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【変化・成長は非線形】ずっと低空飛行のち、ギュンと急上昇

とても広い池をイメージしてください。その池は蓮の花で覆い尽くされています。この蓮の花は一日で倍の量に増えます。最初は池に蓮の花が一つあっただけ、それがどんどん増えていき池を覆い尽くしました。

池全体を覆いつくすまでにかかった期間は一ヶ月(30日)です。では、蓮の花が「池の半分」を占めるに至ったのは果たして何日目でしょうか?





答えは、29日目なんですよね。

15日目だと思った方、引っかかりましたね。まぁ、この問いかけ方にすると29日目だと気づく方も多かったとは思います。

一日で倍の数になるのであれば、一日前は半分の数であったと言えます。30日目で100%なら29日目は50%、28日目は25%です。なんと、全体の1%を超えるのは24日目です。


01.線形な変化・成長を期待するが、実際は曲線的に急上昇することも多い


と、シンプルな数字で見てみると気付きやすいモノなのですが、僕たちはついつい変化や成長を「直線的なもの」として捉えてしまいがちです。

この図で現される青色の直線が僕たちのイメージする変化や成長ですね。でも実際は変化や成長は赤色の直線のような挙動を示すことが多々あります。

この考え方はシステム思考の関連本で知ったモノです。自分たちのイメージする変化と、実際の変化は実は大きく挙動が違う。それを正しく知ろうとすることが大事だよーってコトが書かれていました。

ですが、僕は単純に「挙動の違いを知る」こと以上に大切な要素があるなと思い、こんな図を作りました。

それが「期待感とのギャップ推移」です。


02.期待感とのギャップは、どんどん増していく


「青色の直線」が変化のステップだとイメージしていると、そのまま自分たちの「期待感」につながっていきます。しかし、実際には「赤色の直線」のステップを辿ります。ということは、「期待」と「現実」のギャップはどんどん大きくなっていくのです。

もう一度、最初の問いかけを整理してみましょう。さらに、前提条件だけではなく「蓮で池を満たさなければならない」というミッションを課したとしましょう。ミッションが課されると、そのプロセスに対する「期待感」も浮かび上がってきます。

【前提】
▶︎1日に倍の量になる蓮の花
▶︎1ヶ月で池いっぱいの量になる
【ミッション】
▶︎蓮の花で池を満たさなければならない
【期待感】
▶︎蓮の花は線形に増えていく(非線形な挙動には気づいていない)

線形な成長を期待していると、期待感とギャップはどんどん増していきます。ギャップとは「イメージ(期待)する変化の数値」から「実際の変化」を引いた数値ですね。このギャップ値はどんどん高まっていくのです。

15日目では50%に至っていると期待しますが、実際の数値は003%です。さらにギャップは高まり続け、この図で言えば26日目にギャップは最大になります。

期待に対してまったく着いてこない現実、高まるギャップ、これはもう心をバッキバキに折る要素満載ですよね。だから途中でやめちゃうんです。「途中でやめる」は途中でやめることを促すメカニズムがあるのです。

青色の線と赤色の線との差がギャップ(緑色)



03.ギャップが最大化するタイミングは、変化の始まる直前


「ギャップの最大化するタイミング」がようやく「実際の変化」に兆しが見え始めるタイミングでもあります。24日目に全体の1.56%、25日目には3.12%、26日目で6.25%、27日目には12.5%です。

26日目はようやく「変化の兆し」が見え始める前後ですね。しかしこのタイミングは「期待とのギャップ」が最大になっているタイミングなので、小さな変化に目が向きにくくもなっているでしょう。

「いまさらこんな変化が起こったから何なんだ」と思ってしまうかもしれません。その後に大きなジャンプがあるタイミングだからこそ、ギャップの大きさも同時に最大になっている。

改めて数値で表現してみましょう。シンプルな考え方ですよ。

【○日目】(期待する数値)ー(実際の数値)=(ギャップ)
【 5日目】 16.7%ーほぼ0%=16.7%
【10日目】 33.3%ーほぼ0%=33.3%
【15日目】 50.0%ーほぼ0%=50.0%
【20日目】 66.7%ー0.1%=66.6%
【25日目】 83.3%ー3.1%=80.2%
【26日目】 86.7%ー6.3%=80.4% ★ギャップ最大値
【27日目】 90.0%ー12.5%=77.5%
【28日目】 93.3%ー25.0%=68.3%
【29日目】 96.7%ー50.0%=46.7%
【30日目】 100%ー100%=0%

ご覧のとおり、26日目までギャップは高まり続けます。しかし、実際の数値の変化に「気づくことができる」のは25日のちょっと前ぐらい。ただ、変化が始まってからも少しの間はギャップは広がっていくのです。この時間差もポイント。最初の変化の速度はまだ緩やかで、期待する速度には追いつかない。つまりギャップは広がっていく。

つまり、「変化・成長を認識でき始めるタイミング」と「ギャップが最大化して心折れるリスクが最大化するタイミング」は、ほぼ同じ。僕たちは何かを継続し・実践しようとするプロセスの中に身を置いていることが多いわけで、多くの場面で同じことが言えるのかもしれません。

実は僕たちは、この現象を体感的に理解しています。夜明け前の寒さは日が昇る直前が最も厳しいですよね。この感覚はまさに図にしたグラフで起こっていることです。

期待感とのギャップが高まっていく様は気温が夜明け前に向けて下がり続ける状況と似ています。そして、夜明け前が最も厳しい寒さになる。だからそこで諦めそうになるけど、実はその先に夜明けがある。


04.認知を変えて状況を捉える


では、僕たちは「線形な変化への期待」と「実際に起こる非線形な変化」へ、どう向き合っていくのか。

たぶん、2つの考え方があるでしょう。

▶︎明けない夜はないと信じる。
▶︎変化・成長を非線形だと捉える。

ちょっと精神論っぽくなってしまいましたが、構図にしても「心が折れる」のはメカニズムがあるのだと分かります。だとすると、一番自分が折れそうになっている状態だからこそ夜明けが近いとも考えられないでしょうか。

一方で、これはそもそも変化・成長を「線的なもの」と捉えている思考だとも思います。であれば、その認識をそもそも変えることにもトライする。「非線形な変化」が存在することをイメージする。そんなアプローチも考えられますよね。

きっと、自分自身のこれまでの人生にも「非線形な変化」はどこかで起こったはず。そんな自分の経験を思い返してみることも、継続のチカラにつながる根拠になると思います。

もちろんこの例は「一ヶ月で池いっぱいになる蓮の花&蓮の花は一日で倍に増える」を前提に表現したモノです。実際にはその曲線度合い、変化の速度なども様々でしょう。しかし、自分の期待と現実に起きることの「推移」に目を向けると、今までとはちょっと異なる「心の持ち様」も見出せないでしょうか。

個人的には、低空飛行を続けているうちは「結果」に目を向けても仕方ないのかなとも思います。それよりも日々の「行為」に目を向けることを自分は大切にしていきたい。

ある意味、自分自身を勇気づけるつもりでも書いています。笑

でも、この考え方は「実現したい未来を目指しているのに、まったく近付いている感覚を持てない絶望」の渦中にある人にとって、何かのヒントになるんじゃないかと思うんですよね。東大受験マンガで有名になったドラゴン桜でも同じような話題が出てきていたと記憶しています。

あくまで一つの捉え方です。ですが、「折れない」を根性論ではなくメカニズムで知ると、今の状況が違って見えませんかね?、そんな思考アプローチでした。


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