映画やドラマの行く先。ヒロインになれるVR時代?
ストーリーを紡ぐための手段は小説だけじゃない。むしろ小説は表現方法が限られる中、より没入感があるのはドラマに映画、アニメといった動画、人によっては舞台も入るだろうか。しかしすでにVR全盛期となる時代も間近だ。
テーマパークや映画館でも導入され、ゲームをきっかけに家庭にも入ってきている。VR未経験&最先端には疎い私だが、小説のことを考えていたらちょっと妄想が飛躍、ついでに膨らんだので書き留めることにした。
物書き視点の近未来予測です。
「VRテレビ」になったら?
今のVRはまだ特定の場所やコンテンツに限られるが、そう遠くない未来、より一般的になるだろう。そしていつかはテレビにも導入されるとしよう。
バラエティでは憧れのタレントの横に座り、ニュースやドキュメンタリーで現地に立つこともできる。そしてドラマや映画では、登場人物のそばで見られるようになる。
現時点のVRは、見ている向きを変えることはできても自分の意思で動くことはできない。しかしそのうち、VR内で移動もできるようになる。と思ったら、今年、VR内で歩けるデバイスも発売されたらしい。その価格なんと21万円。たかっ。でも段々と安くなり、誰でも手に入るようになる。
ショックだけど納得の見解
ドラマに参加できるようになったとして、傍観者から始まったのが、役柄も選択できるようになる。ヒロインになれるかもしれない。その際の臨場感を高めるためには、視覚と聴覚以外の触覚、嗅覚、味覚も必要だ。この中で一番後回しは味覚、最も重要なのは触覚だろうか。例えば恋愛ドラマで抱きしめられるシーンがあったとき、無感覚だったら一気に目が覚めるに違いない。
でも、ここまでくると実生活にも影響が出そうだ。
抱きしめられるだけでも相当だが、憧れの俳優とキスなんてした日にはもう、「リアルな彼氏彼女なんていらない」という人も多数出現。それ以上の話はひかえるが、10年以上前、頭が良いのと同じくらいドエロな男友達と3D技術の未来について雑談していたところ、「そんな技術できたら、まずはAV業界だよね」と言われて愕然とした。まあでも「想像したくないけど、そうかも……」とも思った。末恐ろしい世の中よ。
嗅覚については、ずいぶん前、映像に映し出された食べ物の匂いを再現できる、スピーカーのような装置をニュースで見た記憶がある。その後どうなったか知らないが、今はもっと進化しているだろう。
環境整備はどうなる?
視聴環境も整備しなければならない。ということは次世代の住宅には、触覚や嗅覚、味覚をつくる部屋もできるのだろうか。
かつては高級品だったテレビが、現代の少なくとも国内においてはほぼ100%になったのだ。であれば、VRもいずれは希望者が手軽に楽しめるものでなければならず、大掛かりや設備や装置が必須となるのは考えにくい。ならば、家庭に普及するのは視覚と聴覚のみ、あとは映画館とか特別な場所になるのだろうか。それとも今年発売された大型マシンの進化版がテンプレートになるのだろうか。
あるいは、もっと違う方法で五感を刺激する方法があるかもしれない。脳はCPUで五感がセンサだとすると直接的な電気信号という手段も考えられる。
同日追記。こんなニュースがあったらしい。すごいっていうか……
全視野×3D=最強の没入感
10年以上前、「これからは3Dだ」という映像関係の技術者と話す機会があった(前述の男友達と3Dの話をするきっかけとなった人。さすがに例の話は言えなかった)。そこで見せてもらったものは、当時としては最新の技術。しかしちょうど同じ頃、プラネタリウムで見た2Dの短編映画の方がよほど没入感があった。
天井すべてがスクリーンとなるプラネタリウムでは、視覚いっぱいに映像が広がるからだ。体は動かせないし、ちょっと横を向くとスクリーンから視界が外れるため完ぺきとはいえない。だとしても、タネも仕掛けもない10年以上前の普通のプラネタリウムの話だ。「全視野が映像になると、こうも臨場感が増すのか」というのは結構な発見だった。いまやVRで全視野はもちろん、同時に3D技術も進歩しているのだから、五感のうち視覚だけでも没入感は相当なものだろう。
新たに増える仕事
VRで視聴者が物語の世界に参加可能となった時、2次元で楽しめたものを同じ次元で楽しめるだろうか? という疑問が沸いた。派手なアトラクションがある映画は楽しいかもしれないが、動きの少ないヒューマンドラマは、心の機微を感じ取る方がプライオリティが高い。とすると、むしろ2次元のテレビ画面の方が楽しめる気がする。恋愛ドラマについても、自分がヒロインでない限り、ウジウジしている主人公など間近で見ていたら、ひとこと言ってやりたくなりそうだ。また別次元の話にはなるが、ホラーとかサスペンスは、あまりに臨場感があると命に関わる。
どちらにしろVR向けのドラマや番組というのは、今の2次元のテレビとは別の要素が加わるため、現時点で存在しない(or ごく少数の)仕事が誕生する。
VRで主人公になれる専用のドラマがどんなものになるのかというと、そこはテレビドラマの現場ではないな、と今さら気づいた。そこはゲーム業界が担う。念のため調べてみると案の定、2019年発売のVR恋愛シュミレーションゲームがあった。であれば、人気俳優とかは使われず、ゲーム専属の俳優が活躍するようになるかもしれない。前述の彼が言う、大人向けのもどんどんできるだろう。
自分が主人公になるのはゲームで、傍観者として見るだけのものはドラマ、とどこかで線引きされる。もしかしたら、俳優人気についても、遠くで見ているだけの人よりゲームの方が上になる可能性もある。いま、ヘタなタレントよりYouTuberが人気であるように。
——以上。別視点の考察もあるけど疲れてきた。まあ私が妄想するまでもなく、ある程度の展開は決まっているだろう。そのうち答え合わせしよ。
色々いったけど個人的にはあんまり
ここまで読んでくれた方へ。とっちらかった妄想トリップに付き合ってくれて、ありがとうございます。
あくまで「こういう未来もあるかもしれない」という可能性の1つの話でした。ここまで妄想しておいてアレですが、上に書いたような世界が普通になるのはなんとなく嫌です。
そもそも最初は、「ストーリーを紡ぐ手段としての小説の良さ」みたいなのを考えていたのに、違う方向にどんどん膨らんでしまいました。電子書籍が出てきたとき「紙の本はなくなる」という説もありましたが、私は当時から今も変わらず紙派。VRにAIと略語の英語が並び、変化のスピードも増してます。ストーリーテラーの位置付けも変わっていくしょうが、全ての源は「言葉」であり「文章」、もっというと「ひらめき」から生まれるもの。小説もまた、姿かたちを変えながら残っていくものと思っています。
やっぱ最後に帰ってくるのは文字の世界でしょ! ということで小説の魅力はまた別の機会に。いつも読んでくれてありがとうございます!
言葉についての考察はこちらでも書いています。
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