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『ザ・プロフェッショナル』(12)

『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行

<目次>

はじめに 予言は自己実現する

第1章「プロフェッショナリズム」の定義

第2章 先見する力

第3章 構想する力

第4章 議論する力

第5章 矛盾に適応する力


第1章「プロフェッショナリズム」の定義
第2章 先見する力

大前氏は、ポラロイドの失敗について下記のように述べています。

「成功の『型紙』をやみくもに信じてしまったことです」

コダックにも同じことが言えます。

銀塩フィルムの業界で、世界一でした。
デジタルカメラが主流になる前までは、世界のフィルム市場は、コダック、富士フィルム、アグファ、コニカの4社が占有していました。

ところが、デジタルカメラが世の中には出ても、コダックは自社の成功体験に過信していました。

そのため、デジタルカメラのその後の普及を見誤り、完全に出遅れました。

世界第2位だった富士フィルムは、銀塩フィルムだけに頼る危険性に素早く気づき、フィルムの製造で培った技術(粒子形成技術等)を活かし、ヘルスケア分野などの柱を育ててきました。

アグファやコニカはフィルム事業から撤退しました。
コニカはミノルタと合併し、コニカミノルタとなり、カメラ事業をソニーへ売却し、ドキュメント分野に特化しています。

ポラロイドやコダックの例は、「成功の復讐」という言葉で説明できます。

「成功の復讐」というのは、成功体験にあぐらをかき、同じ手法や戦略をとり続けたために、しっぺ返しを食らうということです。

「成功の復讐」は企業だけでなく、組織や個人においても当てはまることです。常に意識しておかなければならない概念です。

「成功の復讐」という言葉を知ったのは、まさにそのタイトルの本に出会ったからです。

なぜこの価格なのか分かりません。めったに手に入らない稀少本ということなのでしょう。


プロフェッショナルは、どんなに大きく前提条件が変わってもその底流にある変化の本質を読み取り、だれよりも能力を発揮します
また組織の長としては、当該組織を誤りなき方向に導き、発展させます

スペシャリストは与えられた環境に適応して、その場その場において定められたやり方ではだれよりも正しく、早く、上手に仕事をこなせます。

ゼネラリストはどんな職能についても業務執行能力では抜群です。スーパー・ゼネラリストは地位が上がっても地域が変わっても、ゼネラリストとしての能力に変わりがありません。

一方、プロフェッショナルは、どんなに大きく前提条件が変わってもその底流にある変化の本質を読み取り、だれよりも能力を発揮します。

また組織の長としては、当該組織を誤りなき方向に導き、発展させます。
  

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 1 〈610〉            


21世紀社会には、勝者と敗者がいままでよりもはっきりすることは、すでに既定の事実なのです

21世紀社会には逃げこむ押し入れはありません。

21世紀社会には、勝者と敗者がいままでよりもはっきりすることは、すでに既定の事実なのです

 『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 2 〈611〉             
                        
           

  

ポラロイドの失敗の本質
垂直統合にこだわった経営陣、短い商品サイクルに不慣れな技術者、経済空間の変容を認識できなかったマーケターなど、過去の成功体験が通用しないことに気づかなかったことが、この悲劇生みました

ポラロイドの失敗の本質とは何だったのでしょうか。

それは、成功の「型紙」をやみくもに信じてしまったことです。

垂直統合にこだわった経営陣、短い商品サイクルに不慣れな技術者、経済空間の変容を認識できなかったマーケターなど、過去の成功体験が通用しないことに気づかなかったことが、この悲劇生みました

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 3 〈612〉            



地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録





大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18

       
以上までの記事は、2014年7月2日 に投稿した内容です。
加筆修正した個所があります。



➳ 編集後記

『ザ・プロフェッショナル』という本について

『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。

一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。

そのあたりにも着目してご覧ください。

🔴「21世紀社会には、勝者と敗者がいままでよりもはっきりすることは、すでに既定の事実なのです」

世界を見渡すと、一握りの勝者(勝ち組)と圧倒的多数の敗者(負け組)に二分されます。運の違いと一言で片付けられることではありません。

ただ、一つだけはっきりしていることがあります。それは勝者(勝ち組)は敗者(負け組)とは大きく異なる発想でリスクを負って行動し、結果を出してきたということです。何倍もの努力をしています。必ずしも天才だからできたわけではありません。

🔴「ポラロイドの失敗の本質
垂直統合にこだわった経営陣、短い商品サイクルに不慣れな技術者、経済空間の変容を認識できなかったマーケターなど、過去の成功体験が通用しないことに気づかなかったこと」

「成功の復讐」によって、成功体験にあぐらをかき、同じ手法や戦略をとり続けたために、しっぺ返しを食らったのです。

個人レベルでも、私たちは「成功の復讐」を肝に銘じておくべきです。


大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。



✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対する警鐘を鳴らしています。

プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。

世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。

道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェッショナルです。

『ザ・プロフェッショナル』                         

大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。

次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。

下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』

本書は2005年3月に米国で出版された The Next Global Stage ----- Challenges and Opportunities in Our Borderless World (Wharton School Publishingより刊行) の日本語への翻訳である。発売以来ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、中国、韓国、トルコ、アラビア、インドネシア、オランダなど世界の主要言語に訳されており、日本語版が最後となった。

大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ  吉良直人[訳]         
日本版へのまえがき p.v    

という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。

大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。

奥付を見ますと、次のようになっています。

2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。




世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。

英国エコノミスト誌現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、 ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年のグールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。
2005年の<Thinkers50>でも、アジア人として唯一、 トップに名を連ねている。

大前研一 ニュースの視点Blog  大前研一について               


              



私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グールー(思想的指導者)と仰いでいるのです



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にFC2ブログで書きました(2014-07-02 20:41)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事に加筆修正を施し、再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。



⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。

















⭐ 私のマガジン (2022.10.13現在)



























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