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歴史を学ぶ

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歴史に関する記事をこちらにまとめています。
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#国家

軍事上の必要性と社会の価値観をいかに調和させるか?『市民と軍人』(1985)の紹介

現代の国際社会でアメリカが指導的地位を維持できている要因の一つは、その軍事的能力の優越に…

論文紹介 国際法で戦争が違法化されたことで、国際政治にどのような影響があったか?

現代の国際法の枠組みは、第一次世界大戦が終結した時点で有効だった枠組みと比較すると、まっ…

メモ 河川と国家の関係をめぐる地理学者と歴史学者の議論から見えてくるもの

19世紀に活躍したドイツの地理学者ラッツェル(Friedrich Ratzel)は政治地理学の先駆者です。…

政軍関係が国家の戦略評価を左右することを説明したShaping Strategy(2008)の紹介

国家は機械的に環境の変化に反応し、政策を選択しているわけではありません。国家の方針を決め…

政治家の収入源を知ることが、政治史の理解を深めることを示した『合衆国憲法の経済的…

一見すると政治の世界で起きている対立は価値観や主義主張をめぐる対立のようですが、その背後…

論文紹介 軍隊に入った若者が忠実な国民になるとは限らない

兵役を国民の義務として、軍隊に入隊させたとしても、彼らの心に国民の自覚が芽生え、国家共同…

19世紀のフランスで農村が都市を中心とする国家体制に再編される過程を描いた『農民からフランス人へ』の紹介

1789年に起きたフランス革命とその後の一連の出来事は、フランスの絶対王政を基礎づけていた法律体系、身分制度、政教関係、経済構造、軍事制度などを抜本的に変え、近代的なナショナリズム(民族主義)が成立する一つの契機になりました。ナショナリズムは、それまで政治に関心を持つことも、参加することも考えていなかった人々に国民としての自覚を持たせ、国家の動員能力を向上させ、近代的な経済発展の基礎になりました。 フランス史においてナショナリズムが導入され、制度として定着する過程を描き出し

西欧の「軍事革命」の研究を通じて見直されてきた戦争の世界史

軍事革命(military revolution)は、軍隊が用いる戦略、あるいは戦術に抜本的な変化が生じた…

英国は権力分立で戦争遂行能力を向上させた『財政=軍事国家の衝撃』の紹介

イギリスは1688年の名誉革命でいち早く議会政治の基礎を確立した国家として知られていますが、…

論文紹介 ラテンアメリカの国家形成は戦争でどれほど影響を受けたのか?

政治学者は戦争には長期的観点から見れば国家の形成と発達を促進する効果があると考えています…

アフリカにおける戦争の歴史を通観する:Warfare in African History(2012)の紹介

アフリカの戦争史に関する研究は比較的少なく、その軍隊の制度や戦争の特性についてはまだまだ…

国家を近代化へと突き動かした軍事革命の比較史『軍事革命と政治変動』の紹介

なぜ近代国家はヨーロッパで成立したのでしょうか。この問いに答えるために、数多くの研究者が…

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文献紹介 近代国家と戦争の関係を説明している5冊の研究文献を紹介する

ヨーロッパは世界に先駆けて近代的な国家体制が成立した地域と考えられています。しかし、ヨー…

なぜスパルタは没落したのか? 軍事大国の急激な弱体化には理由があった

都市国家スパルタは古代ギリシアで有数の軍事大国でした。国防のために青少年に対する過酷な教育訓練を行ったことはスパルタ教育という言葉を通じて今でも広く知られています。 紀元前431年から前404年まで続いたペロポネソス戦争において、スパルタは大国アテナイを打ち負かし、古代ギリシアの覇権を握りました。ところが、かつてスパルタと同盟関係にあったテーバイという国がスパルタに戦いを挑み、レウクトラの戦い(前371年)でスパルタ軍を撃滅したのです。その後、スパルタの覇権国の地位はテーバ

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