調整局面でも賃料が伸びているエリア

コロナの影響で2020年夏以降から都内の賃貸市場は弱含みです。

オーナーさんと話をしていても、賃貸の決まりが悪いという話題が増えました。

しかし全てのエリアが悪いわけではなく、一部賃貸市場が改善されているエリアもあります。

賃貸が強いエリアと弱いエリア、そしてその要因を解説していきたいと思います。

都内のエリア別の賃料相場です。

これはスーモサイトより引用 → https://suumo.jp/chintai/soba/tokyo/

アパート
マンション

青が賃貸市場が弱気、赤が強気のエリアです。

オーナーや管理会社などから聞いた話をまとめた内容ですので、人によっては肌感覚と異なる部分もあるかもしれません。

(弱気要因)
・大田区 → コロナにより賃貸需要が激減。外国人流入は増加傾向にあるもののコロナ前の水準には戻っていない。
入国制限は2万人/日まで緩和されたが、コロナ前の年間3000万人の水準には程遠い状況。

・荒川区 足立区 葛飾区 江戸川区 → コロナによる外国人人口の減少による。そして、土地値が安くアパートの供給数が大幅に増加したことで需給のバランスが悪くなった。
供給過多とはいえ23区の中では相対的に低い水準。再開発も進み、都心までの通勤通学が便利なことから、外国人入居者には好まれる傾向にある。建築費の高騰によりアパート・マンション供給数は鈍化。需給ギャップの改善が見込める。

・都心3区(中央区、港区、千代田区) → コロナによる影響に加え、在宅ワークが進み、都心に事務所を構えるメリットがなくなり、それに伴い都心のワンルームは苦戦が続いている。また新規法人設立数が減少していることも影響があると思われる。もともと賃料単価が高いエリアであることから、多少賃料を下げただけでは決まらない状況。事務所仕様の場合は居住用に仕様を変えるなど工夫が必要。オフィスはレジよりも回復が遅れると予想。

(強気要因)
・中野区、杉並区 → ありきたりな要因しか思い浮かばないが、中央線、京王線の再開発の影響は大いにあると思う。これまで賃料上昇が顕著だった新宿・渋谷エリアの波及効果がいまさらきてる印象。都心が苦戦中のため、賃料上昇は落ち着くと思われるが物件供給数も少ないため、暫くは今の状況が続くと見込んでいる。

・豊島区 → そもそも賃料水準が安すぎた。これに尽きると思う。池袋は依然として新宿、渋谷などと比べると賃料が安い。再開発が進み、利便性も向上。駅前が明るく、暮らしやすくなったことを踏まえるともう少し賃料が伸びてもいいと思うが、ブランド立地としては跳ね上がるには時間がかかりそう。これは心情的な問題。

・板橋区(練馬区の一部) → 具体的に2,3年前までは東武東上線大山駅で18~20㎡前後の新築木造ワンルームの相場は6.5万円だった。しかしコロナ以降賃料は3000円ほど上がっている。これは大山駅の再開発に起因するところが大きいが、再開発を機に知名度の低かった板橋区の注目度が増している。副都心線は東横線と直通し、渋谷まで乗り換えなしでいくことができる。もともと治安も地盤もよいので、交通の利便性向上により更なる上昇が見込める。副都心線、西武池袋線、有楽町線沿線の駅は私鉄ということで駅前の再開発から取り残されていたが氷川台駅など一部の駅では計画が進んでいる。個人的には今一番お勧めのエリア。ただし気を付けてほしいのが板橋区の端っこは極端に市場が弱くなることと、意外に坂が多いことだ。こういったエリアでは思ったような賃料がとれない可能性がある。逆に言えば、ワンルームに適したエリアは少ないので、今のところ供給過多になる心配は少ない。


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