンセプトを持っていないのは政界だけではない。

経済界も同様である。

今の日本企業の中に「リーダーシップ教育」はない。あるのは「職能教育」だけだ。

たとえば、企業に入社すると、社内文書の書き方から始まり、入社1年目、2年目の教育メニューが決まっている。

営業の部署に配属されれば、「相手と話す時は顔より少し下のネクタイの結び目辺りを見るとよい」と、ロボットでも作っているかのような画一的な営業教育が待っている。

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一の名言 2 〈529〉           

      

アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)では「我々の将来はGEのリーダーが何人育つかにかかっている」という考えに基づき、リーダーを創る教育を徹底している

アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)では「我々の将来はGEのリーダーが何人育つかにかかっている」という考えに基づき、リーダーを創る教育を徹底している

この人材育成のためだけにGEは毎年1000億円をかけている。

売上高10兆円余の1%に相当する金額だ。

そういう時間と労力とコストを費やして、次代を担うリーダーを育てているのである。

韓国のサムスングループも毎年、売上高10兆円余の1%近くに当たる1000億円を人材育成のために費やしている。

若い社員を毎年数百人、アジアや中東、ブラジルなどに送り込み、現地で人脈づくりや語学力の向上、歴史・文化の勉強などに励ませるのだ。

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一の名言 3 〈530〉           


GEは、御存知の通り発明王エジソンが作った会社です。

GEがすごい会社であることは、100数十年の歴史を持つダウ工業株30種平均の銘柄から一度も外されたことがないことからも分かります。

新しい会社が出ては消えるという栄枯盛衰が常である中で、GEはどのような時代であっても輝き続けているのです。

名経営者として名高い、前GE会長ジャック・ウェルチ氏は、世界でシェア1位か2位になれる事業しか行わない、という方針を貫き通しました。 

GEの現在のCEOはジェフ・イメルト氏ですが、ジャック・ウェルチ氏が数百人の候補者の中から選び抜いた、優れた経営者です。
 
韓国のサムスングループを率いるのは、イ・ゴンヒ氏です。イ・ゴンヒ氏は日本で生活し、日本に学んだことを著書の中で述べています。

サムスングループは日本に学び、日本の製造業を凌駕するようになりました。

サムスングループの中核企業であるサムスン電子は、投資額は、日本企業と比べ、一桁多いと言われています。

日本企業が数百億円の投資なら、その10倍以上の数千億円相当の投資を行なっているので、日本企業が太刀打ちできるはずがありません。
 
GEもサムスングループもリーダー育成のために1000億円という大金を費やしていることを見ると、R&D(研究開発費)に投資しているだけではなく、次世代のための先行投資を行なっていることが分かります。

パナソニックやソニー、シャープなどのかつて日本を代表する世界的な企業が凋落してしまったことに、日本人として、とても悲しく思います。

昔の輝きをもう一度取り戻してもらいたい、と切望するのは私だけではないでしょう。

日本企業はもうダメになってしまったのでしょうか?


以上までの記事は、2013年5月18日に投稿した内容です。


過去2年間で変わったことは、サムスングループの勢いが衰えたことです。サムスングループの中核企業であるサムスン電子の主力製品、ギャラクシーシリーズが奮いません。

アップルのiPhone6 に大きく水を開けられています。
最新機種ギャラクシーS6は、地元韓国でも不人気で、販売店には閑古鳥が鳴いている、という報道がなされました。

ギャラクシーシリーズの販売が目標を下回っているため、部品を供給している日本企業も苦戦を強いられています。

一方、ソニーはアップルの軍門に下り、アップルの下請けに成り下がっていると伝えられました。

日本企業はどうしてしまったのでしょうか?

もう一度書きます。


昔の輝きをもう一度取り戻してもらいたい、と切望するの
は私だけではないでしょう。

日本企業はもうダメになってしまったのでしょうか?



➳ 編集後記

『「リーダーの条件」が変わった』という本について

『「リーダーの条件」が変わった』 は「優秀な部下たちをマネージし、彼らの意見を聞いた上で、総合的に判断して結論を下す」ことができる人物がリーダーであるという基本的な考えの上に立ってリーダー論を展開している本です。


⭐ 現時点(2022年9月18日)で上記投稿を振り返ってみますと、年月が経つのは速いと実感します。

GEは業績が悪化し、遂に2018年6月にダウ工業株30種平均の銘柄から外されました。
一つの時代が終ったという象徴的な出来事だったといえます。

ダウ工業株30種平均とは

銘柄入れ替えは不定期に行われるそうです。

ダウ工業株30種平均ほど一般には知られていませんが、世界の投資家たちが着目している指数にMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数があります。

MSCI指数とは? 世界の投資家が注目する指数の特徴など分かりやすく解説! 最終更新 2022/2/24 16:00


このウェブサイトには、次のような解説が書かれています。

MSCI指数は世界の多くの投資家や投資信託などの運用の基準として採用されています。MSCIによれば、MSCI指数をベンチマークとして運用する資産総額は16兆3000億ドル(約1870兆円、2021年6月末時点)に上り、上場投資信託(ETF)については1300本以上(20年3月末時点)がMSCI指数をベンチマークにしています

運用資産総額が莫大ですね!

MSCI指数の構成銘柄の入れ替えは定期的に行われ、最近では日本株の銘柄が除外される機会が増えています。残念なことです。



私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にAmebaブログで書きました(2015-07-19 21:41:53)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。

















⭐ 私のマガジン (2022.09.18現在)























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