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■第15回 外国人雇用は言うより難し、どう向き合うべきか

1 全ての組織にとって外国人雇用は人ごとではない

 外国人労働者の受け入れを拡大する法案(出入国管理法改正案)が成立しました。目的は言うまでもなく、国内の労働力不足対策です。

 政府は「14業種で初年度に最大4万8000人、5年間で35万人、5年後には145万人が不足する」との試算を発表。現行の高度専門または技術分野の「高度人材」に加えて、労働力不足が目立つ分野において単純労働ではない一定の専門性や技能を有する「中度人材」についても、企業側が受け入れられるように在留資格を広げようというのです。

 すでに国内の労働力不足は業界によっては成長の足を引っ張るレベルどころか、人員が確保できずに現状のニーズにさえ応えられない状態のようです。

 人手不足に関する調査(2018年)によれば、ほぼ半数の企業が正社員不足を訴え、過去最高の数値となっています。中でも「情報サービス」では約7割、非正社員は3社に1社が不足していると感じており、「飲食店」では8割を超えました。正社員、非正社員とも年々不足傾向が強まっています。

 私はこのコラムシリーズで、「AIやロボットの急速な導入で多くの仕事がなくなるといわれている中、労働力不足の日本はもしかしたらちょうどよいくらいの働き手の数になるのかもしれない」と書きました。いずれはそうなるのかもしれないとしても、残念ながら仕事不足に陥るタイミングは、日本の労働市場における労働力不足のスピードに追い付けそうにありません。

 労働力不足がまだそこまで深刻な状況に陥っていない業界のみなさんは、「新卒採用は厳しくなるばかりだけれど、生産性を上げて乗り切るしかない」と考えていらっしゃるかもしれません。しかし労働力不足の逼迫度にかかわらず、止まらないグローバル化という潮流の中で、外国人雇用は全ての組織にとって人ごとではありません。

 ということで、今回の武田斉紀の『組織や仕事のあるある問題、こうして解決』では、外国人雇用を取り上げてみたいと思います。

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