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デジマの現場で見つけた7つの教訓

こんにちは。デジタルマーケティングエージェンシーLANYの代表の竹内(@take_404)です。

2018年に新卒でリクルートにデジタルマーケティング職で入社し、かれこれ7年近く、デジタルマーケティングをしてきました。

7年間のデジタルマーケターライフを振り返ると、いろいろな学びがあったので、このnoteでは、私が7年間のデジタルマーケティングの現場で見つけた7つの教訓をお伝えしたいと思います。

書いていて「別に、デジタルマーケティングにそんなに関係ない話になったぞ?」となっていますが、多めに見てやってください。

7つの教訓

私がデジタルマーケティングの現場で見つけた7つの教訓は、下記になります。

1. 正しいことを、はやく、大量にやれば、大体勝てる
2. 綺麗に見える戦略は、回りくどい
3. 想像力と愛しか勝たん
4. 知ってることを増やさないと、成果なんて出ない
5. 目に見えないもの、めちゃくちゃ大事
6. ラストワンマイルが大きな差につながる
7. レンガを積まない、大聖堂を創る

それぞれ紹介します。

1. 正しいことを、はやく、大量にやれば、大体勝てる

LANYが会社として大切にしていることなのですが、正しいことを、はやく、大量にやれば、大体のケースで勝てると信じています。

情報の非対称性がなくなった現代では、いわゆるベストプラクティスに誰でもアクセスすることが可能です。

まずは誰でもちょっと調べたらわかるベストプラクティスを実行し切ったところが現代のデジタルマーケティングのスタートラインです。80点までは、それだけで到達可能だと思っています。

ベストプラクティス(正しいこと)を、はやく、大量に実行した先の世界で、100点を目指した激しい戦いが繰り広げられます。

80点までは正しいことを早く大量にやって達成させる

80点までの世界においては、HP(体力)もMP(知力)も使うべきではありません。80点の先の世界ですべてのHPとMPを使って、競合他社に圧倒的な差をつけにいくべきです。

LANYでは、事業を伸ばすために創業から4年間、ブログやYouTube、メルマガ等のコンテンツマーケティングに注力してきましたが、唯一意識していたのは「正しいことを、はやく、大量に」だけです。

参考:【LANY FM 02】BtoBコンテンツマーケティングの勝ち筋(Podcastに飛びます)

正しいことを、はやく、大量に実行し続けた結果、じわじわと効果が出てきて、インバウンド受注のみで社員30名にきちんとした給料が出せるくらいの事業規模には成長させることができました。

正しいことを、はやく、大量にやるためには、次の3つが必要です。

  1. 正しいことを見極める

  2. はやく動く

  3. 量をこなす

最近読んだ『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』も主張が似ていたのですが、ゆっくりと時間をかけて正しいことを見極め切ったら、あとは高速かつ大量に動かすのが重要だと思います。

ここで重要なのが、正しいことを見極めるところは早く、ではありません。むしろ、じっくり(ゆっくり)です。早くするのは、正しいことを見極めた後の実行の部分です。ここ、大切です。

早く、大量に、正しいことを動かしていきましょう。

2. 綺麗に見える戦略は、回りくどい

デジタルマーケティングに携わると、頭でっかちになりがちです。自分もいつもそうです。

高尚な分析をして、ゴリゴリの戦略を描いて、綺麗なロードマップを引いて…とすることも多いですが、往々にして「綺麗に見える戦略は、回りくどい」と思っています。

時間をかけて複雑な戦略を描こうとしていくうちに、どんどんと「綺麗な戦略を描くこと」が目的になってしまいがちです(自戒)

戦略という言葉の定義はいろいろありますが、私は「目的を最短最速で達成するための最適なリソース配分」と捉えてます。

その上で、本来の目的を見失った「戦略のための戦略」を作らないことが大変重要です。どうしても「戦略」って言葉がかっこいいので、頭でっかちになって、かっこいい戦略を描きたくなりがちです。

ここで一つ、スパイファミリーを題材に「綺麗な戦略」を紹介してみます。

スパイファミリーには、下記のような目的・目標・戦略の『オペレーション梟(ストリクス)』と呼ばれるスパイミッションがあります。

■目的
・二度と戦争が起こらぬよう、東西平和を保つこと

■目標
・国家統一党総裁「ドノバン・デズモンド」と接触する

■戦略
・父親を演じ、偽装の妻・子供をつくり、イーデン校に娘を入学させる
・入学後に星(ステラ)を8つ獲得して、成績優秀者の懇親会でデズモンドと接触する

■ロードマップ
1. 偽装結婚をする
2. 子どもを引き取り、偽装家族になる
3. 子どもを名門校に入学させる
4. 子どもに勉強やスポーツを頑張らせて、ステラを8つ獲得させる
5. 懇親会に呼ばれる

オペレーション梟(ストリクス)は、一見すると天才戦略コンサルタントが5,000万円くらいの成果物チャージで考案したリスクとリターンのバランスを取った美しい戦略のようにも見えます。

ただ、冷静に回りくどくないですか?(笑)

同じことが、デジタルマーケティングの現場でもかなり起こりがちです。仮に、LANYが会社の利益を最大化するという目的に対して戦略を描こうとしたら次のようなものが出てきがちです。

■目的
・LANYの会社の利益最大化

■目標
・SEOコンサルティング案件の受注

■戦略
・オウンドメディアを立ち上げて、リードを獲得する
・THE MODEL的な組織を立ち上げて、リードからの受注を生み出す

■ロードマップ
1. オウンドメディアを立ち上げる
2. 大量の記事を作成する
3. 記事を磨き込んで、リードを獲得する
4. リードナーチャリングをして、商談化を目指す
5. 良い提案をして、受注に繋げる

まずはリード獲得数を最大化して、リードナーチャリングをして、THE MODEL的にインサイドセールスも絡めながら受注に繋げて…と、それっぽいですよね。もちろんどれくらいの時間軸で戦略を考えるか等の前提条件にもよりますが、シンプルに回りくどくないですか?

上記のような綺麗な戦略が出てきた時に、次のような意見が出てくると本質に近づけると思います。

  • 見込み客に電話したら早くない?

  • ハウスリストでSEOを検討してそうな人にメールしてみたらよくない?

  • 既存のお客さんに他に困ってることないか聞いてみたらよくない?

綺麗に見える戦略は、回りくどいです。描いた戦略が綺麗すぎたら、ぜひ一回やんちゃモードになって疑ってみましょう。

綺麗すぎる戦略を描きがちな真面目タイプは、心にやんちゃな自分を飼って二面性を忘れないようにするのがコツだと思っています。

【LANY FM 18】心に闇遊戯を飼う - デュエルスタンバイ!」で、心にやんちゃな人格を飼うことの大切さを語ってるので、もしよければ聞いてください(笑)

また、「【LANY FM 10】積み上げたものはぶっ壊していこうぜ」にて、綺麗に考えた戦略を一回ぶっ壊して、強くてニューゲームモードで本質に近づく思考をしていこうぜ、って内容も語ってるので、ぜひ合わせて聞いてみてほしいです。

3. 想像力と愛しか勝たん

「想像力と愛」は、LANY内でよく使われる言葉です。

元ネタは、考えるエンジンの高松さんのお話から拝借しています。

想像力と愛のわかりやすい説明としては、次の図をご覧ください。

想像力と愛の図解

想像力とは、飲み会で参加者のグラスが空いているのに気づく能力です。愛とは、グラスが空いていることに気づいて飲み物を注いであげたり注文を取ってあげたりする能力です。

デジタルマーケティングの現場でも、想像力と愛が非常に重要です。

たとえばデジタルマーケティングの現場では、1つの施策を実行する際にも多くの方の協力が必要だったり、さまざまな影響範囲を考慮する必要があります。

SEOの施策を例にとってみると、ECサイトの商品一覧ページに追加コンテンツを含めることで検索順位を上げたいという施策があったとします。

ECサイトの施策のイメージ

その施策をお願いする際に、何も考えずに無邪気に動かそうとすると、他の部署の方々が結構心配になったりします。

無邪気に施策を動かそうとしている図

なぜなら、その施策を実行することによる影響範囲はいろいろと存在しており、場合によっては「SEOはプラスだけど、他でマイナス。トータルで見るとマイナス。」ということが起こりかねないからです。

SEO施策に関する他の部署の方々の懸念

だからこそ、きちんと他の要素も幅広く考慮した上で、施策の要件や動かし方を検討しきるべきです。

想像力と愛を持って施策を動かす

上の図の左上の吹き出しの小さな文字には下記のように書かれています()

ユーザーの声を踏まえて、需要のあるコンテンツにしてます。CVR毀損しないようにページ下部に設置します、また検証設計もした上で、CVR毀損があれば切り戻せるようにまずは数ページからテストします、表示速度遅くならないように月次バッチ処理で静的コンテンツとして作ります、むしろクエリとの関連度上がって品質スコア上がることを願ってます、既存のDBにある情報を加工するだけで作れる内容の施策にしているので開発工数もそこまで重くならない予定です!

今回は、あくまでも1つの施策を動かす際の、想像力と愛の発揮方法についてお話ししましたが、さまざまな場面で想像力と愛が必要になるのが、デジタルマーケティング(というか、仕事)の現場だと思います。

常に、「ちゃんと想像できているか」「愛を持って接しているか」を自分自身に問いかけ続けるようにしましょう。

4. 知ってることを増やさないと、成果なんて出ない

前職のリクルートにいた時にマネージャーに「知ってることを増やさないと、仮説なんて出ない」と言われました。

それは本当で、仮説も出ないし成果も出ないと痛感しています。

下記のnoteにも記載しましたが、たとえばSEOのコンサルティングを行うにしても、最終的な成果を決めるのは "SEO以外" の知識です。

事業や顧客についてどれだけ知っているか、SEO以外のマーケティング戦略や戦術をどれだけ知っているかなどが、最終的な成果に大きくインパクトします。

何かを実行しようと思ってから「知ろう」としても遅いです。あらかじめ知っていることが多いからこそ、何か特定の事象に対面した際に、筋の良い仮説が出せます。

検索したりAIに聞けばなんでもわかる時代ではあるものの、頭の中に知っていることを増やすことは、非常に重要だと信じています。

5. 目に見えないもの、めちゃくちゃ大事

サン テグジュペリの星の王子さまでも言われてますが、本当に大切なものは、目に見えません。

デジタルマーケティングにおける目に見えない大切なもの、それは次のようなものです。

  • アトリビューション

  • ダークソーシャル

  • ブランドイメージ

GAやMAツールでは確認しきれないアトリビューションが現実世界にはあります。見えないからと言って、無視していると大きな成果にはつながりません。

ダークソーシャルも見えません。友人同士のLINEでの会話や社員同士のSlack等で記事が共有されており、そこ経由で何か事業にプラスになるようなものが生み出されている可能性もあります。

また、ブランドイメージも目に見えません。見えないからと言ってブランドイメージを無視してマーケティング施策を実行し続けたら、大きなものを失うことになりかねません。

見えるものがどんどんと増えてきて、データドリブンが謳われているこの時代だからこそ、目に見えないものは軽視されがちです。

ただ、私個人としては、「目に見えないけど、普通に考えたらそうだよねって感覚」の方が、実は正しかったりもすると思っています。

LANYも、効果検証がほぼ不可能だったYouTubeを3年間続けて100本の動画をアップし、メルマガを2年間続けて200通送ってきました。その結果、大きな事業インパクトがありました。

YouTubeとメルマガの成果

目に見えないものを、大切にして、信じてやり切っていく強さを身につけましょう。

6. ラストワンマイルが大きな差につながる

最後の最後に、あと一歩だけ、後10分だけこだわったら、成果が10倍になるような業務がデジタルマーケティングには多いです。

イメージしやすい細かいところだと次のような業務があります。

  • YouTubeのサムネイル

  • ブログのタイトル

  • メルマガのCTA文言の磨き込み

  • ウェビナー後の荷電

  • 広告のクリエイティブ

たとえば、YouTubeのサムネイルは、動画の企画を考えたり、撮影をしたり、編集したりするのに比べて、時間はかかりません。また、難易度もそこまで高くありません。

YouTubeの工程イメージ

人間の心理だと思うのですが、「時間が掛からなくて、難易度が高くないもの」が、重要に見えない問題がある気がします。

ただ、時間と難易度に対して、重要度は決して比例しないため、ここを見誤るのはNGです。YouTubeで言えば、むしろサムネイルをこだわらなかったらどれだけ最高の企画で最高の編集をした動画でもまず見られません。

YouTubeで言えば、サムネはラストワンマイルです。ラストワンマイルをこだわれるかどうかで成果が大きく変わります。

日々の業務の中で「ラストワンマイル」となる業務に対して決して妥協することなく、最後までやり切れるようにしましょう。

7. レンガを積まない、大聖堂を創る

レンガ積みの職人の話は有名かと思います。

レンガ職人の話

引用:愛ほっと頼り 令和3年3月号 3人のレンガ職人

  • 左側の職人はレンガ積みを「作業」として行っています。命令されたから仕方なく働いているので、不満タラタラです。

  • 中央の職人はお金を稼いで家族を養うために頑張っています。

  • 右側の職人は後世に残る大聖堂を作るという目的を持って、こんな仕事に就けてとても光栄だと名誉のために頑張っています。

同じ「レンガ積み」をするにしても、作業としてやるのか、目的意識を持って取り組むのか、大義まで意識して実行するのかで、パフォーマンスが大きく変わってくるという話です。

デジタルマーケティングに取り組んでいると、目の前の分析や施策立案にいそしんでしまい、目的や大義を見失いがちになります。

目的や大義がなければ、デジタルマーケティングも、本気になって頑張れないはずです。

LANYでは、プロボノ活動を行っていますが、そこで「大義」について再確認することができました。

長崎県にある悠久会という社会福祉法人様をプロボノ活動でご支援しているのですが、彼らの事業として障害者の就労支援等があります。

LANYとしてご支援しているのは悠久会のホームページのSEOや、採用支援などです。ただ、その支援の先にあるのは、障害者の方が生きやすい世の中になり、悠久会が目指している街と障害者の共生社会を実現することです。

LANYがデジタルマーケティング支援を行う理由

その実現という大義まで見据えて目の前のデジタルマーケティングに取り組むか、それともただ単純にデジタルマーケティングに取り組むのかでは大きな差分があります。

ただレンガを積まずに、大聖堂を創ることを、常に意識し続けることが重要です。

目の前のGA4での分析も、施策の要件定義書作成も、管理画面での作業も、根回しも、すべては大聖堂を作ること(会社のミッションの達成)につながっています。

デジタルマーケティングに取り組んでいると、目の前の作業に追われて、大義を見失いがちです。

ただ、大義を持って目の前の業務に取り組めている人と、ただの作業として取り組む人とでは、パフォーマンスが確実に変わります。

レンガを積まずに、大聖堂を創っていきましょう。

まとめ

デジタルマーケティングの現場で見つけた7つの教訓をお伝えしてきました。

冒頭にも書いた通り、デジタルマーケティングに関係なく、すべての仕事に通じる大切なスタンスもあったかと思います。

一つでも皆さんの参考になっていたら幸いです。

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